デザイン思考は思考法であり、リーンはマネジメント的な概念です。
この記事では、デザイン思考と比較に出されることの多いリーンスタートアップについて解説しています。
目次
デザイン思考とは
「デザイン思考」とは、スタートアップや市場創造に効果を発揮する考え方のひとつです。
デザイン思考を導入している企業の7割が利益率が増加し、全体的に市場創造の効果を実感しています。
アップル社や任天堂でも導入され、成果をあげていることで知られています。
デザイン思考の手法
デザイン思考は以下のような5つのサイクルを繰り返し、ニーズや問題点、解決法を探る考え方です。
1.共感
最も大切なのはユーザー視点です。アンケートや聞き取りにより、市場ユーザーの考えや本人すら気づいていない潜在的な問題、解決方法などの共感と理解を深めていきます。
2.問題提議
ユーザーの思いや行動原理などの観察を元に、ニーズを定義付け、潜在的な需要を明確にします。
3.創造
常識に囚われない、とにかく多くのアイデアを出します。
4.試作
具体的な想像ができる試作品を手早くコストをかけずに制作します。 形にすることで問題点や気付きを得ることができます。
5.テスト
試作品をユーザーに試用してもらい、改善と試作を繰り返す段階です。 ここからまた1段階目に戻りサイクルを回します。
デザイン思考による成功例
アップル社のiPod開発は専門家の協力の元、ユーザーの観察を行いました。
任天堂のWiiの開発では真っ先に社員の家庭の観察を行ったそうです。
それぞれデザイン思考からスタートし、最終的に両者とも1億台以上の販売台数となりました。
リーンスタートアップ
リーンスタートアップはよくPDCAサイクルに例えられる「無駄を省く」マネジメント手法です。
リーンという言葉には「痩せた」「無駄のない」などの意味があり、イノベーションが付随するスタートアップを組み合わせた言葉です。
つまり、コストや手順の無駄を省きながら革新的なビジネス展開と成長を目指すという意味です。
リーンの先駆けといえる「トヨタ生産方式」は、戦略的コストダウンの方法という論文において1994年では売上原価率は 91%であったのに対し、2003年では売上原価率が79.3%と、10%以上の成果をあげています。
リーンの手法
リーンはPDCAに似た以下のサイクルを繰り返します。簡単にいえば、「いかに無駄(コスト)なく、失敗時のリスクを最小限にするか」を目的としています。
1.構築
リーンではニーズの「仮説」を立てることが鍵です。 実際はターゲットや世論、商品の具体案やコスト、利益などの情報を集めた**「リーンキャンバス」と呼ばれる商品企画書**を作成します。
次にリーンキャンバスで立てた仮説を検証するために「MVP(Minimum Viable product)」で顧客の反応を計測することになります。
2.計測
仮説から実際に商品を制作し、ユーザーの反応を計測・実験します。全力で商品や広告をするのではなく、必要最小限の価値をもつ商品レベルでデータを集めるのがポイントです。
3.学習
計測・実験したデータをもとにMVPに改善を加えていきます。 顧客の反応が悪い場合は仮説を見直し、方向性の修正を加えて改良を重ねて行くことになります。検証で得たデータを学習し、今後に繋げていきます。
4.意思決定
顧客や計測などで得たフィードバックや学習をもとに、本格的な開発を行うか、改善をするためにMVPからのサイクルに戻るなどの意思決定をします。 仮説が間違っていた場合は、仮説の立て直しをすることもあります。
リーンスタートアップによる成功例
リーンスタートアップの源流や成功例としてトヨタ自動車の「トヨタ生産方式」があげられます。
要約すると「トヨタの工場は在庫を抑え、コスト削減し、作業員の勤怠管理による過不足のない人員配置、品質検査にも力を入れている実に無駄のないオペレーションである」ということです。
トヨタのコストダウンの成果は長期的にみると、1994年3月期から2003年の3月期までの売上原価率が91.1%→79.3%と下がったことからも明らかです。
さらに、トヨタの2021年9月中間連結決算における売上高は前年同期比36,1%増の15兆4812億円、最終利益が2,42倍の1兆5244億円と中間期では過去最高の数字を示しました。
(参考引用:戦略的コストダウンの方法)
関連:「新規事業で役立つマインドセットとは?成功に繫がる意識改革」
デザイン思考とリーンスタートアップの使い分け
新事業のアイデアに対し「Aなら◯◯円支払う」「Bなら製品は話題になる」などの仮説を立て、検証していくのがリーンです。
マインドセット的な概念が強いデザイン思考と、マネジメント的な概念が強いリーンスタートアップを効果的に使い分けていきましょう。
まとめ
双方に共通しているのは、試作や計測などで早期から検証することです。
デザイン思考が「人間中心」で予測できないニーズを探ることであるのに対し、リーンは仮説からなる事業性の検証に重きをおいています。組合せて活用することも効果的です。
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