ユニバーサルデザインの検証方法|Webサービスの課題発見から改善まで

  • 2025.11.17
  • UI/UXデザインWebアクセシビリティユニバーサルデザイン
  • 新規事業

なぜ今、ユニバーサルデザインの検証が「攻めの経営戦略」なのか?

「ユニバーサルデザインやアクセシビリティ対応って、法律で決まったから仕方なくやるんでしょ?」

もし、そう思っていたら、非常にもったいない! 実は、大きなビジネスチャンスを見過ごしているかもしれません。2024年4月に改正障害者差別解消法が施行され、Webサイトのアクセシビリティ対応は「努力義務」から「法的義務」へと変わりました。もちろん、法令遵守は企業として当然の責任です。しかし、これを単なる「守りのコスト」と捉えるか、「攻めの投資」と捉えるかで、未来は大きく変わります。

巨大な潜在市場を見過ごしていませんか?

総務省の調査によれば、国内の65歳以上の高齢者人口は3,621万人(2023年)、内閣府の発表では身体・知的・精神障害者の総数は約1,160万人。単純計算でも、日本の人口の1/3以上が、何らかの形でWebサイトの使いづらさを感じている可能性があるのです。

この巨大な市場にリーチしない手はありませんよね。
ユニバーサルデザインの検証とは、こうした潜在顧客を取りこぼさないための、いわば「デジタル時代の顧客理解」そのもの。すべての人がストレスなく使えるWebサービスは、結果的にブランドイメージを向上させ、新たなファンを獲得する強力な武器になるのです。

👉 ユーザー体験を底上げする アクセシビリティUIの実践例 を詳しく見る

売上に直結する3つのビジネスインパクト

「理想はわかるけど、具体的にどうビジネスに効くの?」という声が聞こえてきそうですね。ご安心ください。ユニバーサルデザイン対応は、綺麗事ではなく、明確に数値で測れるリターンをもたらします。代表的な3つのインパクトを見ていきましょう。

ビジネスインパクト具体的な効果と理由
CVR(コンバージョン率)の向上あるECサイトでは、UI/UX改善によりCVRが35%向上した事例も。入力フォームのラベルが分かりにくい、ボタンが押しにくいといった小さなストレスが、ユーザーの離脱に直結します。誰にとっても直感的な操作性は、購入や問い合わせへのハードルを劇的に下げるのです。
LTV(顧客生涯価値)の向上「このサービスは使いやすい」という体験は、顧客満足度に直結し、リピート利用を促進します。特にサブスクリプション型のサービスでは、解約率の低下に大きく貢献。長期的なファンを育てる土壌となります。
SEO(検索エンジン最適化)評価の向上Googleは、論理的で分かりやすいサイト構造を高く評価します。見出しの構造が適切であったり、画像に代替テキストが設定されていたりすることは、実はアクセシビリティの基本。結果として、検索順位の向上にも繋がり、広告費をかけずに見込み客を集めることができるのです。

このように、ユニバーサルデザインへの投資は、短期的な売上改善から長期的な資産構築まで、幅広いメリットをもたらすのです。

👉 実施しやすいアクセシビリティチェック手法こちらの記事で紹介しています。

よくある検証の落とし穴|なぜ自動チェックツールだけでは不十分なのか

「よし、じゃあ早速アクセシビリティの検証ツールを導入しよう!」
その意気込みは素晴らしいですが、少しだけお待ちください。よくある失敗が、検証を自動チェックツールに丸投げしてしまうこと。もちろん、ツールは機械的にコードをチェックし、明らかな問題点を洗い出すのに非常に有効です。いわば、健康診断の血液検査のようなものですね。

しかし、ツールでは決して検知できない領域があります。それは、「ユーザーが本当にスムーズに目的を達成できるか」という文脈的な使いやすさです。

ツールが見逃す「人間だからこそ感じる違和感」

  • 情報の流れは自然か?
  • 専門用語が多すぎて、初心者が戸惑わないか?
  • そもそも、このボタンのラベルの意味は一発で伝わるか?

こうした点は、ツールでは分かりません。血液検査の数値は問題なくても、なんとなく体調が優れない…という感覚に似ています。本当に健康なサービスを目指すなら、機械的なチェックに加え、専門家による「問診」や「触診」にあたる定性的な評価が不可欠なのです。

ビジネス成果に繋がる具体的な検証方法とは?

