最近盛んに取り上げられるAIでは、従来手作業で行っていたさまざまな作業を自動化できる技術が進んでいます。
DTP・動画編集などプロが制作するツールとして人気のAdobe(アドビ)では、画像生成用のAI「Adobe Firefly」を発表しました。
本記事ではAdobe Fireflyの特徴や機能、画像生成AdobeAIの現状について解説します。
目次
Adobe Fireflyとは?
「Adobe Firefly」は、IllustratorやPhotoshopなど多くのプロ仕様デザインツールを開発するアドビ社が3月に公開したジェネレーティブAIです。
現在登録を行い、利用可能の通知があった方から順に使用できます。
著作権問題をクリア
現在Beta版が利用可能なアドビAIでは、機械の学習用に自社の画像ストックアプリ「Adobe stock」素材を活用しています。
このため既存のAIサービスを展開する他社と異なり、著作権問題をクリアしている点は大きなメリットと言えるでしょう。
また、IllustretorやPhotoshopなど既存の人気ツールを統括する「Adobe Creative Cloud」での対応がアナウンスされていますので、実現した場合画期的な「アドビ専用のジェネレーティブAI」が誕生することになります。
公開されているアプリの機能は?
Adobeの専用AI 、Adobe Fireflyを活用したアプリは現在2種類公開されています。 ここではそれぞれの機能についてご紹介します。
Text effets-テキストを装飾
AIにタスクを実行させるプロンプトのテキストを装飾可能なText effetsでは、グライフィカルな文字を簡単に作成できます。
具体的にはプロンプトを入力すると、植物や花などで文字を装飾し、視覚的に凝ったデザインを生成します。
ただし、日本語フォントには現在未対応ですので覚えておきましょう。
従来のAI画像ツールはフォントのグラフィック可能なアプリは少ないため、今後が楽しみなツールと言えるでしょう。
Text to image-イメージ画像を作成
プロンプトを打ち込み、イメージや目的に合わせた画像を生成するText to imageは、多くの方が想像するジェネレイティブAI機能を搭載したツールでしょう。
Text to imageのプロンプト欄にイメージを打ち込むと、入力した内容をもとに候補となるAI画像が表示されます。
また、候補画像を選び、素材としてよりイメージに近い画像を作成することも可能です。
このように現状のアドビAIでは、プロンプトをもとに文字や画像を生成できるアプリがリリースされています。
Fireflyで追加予定の10機能について
Fireflyでは、今後新たに10の機能が追加される予定です。
それぞれの内容は以下の通りになります。
- Recolor vector
ベクター系のアートワークに使用されるカラーバリエーションを作成
- Inpainting
プロンプトで設定した内容で箇所を塗る・塗りつぶす
- Personalized results
好みのスタイルを指定し、選んだスタイルに合わせ作成
- Text to vector
指定したテキスト文書をベクター系グラフィックに変換
- Extend image
画像のない仮想領域を設定し、アスペクト比を変更
- 3D to image
3Dモデルを指定した方向から画像を作成
- Text to pattern
プロンプトで指定した内容をもとにタイルパターンを作成
- Text to brush
IllustratorやPhotoshop用ブラシをプロンプトの指定をもとに作成
- Sketch to image
簡易なスケッチをもとに詳細なグラフィックを作成
- Text to template
プロンプトを指定し編集可能なテンプレートを作成
これらの機能はいずれもアドビ社のプラットフォーム「Creative Cloud」に含まれるアプリの作業をフォローする形でAdobeAIを実装していく予定です。
このことから、今回はFireflyの代表的な機能をお知らせする内容となっています。
他にはアスペクト比の設定や、作成した画像にテイストを盛り込む機能も追加されていますが、本格的な作画AIツールとしてはまだまだこれからと言えるでしょう。
動画編集用のアプリもAI対応
アドビAIは、動画編集が可能なツール「Premiere Pro」にも導入が予定されています。
おもな機能は以下の内容です。
- プロンプトによるカラー調整
- 音楽・カスタムサウンドの自動生成
これらの機能追加と併せて、Adobe Premiere ProやAfter Effectsでのビデオ関連ツールのAI機能強化も23年後半から順次展開されます。
動画・ビデオ編集がアドビAIによりさらに便利に利用できる仕様に変わりますので、是非覚えておきましょう。
企業をサポートする目的のAI
Fireflyでは基本的にポルノや差別、暴力を連想する内容はNGとされています。
これらのキーワードを打ち込んだ場合、「ガイドラインに違反している」というメッセージが出るケースもあります。
こうしたNG措定は、AdobeAIが企業のクリエイターが安心して作業できる環境作りをサポートする目的で構築されているためです。
これらの目的は、企業が安心して作業に取り組めるようサポートすることであることを覚えておきましょう。
作業負担を減らすAI技術
例えば新たな「Project Limitless Options」という技術は、目的に沿ったコンテンツ画像をAdobeAIが無限に作成することが可能になります。
この技術は中心となるコンテンツは企業のクリエイターが作成し、「さまざまなシチュエーションに合わせる」目的でFireflyは実装されるのです。
これは「画像の最適化」という作業負担をAIが替わりに行うことで、作業効率を高める狙いがあります。
従来は膨大な時間を費やした作業をより短時間で負担を少なくすることが可能になるでしょう。
このようにアドビでは、企業が抱えるクリエイターが快適に使用できる環境を構築する目的でAdobeAIは活用されます。
プロが使いやすいAdobe Senseiがベースとなる「Adobe Sensei GenAI」を、有効に活用していきましょう。
画像生成AIの現状について
AdobeAIをはじめとした画像生成AIにはどのような特徴があるのでしょうか?
