目次
そのUI改善、コストですか?投資ですか?
「サイトのUIを改善したいんです」。最近、事業責任者の方から、こんな相談をいただくことが急に増えました。Webサイトやアプリがビジネスの顔となる今、その「使い心地」が事業の明暗を分ける。そんな肌感覚をお持ちなのでしょう。素晴らしいことだと思います。
でも、あえて一歩踏み込んで質問させてください。そのUI改善、単なる「コスト(経費)」として捉えていませんか?もし答えが「イエス」なら、あなたの会社は、とてつもない機会損失を生んでいるかもしれません。
この記事は、よくある「UI改善の7ステップ」のような手順解説書ではありません。これは、経営者、そして事業責任者のための「UI改善の投資戦略」の教科書です。
なぜ、UI改善への1ドルの投資が100ドルのリターンを生むと言われるのか。その理由を、マッキンゼーやForresterといった第三者機関の信頼できるデータと、我々が実際にクライアントの事業を成長させたリアルな事例をもとに、徹底的に解き明かしていきます。
見過ごされた最大の損失。「悪いUI」が静かに奪うあなたの利益

「良いUI」の価値を語る前に、まず直視すべきは「悪いUI」がもたらす損害です。それは、目に見えにくいですが、確実にあなたの会社の利益を蝕んでいます。
利益を生まない開発費と、去っていく顧客
「デザインは後で直せばいい」は、開発現場で最も危険な言葉です。ソフトウェア工学の世界では、開発工数の実に50%が、設計ミスに起因する手戻りに費やされているという衝撃的なデータがあります。さらに恐ろしいのは、ユーザーの反応です。一度でも「使いにくい」と感じたユーザーの91%は、二度とあなたの元には戻ってきません。
| UI改善を怠るリスク | 具体的な事業への影響 |
|---|---|
| 開発の手戻り | 開発費の増大、リリース遅延、機会損失 |
| ユーザーの離反 | 広告費の浪費、LTV(顧客生涯価値)の低下 |
| サポートコストの増大 | 「使い方がわからない」という問い合わせの増加、人件費の圧迫 |
悪いUIは、まさに穴の空いたバケツ。いくら広告費をかけて新しい水(顧客)を注ぎ込んでも、そばから漏れ出ていってしまうのです。
データが証明するUI改善の驚異的な投資対効果(ROI)
では、UI改善への投資は、一体どれほどのリターンを生むのでしょうか?これはもはや、感覚論ではありません。世界的な調査機関が、その経済的価値を明確に数値化しています。
経営コンサルティングファームのマッキンゼーは、デザインを重視する企業とそうでない企業の10年間の業績を比較しました。その結果は、全ての経営者が知るべき事実です。
デザイン重視の企業は、市場平均に対し…
収益成長率 & 総リターンが2倍以上
さらに、Forrester Researchは、UI/UXへの投資対効果について「1ドルの投資が100ドルのリターンを生む」と試算しています。なぜなら、優れたUIは単発の売上を上げるだけでなく、事業のあらゆる側面に好影響を与えるからです。
- 売上向上: ECサイトの決済画面のUI改善だけでCVRが35%向上したデータも。
- LTV向上: 良い体験をした顧客の77%は他者に推奨し、優良な口コミを生む。
- コスト削減: 直感的なUIは、サポートへの問い合わせを最大40%削減する。
UI改善は、もはやデザイン部門だけの仕事ではない。企業の収益性を根本から変える、経営マターなのです。
どこから始める?事業モデル別「UI改善」の急所