では、具体的にどのような検証を行えば良いのでしょうか。ここでは、ビジネス目標の達成に特に有効な2つの専門的な手法をご紹介します。

1. 専門家によるヒューリスティック評価

これは、UI/UXデザインやアクセシビリティの専門家が、経験則(ヒューリスティクス)に基づいてWebサービスの課題を洗い出す手法です。いわば、経験豊富なシェフが、レシピだけでなく、食材の組み合わせや調理工程の無駄を指摘するようなもの。「なぜこの導線はユーザーを迷わせるのか」「このレイアウトは認知負荷が高い」といった、問題の根本原因を深く洞察できるのが強みです。短期間で網羅的に課題を抽出できるため、プロジェクトの初期段階で特におすすめです。

2. ユーザーテスト

サービスのターゲットとなる実際のユーザーに、Webサービスを操作してもらい、その行動や発言を観察する手法です。開発チームが「絶対に分かるはず」と思い込んでいた部分で、ユーザーがいとも簡単につまずく…。そんな衝撃的な、しかし貴重な発見が山ほどあります。まさに「百聞は一見に如かず」。ユーザーの生の声ほど、説得力のあるデータはありません。サービスの方向性に関する重大な意思決定や、リニューアルの効果測定に絶大な効果を発揮します。

これらの手法を、サービスのフェーズや目的に応じて使い分ける、あるいは組み合わせることが、成果への最短ルートとなります。

【事例】理論を実践に。picks designの改善アプローチ

理論だけでなく、実際のプロジェクトでどのように検証と改善が行われるか、弊社の事例を少しだけご紹介させてください。

株式会社manaby様が運営するEラーニングシステム『マナe』では、スタッフ様が利用する管理画面のUI/UXデザイン改善を担当しました。このシステムは、多様なITリテラシーを持つスタッフの方々が毎日使うもの。だからこそ、誰にとっても直感的で、ミスの起こりにくい設計が求められました。

私たちは、まず既存画面のヒューリスティック評価から着手。どこに情報が探しにくく、どの操作が煩雑になっているのかを徹底的に洗い出しました。その上で、ユーザーシナリオに基づいたプロトタイプを作成し、仮説検証を繰り返す。ボタンの配置やラベルの文言、情報のグルーピングといった細部に至るまで、「なぜこのデザインなのか」を論理的に突き詰めていきました。結果として、スタッフ様の作業効率を大きく向上させることに貢献できたと自負しています。

▼詳しいプロジェクト内容はこちら

このような専門的なアプリケーションの改善は、表面的なデザイン変更だけでは実現できません。picks designでは、お客様のビジネス目標とユーザーの利用状況を深く理解した上で、最適な検証・改善プロセスをご提案します。自社サービスの使いやすさに課題をお持ちでしたら、ぜひ一度お気軽にご相談ください。

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検証して終わりじゃない!「改善計画」への落とし込み方

検証によって課題が見つかるのは、素晴らしい一歩です。しかし、本当の勝負はここから。山積みの課題リストを前に、「どこから手をつければいいんだ…」と途方に暮れてしまうケースは少なくありません。

ここで重要になるのが、「優先順位付け」の視点です。すべての課題を一度に解決することはできません。私たちは、見つかった課題を以下の2つの軸で整理することをおすすめしています。

  1. インパクト(影響度):その課題を解決した場合、ビジネスやユーザーにどれだけ大きな良い影響があるか?(例:CVRに直結するフォームの改善はインパクト大)
  2. エフォート(工数):その課題を解決するために、どれくらいの開発コストや時間がかかるか?(例:文言の修正だけならエフォート小)

この2軸でマトリクスを作り、課題をプロットしていくのです。当然、真っ先に取り組むべきは「インパクトが大きく、エフォートが小さい」もの。いわゆる「ローハンギングフルーツ(低い枝に実っている果物)」ですね。これにより、小さな成功体験を素早く積み重ね、チームのモチベーションを高めることができます。

逆に、「インパクトが小さいのに、エフォートが大きい」ものは、後回しにするか、あるいは「やらない」という判断も重要です。リソースは有限。検証で見つかった課題を「宝の地図」として活用し、最も賢いルートで改善を進めていきましょう。

文化を育てる。ユニバーサルデザインを組織の「当たり前」に

一回の検証と改善で、Webサービスが永遠に使いやすくなるわけではありません。新しい機能が追加されれば、新たな課題が生まれる可能性もあります。ユニバーサルデザインを真にビジネスの力とするためには、一度きりのイベントではなく、組織の文化として根付かせ、開発プロセスに組み込んでいく必要があります。