現在の画像生成AIの特徴・機能性をご紹介します。
- 自律性
画像生成AIは、データセットを元に学習し、自律的に新しい画像を生成することができます。
そのため、ヒューマンエキスパートの介入なしに、大量の画像を自動的に生成することができます。
- 創造性
画像生成AIは、データセットに含まれていない新しい画像を生成することがあります。
例えばGANなどの技術を使うことでデータセット内の画像に似た特徴を持つ画像を生成することが可能に。
この技術ではデータセットの組合せ次第で創造性のある画像を生成することができます。
- 時間とコストの削減
画像生成AIは、手動で画像を生成するために必要な時間とコストを削減することができます。
また大量の画像を短時間で生成できるため、研究開発やデザイン業界、映像制作などの分野で、時間とコストの削減につながります。
- 柔軟性とカスタマイズ性
画像生成AIは、生成する画像の形式や内容を柔軟に変更することができます。
他にも異なるスタイルや形式の画像を生成することができ、簡単にカスタマイズすることができます。
画像生成をAIで行う際の注意点は?
画像生成をAIで行う際の注意点は以下のようになります。
- データセットの質と量
画像生成AIの性能は、学習に使用するデータセットの質と量に大きく依存します。
不適切なデータセットを使用すると、予期しない結果をもたらす可能性があります。
そのため適切なデータセットを選定し、事前にデータの前処理を適切に行う必要があります。
- 不確実性を考慮すること
画像生成AIは不確実性を持つため、生成される画像が予期しない結果になる可能性があります。
そのため、不確実性を考慮したモデルの評価と改良を行う必要があります。
- モデルの選択
画像生成AIには、いくつかの異なるアルゴリズムやモデルが存在します。
GAN、VAE、PixelCNNなどがあります。
使用するモデルは、アプリケーションの要件に合わせて選択する必要があります。
- トレーニングとチューニング
選択したモデルをトレーニングする際には、トレーニングプロセスのパラメータのチューニングが必要です。
これにより性能が向上し、不確実性が減少することが期待されます。
適切なトレーニング時間や学習率などのパラメータを選択することが重要です。
- 偽造画像の可能性
画像生成AIは、偽造画像を生成する可能性があります。偽造画像の使用には、法的な問題がある場合があります。
そのため、この問題についても慎重に検討する必要があります。
- モデルの評価
画像生成AIの性能を評価するために、定量的および定性的な方法があります。
適切な評価基準を選択し、評価を適切に行う必要があります。
- プライバシーとセキュリティ
画像生成AIが生成する画像には、プライバシーとセキュリティ上の問題がある場合があります。
そのため慎重な使用と管理が必要です。
このように画像生成AIは従来の作業負担を減らす一方、法的な問題も含めて検討していく必要があります。
生成する画像の種類や用途を考え、導入することをおすすめします。
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まとめ
AdobeAI、 Fireflyの機能や特徴、AIデザインツール全般の現状について解説しました。
AdobeAIはAdobe Creative Cloudと連携し、企業のクリエイター、デザイナーが安心して使用できるツールを目指していることが分かりました。
また、画像生成AIの特徴や機能性については、プライバシーや法的な問題を含めて検討することが大切です。
新たに導入されるAdobeAIを活用し、作業効率化を目指していきましょう。