Webサイトやアプリ制作では、ユーザーのUI.UXを高める高機能なデザインツールを選ぶことが大切です。
このため複雑なレイアウトやデザインをスムーズに管理できる「AdobeXD」や「Figma」は高度なタスクを処理できるツールとしてどちらも欠かせないツールとなっています。
本記事では、UI.UXデザインに効果的なAdobeXD・Figmaの機能や違い、おすすめの用途について解説します。
目次
UI.UXツールが必要な理由は?
AdobeXD・FigmaなどのデザインツールはUX(ユーザーエクスペリエンス)の向上を目的とした、サイト設計やアプリのデザインを支援するソフトウェアです。
これらのツールは、ユーザーがプロダクトをどのように使用するかや、どのように感じるかに焦点を当ててデザイン制作をサポートします。
つまりWebサイトやアプリ制作時にユーザーのUI.UXを高める際は、大変重要なツールと言えるでしょう。
先に結論をお伝えします。
Adobe XD | Figma | |
こんな人におすすめ | ・Adobe CCを既に使っている人 ・ガッツリUI,UXというよりサブ的に少し使いたい人 | ・これからUI,UXを専門的にやりたい人 ・Adobe CCは契約していない人 |
その理由を解説します。
AdobeXD・Figmaの料金は?
AdobeXD・Figmaの料金、機能の比較表は以下の内容になります。(※価格は2023年8月現在のもので、予告なく変更になることがあります。)
ツール | AdobeXD | Figma |
無料プラン/月 | – | 有/スターター |
有料プラン/月 | – | $12 /プロフェッショナル・$45/ビジネス |
有料プラン/年 | – | $900/エンタープライズ |
コンプリートプラン | 6,480円/月・72,336円/1年 | – |
じつはAdobeXDは、2023年1月以降単体での購入が終了してしまいました。
このため2023年8月現在、AdobeXDは20以上のAdobe製品をパッケージで利用できるCreative Coludの「コンプリートプラン」でのみ利用が可能となっています。
一方、Figmaは永続無料のプランがあります。
また、Figmaはチームで利用できるプランが豊富に揃っているので、組織の規模に合わせて利用を検討してみるとよいでしょう。
それぞれの料金を参考に、個別の機能について確認していきましょう。
Adobe XD とは?
Adobe XD(Experience Designの略)は、Adobe社が開発したUI・UXデザインのための「プロトタイピング」や「デザイン」を目的としたツールです。
プロトタイピングとは、デザイナーや開発者がWebサイト、アプリなどのプロダクトデザインを行い、動作やレイアウトなどをプロトタイプとして作成し、テストすることができます。
一方で実用段階でのデザインも充分な機能が備えられていますので、Web・アプリ開発に最適なツールと言えるでしょう。
とくにAdobeXDはアプリの画面遷移やアニメーションなどをシームレスにデザインし、チーム内で共同作業をするのに便利なツールです。
- AdobeXDの機能・特徴について
Adobe XDの主な機能・特徴は以下の内容になります。
1.デザインキットとコンポーネント
リピートする要素やデザインパターンを再利用可能なコンポーネントとして作成し、一貫性のあるデザインを維持します。
2.プロトタイピング
ページ間の遷移やユーザーアクションに基づいたインタラクティブなプロトタイプを作成し、ユーザーエクスペリエンスを検証できます。
3.共同作業
リアルタイムでの共同編集やコメント機能を使用して、デザイナーやクライアントと協力してプロジェクトを進めることができます。
4.スクロール連動アニメーション
コンテンツがスクロールする際に自然なアニメーションを適用し、UXを向上させます。
5.アートボードとグリッド
複数の画面やデバイス向けのデザインを容易に管理するためのアートボードと、配置を整列させるためのグリッドを提供します。
6.ステーツとトリガー
コンポーネントの異なる状態(ステーツ)を作成し、トリガーによって状態を切り替えることで、動的なプロトタイプを制作します。
7.プラグインサポート
サードパーティのプラグインを導入して、機能を拡張したり、ワークフローを最適化したりすることができます。
8.リサイズオプション
デザインを異なる画面サイズに適応させるためのリサイズオプションを提供し、効率的なデザイン作業を可能にします。
このようにAdobe XDは、ユーザーエクスペリエンスデザインに特化した多彩な機能を使用することができます。
Figmaとは?