例えば、こんな仕組みはどうでしょうか。

  • デザインレビューの定例化:新しい画面をデザインする際、必ずアクセシビリティの観点を含めたレビュー会を実施する。
  • 開発初期段階での検証:ワイヤーフレームやプロトタイプの段階で簡易的なユーザーテストを行い、致命的な問題が作り込まれるのを防ぐ(手戻りを減らす)。
  • 「ペルソナ」の多様化:サービス設計で用いる仮想ユーザー像(ペルソナ)に、高齢者や障害のある人を意図的に含める。

最初は少し手間がかかるかもしれません。しかし、こうした取り組みが定着すれば、開発チーム全体の意識が変わり、リリースされるサービスの品質が底上げされます。それは、特定の誰かのための「特別な対応」ではなく、すべての顧客に最高の体験を届けるための「当たり前の品質基準」となるはずです。ユニバーサルデザインの推進は、最終的には組織全体のデザインリテラシーを高める、強力な人材育成の機会にもなるのです。

まとめ|未来の顧客のために、今すぐ始められること

今回は、Webサービスのユニバーサルデザイン検証が、なぜビジネス成長に不可欠なのか、そして具体的にどう進めてけば良いのかを解説してきました。

  • ポイント1: 法改正を機に、ユニバーサルデザインを「守り」から「攻め」の経営戦略と捉え直す。
  • ポイント2: CVR向上、LTV向上、SEO評価向上といった明確なビジネスインパクトがある。
  • ポイント3: 自動ツールだけでなく、専門家によるヒューリスティック評価やユーザーテストが成果への鍵。
  • ポイント4: 検証後は「インパクト」と「工数」で優先順位をつけ、賢く改善計画を立てる。
  • ポイント5: 組織文化として根付かせることが、継続的なサービス価値向上に繋がる。

あなたのWebサービスには、まだ出会えていない未来のお客様がたくさんいるはずです。その方々との最初の接点であるWebサイトが、知らず知らずのうちに彼らを拒絶してしまっているとしたら、これほど悲しいことはありません。

もし、より専門的な視点での課題発見や、具体的な改善提案が必要だと感じたら、いつでも私たちpicks designにご相談ください。一緒に、すべてのユーザーに愛されるサービスを育てていきましょう。

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  • 新規事業

なぜ今、ユニバーサルデザインの検証が「攻めの経営戦略」なのか?

「ユニバーサルデザインやアクセシビリティ対応って、法律で決まったから仕方なくやるんでしょ?」

もし、そう思っていたら、非常にもったいない! 実は、大きなビジネスチャンスを見過ごしているかもしれません。2024年4月に改正障害者差別解消法が施行され、Webサイトのアクセシビリティ対応は「努力義務」から「法的義務」へと変わりました。もちろん、法令遵守は企業として当然の責任です。しかし、これを単なる「守りのコスト」と捉えるか、「攻めの投資」と捉えるかで、未来は大きく変わります。

巨大な潜在市場を見過ごしていませんか?

総務省の調査によれば、国内の65歳以上の高齢者人口は3,621万人(2023年)、内閣府の発表では身体・知的・精神障害者の総数は約1,160万人。単純計算でも、日本の人口の1/3以上が、何らかの形でWebサイトの使いづらさを感じている可能性があるのです。

この巨大な市場にリーチしない手はありませんよね。
ユニバーサルデザインの検証とは、こうした潜在顧客を取りこぼさないための、いわば「デジタル時代の顧客理解」そのもの。すべての人がストレスなく使えるWebサービスは、結果的にブランドイメージを向上させ、新たなファンを獲得する強力な武器になるのです。

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売上に直結する3つのビジネスインパクト

「理想はわかるけど、具体的にどうビジネスに効くの?」という声が聞こえてきそうですね。ご安心ください。ユニバーサルデザイン対応は、綺麗事ではなく、明確に数値で測れるリターンをもたらします。代表的な3つのインパクトを見ていきましょう。