「ROIがすごいのは分かった。でも、うちのサービスの場合、どこから手をつければ?」と思いますよね。その通り、UI改善の「急所」はビジネスモデルによって全く異なります。
SaaSビジネスの場合
最重要KPI: チャーンレート(解約率)低下、オンボーディング完了率
改善の急所:
- オンボーディング画面: ユーザーが最初に価値を実感できるかが生命線。優れたオンボーディングUIは継続率を最大50%改善するというデータもあります。
- 多機能なダッシュボード: 複雑な情報を整理し、ユーザーが最も使う機能に迷わずアクセスできるかが鍵。
ECサイトの場合
最重要KPI: CVR(購入率)、カゴ落ち率
改善の急所:
- 商品検索・一覧ページ: ユーザーが求める商品をいかに素早く、ストレスなく見つけられるか。
- 決済(チェックアウト)画面: 入力項目は多すぎないか?エラー表示は分かりやすいか?ここのUI改善が最も直接的に売上に繋がります。
自社のビジネスモデルとKPIを深く理解し、最もインパクトの大きい場所から改善に着手することが、ROIを最大化する秘訣です。
理論を現実に。UI改善で事業を成長させた成功事例
我々がご支援したプロジェクトの中から、UI改善がどのようにビジネスの課題を解決したか、具体的な事例をご紹介します。
事例1:UI改善で実現した「信頼感」の再構築
あるキャリア系SNSのリブランディングでは、「信頼感」をサービスの核として再定義することが最重要課題でした。既存UIの課題をユーザーインタビューで徹底的に洗い出し、「信頼」「温かみ」というキーワードを軸にUI全体を再設計。色使い、フォント、情報の見せ方、そのすべてで新しいブランドイメージを体現しました。これは、UI改善がサービスの定性的な価値、すなわちブランド体験を大きく向上させた事例です。
事例2:UI改善がもたらした「業務効率化」という成果
あるフィットネス業界向けSaaSの課題は、店舗スタッフが毎日使う管理画面の複雑さでした。そこで現場の業務フローを徹底的に分析し、情報設計をゼロから見直し。その結果、予約管理に必要な操作ステップを平均で3ステップ削減することに成功しました。これは、UI改善が業務効率化、ひいては人件費の最適化という直接的な利益に貢献することを証明した好例です。
失敗しないUI改善の進め方とパートナー選び

では、UI改善を成功させるには、どうすればいいのでしょうか。闇雲にA/Bテストを繰り返すだけでは、成果は出ません。重要なのは、再現性のあるプロセスと、信頼できるパートナーです。
成功の鍵を握る「UI改善」の基本プロセス
- 1 課題の可視化: データ分析やユーザーインタビューを通じて、現状の課題を「定量的・定性的」に把握します。
- 2 仮説の構築: なぜその問題が起きているのか?「〇〇が分かりにくいため、離脱しているのでは」といった仮説を立てます。
- 3 解決策のデザイン: 仮説を検証するための新しいUIをデザインし、プロトタイプを作成します。
- 4 効果の検証: A/Bテストなどを実施し、新しいUIが本当にKPIを改善するのかをデータで証明します。
このサイクルを高速で回すことが、UI改善の王道です。
最高のパートナーを見極める“たった一つ”の質問
もし、このプロセスを専門家と進めたいなら、デザイン会社にこの質問をしてみてください。
「そのUI改善で、私たちのビジネスのどのKPIが、
なぜ、どれくらい改善すると考えますか?」
この問いに、データと過去の実績、そしてあなたのビジネスへの理解をもって、論理的に答えられる会社こそが、あなたの事業を成長させる真のパートナーです。
UI改善の土台となるUIデザインを実現するには、基本原則の理解だけでなく、実際に依頼する会社選びも重要です。信頼できる制作会社や選定のポイントについては、こちらの記事『失敗しないUIUXデザイン会社5選と選定ノウハウ』もご覧ください。
まとめ:UI改善は、現代ビジネスにおける最強の「武器」である
ここまでお読みいただき、ありがとうございます。UI改善が、単なる「お化粧直し」ではなく、事業の収益性を根幹から変える、強力な経営戦略であることをご理解いただけたかと思います。
- 守りのUI改善は、開発コストやサポートコストを削減し、利益を守ります。
- 攻めのUI改善は、CVRやLTVを向上させ、売上を伸ばします。
あなたの会社のUIは、ビジネスの成長に貢献していますか?それとも、気づかぬうちに利益を蝕んでいませんか?
もし、UI改善への投資を、確実な事業成長に繋げたいとお考えでしたら、ぜひ一度、我々picks designにご相談ください。あなたのビジネスの言葉で、最高のUI改善戦略を共に描きます。