Figmaは、クラウドベースのデザインツールで、ウェブブラウザ上で共同作業を行いながらUI・UXデザインを作成、編集、共有できるプラットフォームです。
Figmaは、デザイナーや開発者がリアルタイムで協力し、プロトタイプやワイヤーフレームを作成し、デザインの詳細を共有するのに役立ちます。
- Figmaの機能・特徴について
Figmaの主な機能と特徴は以下の内容になります。
1.クラウドベースのデザインツール
すべての作業をクラウド上で動作し、ウェブブラウザを介してアクセスできます。インストールが不要なため、どのデバイスからでも作業が可能です。
2.リアルタイム共同作業
複数のユーザーが同時に同じプロジェクトを編集でき、変更がリアルタイムで反映されます。デザイナーや開発者が円滑に協力できます。
3.ベクターイラストレーション
Figmaはベクターグラフィックスをサポートし、シャープでスケーラブルなデザインを作成できます。
ロゴやアイコンなどの要素に適しています。
4.プロトタイピングとアニメーション
ユーザーは画面間の遷移を設定し、プロトタイプを作成できます。
また、アニメーションを追加してユーザーエクスペリエンスを豊かにすることもできます。
5.コンポーネントとスタイルの共有
デザイナーはコンポーネント(再利用可能な要素)を作成し、スタイルを共有することで、一貫性のあるデザインを維持できます。
Figmaの方がコンポーネントの機能は多く、より多彩なデザインの実装が可能です。
ただし初心者にはわかりにくい部分も多く、複雑な印象を受けます。
6.プラグインのサポート
Figmaには多数のプラグインがあり、デザインワークフローを拡張することができます。
例えば自動レイアウトやデザイン検証などのツールがあります。
7.バージョン履歴とコメント
プロジェクトの変更履歴を確認したり、コメントを付けたりしてコミュニケーションを行うことができます。
8.プレゼンテーションモード
プロトタイプをフルスクリーン表示してプレゼンテーションを行うためのモードがあります。
9.オフライン作業と同期
インターネットに接続されていない状況でも作業が可能で、接続後に同期が行われます。
10.セキュリティとアクセス制御
プロジェクトのセキュリティを確保するために、アクセス権限を設定したり、デザインの共有を制御したりすることができます。
このようにFigmaは、デザインプロセスを効率化し、チーム間のコラボレーションを向上させる強力なツールです。
AdobeXD・Figmaの機能を比較
Adobe XDとFigmaのそれぞれのメリットとデメリットを説明します。
〈 Adobe XDのメリット 〉
- シームレスなAdobe製品連携
Adobe Creative Cloudの一部として提供されており、IllustratorやPhotoshopとの連携がスムーズです。
- プロトタイピングの強化
ユーザビリティテストやプロトタイプの作成に適しており、ユーザーエクスペリエンスを検証しやすくなっています。
- Auto-Animate機能
要素間のアニメーションを容易に設定できるAuto-Animate機能があり、インタラクティブなプロトタイプを作成できます。
また、Adobe Ceratove Cloudで利用可能なイラストレーターのファイルなど簡単に共有できることもメリットでしょう。
〈 Adobe XDのデメリット 〉
- リアルタイム共同作業は限定的
リアルタイムで共同作業を行う場合、作業するユーザーのバージョンを合わせる必要があることや、共同作業ファイルは自動で保存されるなどルールを覚えておく必要があります。
- ベクター編集の制限
Illustratorほど高度なベクターグラフィックス編集機能は提供されていないことがあります。
〈 Figmaのメリット 〉
- クラウドベースでのリアルタイム共同作業
ユーザーはクラウド上で同時に編集でき、リアルタイムでの協力が可能です。
- プラットフォームの独立性
インストール不要で、ウェブブラウザを介してどのデバイスからでも利用できます。
- プラグインエコシステム
プラグインにより機能を拡張でき、自動化や効率化が図れます。
〈 Figmaのデメリット 〉
- デスクトップアプリがない
クラウドベースのみで提供されているため、オフラインでの作業が制限される可能性があります。
- Adobe XDのAuto-Animateに対抗する機能が一部欠ける
アニメーションの作成には効果的ですが、Auto-Animateのような高度なアニメーション機能には若干劣ることがあります。
このようにAdobeXD、Figmaにはそれぞれメリット・デメリットがあります。
どちらを選ぶかはプロジェクトのニーズやチームのワークフローによって異なるため、最適なツールを検討することが大切です。
以下比較をまとめました。
ツール | AdobeXD | Figma | 解説 |