ビジネスインパクト具体的な効果と理由
CVR(コンバージョン率)の向上あるECサイトでは、UI/UX改善によりCVRが35%向上した事例も。入力フォームのラベルが分かりにくい、ボタンが押しにくいといった小さなストレスが、ユーザーの離脱に直結します。誰にとっても直感的な操作性は、購入や問い合わせへのハードルを劇的に下げるのです。
LTV(顧客生涯価値)の向上「このサービスは使いやすい」という体験は、顧客満足度に直結し、リピート利用を促進します。特にサブスクリプション型のサービスでは、解約率の低下に大きく貢献。長期的なファンを育てる土壌となります。
SEO(検索エンジン最適化)評価の向上Googleは、論理的で分かりやすいサイト構造を高く評価します。見出しの構造が適切であったり、画像に代替テキストが設定されていたりすることは、実はアクセシビリティの基本。結果として、検索順位の向上にも繋がり、広告費をかけずに見込み客を集めることができるのです。

このように、ユニバーサルデザインへの投資は、短期的な売上改善から長期的な資産構築まで、幅広いメリットをもたらすのです。

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よくある検証の落とし穴|なぜ自動チェックツールだけでは不十分なのか

「よし、じゃあ早速アクセシビリティの検証ツールを導入しよう!」
その意気込みは素晴らしいですが、少しだけお待ちください。よくある失敗が、検証を自動チェックツールに丸投げしてしまうこと。もちろん、ツールは機械的にコードをチェックし、明らかな問題点を洗い出すのに非常に有効です。いわば、健康診断の血液検査のようなものですね。

しかし、ツールでは決して検知できない領域があります。それは、「ユーザーが本当にスムーズに目的を達成できるか」という文脈的な使いやすさです。

ツールが見逃す「人間だからこそ感じる違和感」

  • 情報の流れは自然か?
  • 専門用語が多すぎて、初心者が戸惑わないか?
  • そもそも、このボタンのラベルの意味は一発で伝わるか?

こうした点は、ツールでは分かりません。血液検査の数値は問題なくても、なんとなく体調が優れない…という感覚に似ています。本当に健康なサービスを目指すなら、機械的なチェックに加え、専門家による「問診」や「触診」にあたる定性的な評価が不可欠なのです。

ビジネス成果に繋がる具体的な検証方法とは?

では、具体的にどのような検証を行えば良いのでしょうか。ここでは、ビジネス目標の達成に特に有効な2つの専門的な手法をご紹介します。

1. 専門家によるヒューリスティック評価

これは、UI/UXデザインやアクセシビリティの専門家が、経験則(ヒューリスティクス)に基づいてWebサービスの課題を洗い出す手法です。いわば、経験豊富なシェフが、レシピだけでなく、食材の組み合わせや調理工程の無駄を指摘するようなもの。「なぜこの導線はユーザーを迷わせるのか」「このレイアウトは認知負荷が高い」といった、問題の根本原因を深く洞察できるのが強みです。短期間で網羅的に課題を抽出できるため、プロジェクトの初期段階で特におすすめです。

2. ユーザーテスト

サービスのターゲットとなる実際のユーザーに、Webサービスを操作してもらい、その行動や発言を観察する手法です。開発チームが「絶対に分かるはず」と思い込んでいた部分で、ユーザーがいとも簡単につまずく…。そんな衝撃的な、しかし貴重な発見が山ほどあります。まさに「百聞は一見に如かず」。ユーザーの生の声ほど、説得力のあるデータはありません。サービスの方向性に関する重大な意思決定や、リニューアルの効果測定に絶大な効果を発揮します。

これらの手法を、サービスのフェーズや目的に応じて使い分ける、あるいは組み合わせることが、成果への最短ルートとなります。

【事例】理論を実践に。picks designの改善アプローチ

理論だけでなく、実際のプロジェクトでどのように検証と改善が行われるか、弊社の事例を少しだけご紹介させてください。

株式会社manaby様が運営するEラーニングシステム『マナe』では、スタッフ様が利用する管理画面のUI/UXデザイン改善を担当しました。このシステムは、多様なITリテラシーを持つスタッフの方々が毎日使うもの。だからこそ、誰にとっても直感的で、ミスの起こりにくい設計が求められました。

私たちは、まず既存画面のヒューリスティック評価から着手。どこに情報が探しにくく、どの操作が煩雑になっているのかを徹底的に洗い出しました。その上で、ユーザーシナリオに基づいたプロトタイプを作成し、仮説検証を繰り返す。ボタンの配置やラベルの文言、情報のグルーピングといった細部に至るまで、「なぜこのデザインなのか」を論理的に突き詰めていきました。結果として、スタッフ様の作業効率を大きく向上させることに貢献できたと自負しています。

