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なぜ「良い製品」なのに売れないのか?答えはユーザー中心設計にあり

あなたの会社には、自信を持って世に送り出した製品やサービスがあるはずです。しかし、「機能は優れているはずなのに、なぜかユーザーに響かない…」「顧客満足度が上がらず、解約が後を絶たない…」そんな悩みを抱えていませんか?
実は、驚くべきデータがあります。デザインを経営の中核に置く企業は、そうでない企業に比べて収益成長率が2倍に達するというのです。(出典: McKinsey & Company)彼らの成功の根幹にあるのが、今回ご紹介する「ユーザー中心設計(UCD)」という考え方です。
「またデザインの専門用語か…」と思うかもしれませんが、これはデザイナーだけのものではありません。むしろ、ビジネスを成功に導くための経営戦略そのものです。この記事では、ユーザー中心設計とは何か?という基本から、あなたの会社の収益を劇的に改善する具体的なプロセスと実践方法まで、どこよりも分かりやすく解説していきます。
ユーザー中心設計(UCD)とは?人間中心設計との違いも解説
ユーザー中心設計(UCD)とは、その名の通り「製品やサービスを作る際に、常にユーザーを全てのプロセスの中心に据える」という思想であり、そのための具体的なデザインアプローチです。国際規格ISO 9241-210でもそのプロセスが定義されており、世界中の成功しているプロダクト開発の現場で採用されています。
ここでよく出る質問が「人間中心設計(HCD)と何が違うの?」というものです。これ、すごく良い質問なんです。簡単に言うと、こんなイメージです。
- 人間中心設計(HCD): 「人間」を理解するという、より大きな思想・哲学。「どこへ行くか」という目的地の話。
- ユーザー中心設計(UCD): HCDの思想を、特定の「ユーザー(製品やサービスの利用者)」に焦点を当てて、実現するための具体的な「方法論・プロセス」。「どうやってそこへ行くか」というナビの話。
- UIやUXそのものを整理して理解したい方は、【図解】UIUXとは何か?初心者が知っておくべき基本知識 も参考になります。
| 項目 | 人間中心設計(HCD) | ユーザー中心設計(UCD) |
|---|---|---|
| 対象 | 人間全般(利用者、関係者、社会全体) | 特定のユーザー(製品・サービスの利用者) |
| 焦点 | 哲学・思想・アプローチ全体 | 具体的な開発プロセス・手法 |
| 関係性 | UCDを包含する、より広範な概念 | HCDの思想を実践するための具体的な方法論 |
なぜUCDは「儲かる」のか?投資対効果(ROI)を数字で見る

「ユーザーを大切にするのは分かるけど、それが本当に会社の利益に繋がるの?」…経営者や事業責任者なら、そう考えるのは当然です。結論から言いましょう。ユーザー中心設計は、極めて高い投資対効果(ROI)を生み出します。
- 驚異的なROI: Forrester Researchの調査によれば、UX(UCDのゴール)への投資は、1ドルあたり100ドルのリターン(ROI 9,900%)を生む可能性があると報告されています。これは、顧客満足度が向上し、リピート購入や長期利用に繋がるためです。
- 劇的なコスト削減: 開発終盤で発見された問題を修正するコストは、設計初期の100倍以上かかると言われています。UCDは、早い段階でユーザーテストを行うことで問題を洗い出すため、無駄な開発コスト(技術的負債)を劇的に削減します。
- コンバージョン率の向上: ユーザーにとって本当に使いやすいサイトやアプリは、コンバージョン率を最大400%向上させる力を持っています。ユーザーの行動を深く理解し、障壁を取り除くことで、売上は直接的に向上するのです。
UCDの基本プロセスを知る|成功への4ステップ
では、ユーザー中心設計は具体的にどのように進めるのでしょうか。国際規格ISO 9241-210では、以下の4つの活動を繰り返すことが定義されています。難しく見えるかもしれませんが、一つひとつはとてもシンプルです。
- 1 利用状況の把握と明示: まずは「誰が、何のために、どんな状況で使うのか?」を徹底的に調査し、理解します。アンケートやインタビュー、行動観察などが主な手法です。ここで重要なのが、思い込みを捨てて、ユーザーのリアルな姿を捉えること。
- 2 ユーザーと組織の要求事項の明示: 調査で得た情報から、「ユーザーが本当に求めていること」と「ビジネスとして達成すべき目標」を明確に定義します。ここで役立つのが、具体的なペルソナの作り方です。ユーザー像を具体化することで、チームの目線が揃います。
- 3 設計による解決策の創出: ユーザーの要求とビジネス目標を満たすためのデザイン案を具体的に形にしていきます。アイデアをスケッチやワイヤーフレーム、そして実際に触れるプロトタイプへと落とし込んでいきます。
- 4 要求事項に対する設計の評価: 作成したデザイン案(特にプロトタイプ)が、本当にユーザーの課題を解決できるのかをテストします。ユーザーに実際に触ってもらい、その行動を観察する「ユーザビリティテスト」が代表的な手法です。
「予算がない」は言い訳?明日からできるスモールUCD