使いやすさ | ⚪︎ | △ | XDの方がシンプルでわかりやすい |
機能性 | △ | ◉ | Figmaの方が機能が多い |
金額 | △ 6,480円/月・72,336円/1年 セール等狙えると(40,000円/1年) | ◉ 無料〜 | XDは単体プランを終了 Adobe 製品のCC(コンプリートプラン)にはあるのでCCを既に使っている人は良い |
共同作業 | 1ライセンス2つの端末から同時作業可能 | 1ライセンス1つの端末まで(複数人同時編集をしたい場合はその分契約が必要) | XDは、一つの有料ライセンスで複数の端末に入れるかつ同時に2つの端末から編集可能です) Figmaで2つの端末から編集をしようとすると2つのラインセンス(3600円ほどかかる) |
illustratorとの互換性 | ⚪︎ illustratorからコピペ可能 | △ コピペ不可(アウトラインしたベクターで挿入可 | XDだとillustratorからベクターデータを直接コピペし、テキスト編集も可能です。しかし、完全に互換性があるとはいえず。サブ的な機能と考えた方が良い |
こんな人におすすめ | ・Adobe CCを既に使っている人 ・ガッツリUI,UXというよりサブ的に少し使いたい人 | ・Adobe CCは契約していない人 ・これからUI,UXを専門的にやりたい人、 | Adobe CCを契約しているかどうかが1番のポイントですね。 |
AdobeがFigmaを買収した理由は?
2022年10月20日、AdobeはFigmaを200億ドルで買収することを発表しました。
この買収は、Adobeがデジタルデザイン市場におけるシェアを拡大し、競争力を強化するための戦略の一環とみられています。
AdobeXDにはないFigmaの魅力
Figmaは、Webブラウザ上で動作するクラウドベースのデザインツールです。
従来のデザインツールに比べて使いやすく、チームでのコラボレーションが容易なことから、近年急速に人気が高まっています。
Adobeは、PhotoshopやIllustratorなどの強力なデザインツールを既に保有しています。
しかし、FigmaはWebブラウザ上で動作するため、Adobeのデザインツールよりもアクセスしやすく、使いやすいというメリットがあります。
Figma買収でのメリットを強調
今回の買収により、AdobeはFigmaのユーザー基盤と技術力を獲得することができます。
これにより、Adobeはデジタルデザイン市場におけるシェアを拡大し、競争力を強化することができると期待されています。
具体的には、Figmaのユーザー基盤を活用して、Adobeのデザインツールの普及を促進することができます。
Figmaの技術力を活用して、Adobeのデザインツールを強化することも可能になるでしょう。
また、AdobeはFigmaのユーザー基盤と技術力を活用して、新しいデザインツールやサービスを開発することも考えられます。
これにより、Adobeはデジタルデザイン市場におけるリーダーシップを確立することができると期待されています。
今後の見通しについて
ただし、今回の買収にはいくつかの懸念点もあります。まず、Figmaのユーザー基盤がAdobeのデザインツールに移行するかどうかは不明です。
また、AdobeのデザインツールがFigmaの技術力を吸収できるかどうかも不明です。
これらの懸念点を克服できれば、Adobeは今回の買収により、デジタルデザイン市場におけるシェアを拡大し、競争力を強化することができると期待されます。
価格プランでもご紹介しましたが、AdobeXDはCreative Cloudのコンプリートプランでのみの扱いに変わっていることから今後はFigmaなど他のツールに移行するユーザーも増えることが予想されます。
現時点でAdobeはXDのサポートを継続していくとしていますが、Figmaの買収移行Adobeの方針がどのようになるのか、動向を見守る必要があると言えるでしょう。
※併せて読みたい「【最新】Figmaの料金プランとは?有料版3タイプと無料版の違い」記事はコチラ
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まとめ
今回は、UI.UXデザインに効果的なAdobeXD・Figmaの機能や違い、おすすめの用途について解説しました。
AdobeXD・Figmaの料金プランや機能の特徴をご紹介しましたが、どちらもユーザーのUI.UX体験を強化できる必須のツールであることがご理解頂けたのではないでしょうか?
2023年8月現在、AdobeはFigmaを買収したのちのAdobeの動向を注視する必要があることをご紹介しました。
XD、Figmaはそれぞれ優れた機能をもつUI,UXツールですが、XDユーザーの方はFigmaなど他ツールへの移行を検討してもよいでしょう。
今後ぞれぞれのツールの仕様や料金など、どのような変化が起こるのか引き続き注視することをお勧めします。