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このような専門的なアプリケーションの改善は、表面的なデザイン変更だけでは実現できません。picks designでは、お客様のビジネス目標とユーザーの利用状況を深く理解した上で、最適な検証・改善プロセスをご提案します。自社サービスの使いやすさに課題をお持ちでしたら、ぜひ一度お気軽にご相談ください。

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検証して終わりじゃない!「改善計画」への落とし込み方

検証によって課題が見つかるのは、素晴らしい一歩です。しかし、本当の勝負はここから。山積みの課題リストを前に、「どこから手をつければいいんだ…」と途方に暮れてしまうケースは少なくありません。

ここで重要になるのが、「優先順位付け」の視点です。すべての課題を一度に解決することはできません。私たちは、見つかった課題を以下の2つの軸で整理することをおすすめしています。

  1. インパクト(影響度):その課題を解決した場合、ビジネスやユーザーにどれだけ大きな良い影響があるか?(例:CVRに直結するフォームの改善はインパクト大)
  2. エフォート(工数):その課題を解決するために、どれくらいの開発コストや時間がかかるか?(例:文言の修正だけならエフォート小)

この2軸でマトリクスを作り、課題をプロットしていくのです。当然、真っ先に取り組むべきは「インパクトが大きく、エフォートが小さい」もの。いわゆる「ローハンギングフルーツ(低い枝に実っている果物)」ですね。これにより、小さな成功体験を素早く積み重ね、チームのモチベーションを高めることができます。

逆に、「インパクトが小さいのに、エフォートが大きい」ものは、後回しにするか、あるいは「やらない」という判断も重要です。リソースは有限。検証で見つかった課題を「宝の地図」として活用し、最も賢いルートで改善を進めていきましょう。

文化を育てる。ユニバーサルデザインを組織の「当たり前」に

一回の検証と改善で、Webサービスが永遠に使いやすくなるわけではありません。新しい機能が追加されれば、新たな課題が生まれる可能性もあります。ユニバーサルデザインを真にビジネスの力とするためには、一度きりのイベントではなく、組織の文化として根付かせ、開発プロセスに組み込んでいく必要があります。

例えば、こんな仕組みはどうでしょうか。

  • デザインレビューの定例化:新しい画面をデザインする際、必ずアクセシビリティの観点を含めたレビュー会を実施する。
  • 開発初期段階での検証:ワイヤーフレームやプロトタイプの段階で簡易的なユーザーテストを行い、致命的な問題が作り込まれるのを防ぐ(手戻りを減らす)。
  • 「ペルソナ」の多様化:サービス設計で用いる仮想ユーザー像(ペルソナ)に、高齢者や障害のある人を意図的に含める。

最初は少し手間がかかるかもしれません。しかし、こうした取り組みが定着すれば、開発チーム全体の意識が変わり、リリースされるサービスの品質が底上げされます。それは、特定の誰かのための「特別な対応」ではなく、すべての顧客に最高の体験を届けるための「当たり前の品質基準」となるはずです。ユニバーサルデザインの推進は、最終的には組織全体のデザインリテラシーを高める、強力な人材育成の機会にもなるのです。

まとめ|未来の顧客のために、今すぐ始められること

今回は、Webサービスのユニバーサルデザイン検証が、なぜビジネス成長に不可欠なのか、そして具体的にどう進めてけば良いのかを解説してきました。

  • ポイント1: 法改正を機に、ユニバーサルデザインを「守り」から「攻め」の経営戦略と捉え直す。
  • ポイント2: CVR向上、LTV向上、SEO評価向上といった明確なビジネスインパクトがある。
  • ポイント3: 自動ツールだけでなく、専門家によるヒューリスティック評価やユーザーテストが成果への鍵。
  • ポイント4: 検証後は「インパクト」と「工数」で優先順位をつけ、賢く改善計画を立てる。
  • ポイント5: 組織文化として根付かせることが、継続的なサービス価値向上に繋がる。

あなたのWebサービスには、まだ出会えていない未来のお客様がたくさんいるはずです。その方々との最初の接点であるWebサイトが、知らず知らずのうちに彼らを拒絶してしまっているとしたら、これほど悲しいことはありません。

もし、より専門的な視点での課題発見や、具体的な改善提案が必要だと感じたら、いつでも私たちpicks designにご相談ください。一緒に、すべてのユーザーに愛されるサービスを育てていきましょう。

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