「理想は分かったけど、うちにはそんな調査をする予算も時間もない…」という声が聞こえてきそうです。ご安心ください。ユーザー中心設計は、大掛かりな調査だけではありません。明日から、あなたのチームですぐに始められる「スモールUCD」がたくさんあります。
まずはここから!UCDの小さな健康診断
- 営業やCS担当者に話を聞く: 顧客と最も接している彼らは、「ユーザーの一次情報」の宝庫です。彼らが日々聞いている顧客の不満や要望に、改善のヒントが隠されています。
- カスタマーレビューやSNSを分析する: ユーザーが自発的に発信している声に、真摯に耳を傾けましょう。そこには、あなたが気づいていないプロダクトの価値や課題が書かれています。
- 家族や友人に5分だけ使ってもらう: たった5人のユーザーにテストしてもらうだけで、問題の85%が見つかると言われています。(出典: Nielsen Norman Group)専門家でなくても構いません。製品を全く知らない人に触ってもらうだけで、驚くほどの発見があります。
大切なのは、完璧な調査をすることではなく、まず「ユーザーの声を聞く」という文化をチームに作ること。この小さな一歩が、大きな変化を生み出します。
理論を実践へ。picks designのUCD事例
私たちpicks designは、創業以来すべてのプロジェクトでユーザー中心設計を実践し、お客様のビジネス成果に貢献してきました。その一例をご紹介します。
【事例】ある建設業界向けサービス企業 サイトリニューアル
ある建設業界向けサービス企業の事例では、「現場の職人さんが、スマホで直感的に使えること」が成功の絶対条件でした。私たちは、UCDのプロセスに基づき、まずターゲットユーザーである職人さんたちのITリテラシーや、現場での実際のスマホ利用状況を徹底的にリサーチしました(利用状況の把握)。
その結果、「専門用語が多いと離脱する」「細かい文字は読まない」といったインサイトを得て、専門用語を避け、視覚的なナビゲーションを中心としたUIを設計(設計による解決策の創出)。プロトタイプを用いたテストを繰り返すことで(要求事項に対する設計の評価)、ターゲットユーザーに確実に届くサービスサイトを実現しました。これこそが、ユーザー中心設計がビジネス成果に結びついた瞬間です。
まとめ:『ユーザーの声』は、あなたのビジネスの羅針盤である
これまで見てきたように、ユーザー中心設計(UCD)は、単なるデザイン手法ではありません。それは、顧客を深く理解し、ビジネスのあらゆる意思決定の中心に据えることで、収益性と競争優位性を確立する経営戦略です。
「良い製品を作れば売れる」という時代は終わりました。現代の市場で成功を収めるのは、「ユーザーが本当に求めるもの」を理解し、最高の体験(UX)として提供できる企業だけです。そのための、最も信頼できる羅針盤が「ユーザーの声」に他なりません。
もし、あなたのビジネスが「どこへ進むべきか」に迷っているなら、一度立ち止まって、ユーザーの声に耳を傾けてみませんか?picks designでは、お客様のビジネスフェーズに合わせた最適なユーザーリサーチとUI/UXデザインのご提案が可能です。まずは無料相談から、お気軽にお声がけください。







