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そのボタン、クリックされていますか?

「登録する」「送信する」「購入する」…あなたのサイトやアプリに当たり前のように設置されているボタンの文言。しかし、その“たった一言”が、ユーザーを躊躇させ、気づかぬうちに数千万円、数億円の機会損失を生んでいるとしたら…?
信じられないかもしれませんが、あるA/Bテストでは、ボタンの文言を数文字変えただけでコンバージョン率が38%も向上したという事例があります。(出典: VWO)これは魔法ではありません。データとユーザー心理に基づいたUXライティングという「科学」です。
UXライティングとは、単に美しい文章を書くことではありません。それは、ユーザーをスムーズに導き、ストレスを取り除き、最終的にビジネス成果を最大化するための「コミュニケーション設計」そのもの。この記事では、その基本原則から、明日から使える実践的なテクニック、そしてpicks designが手掛けたリアルな改善事例まで、徹底的に解説します。
UXライティングとコピーライティング、何が違うの?

「文章で成果を出す」と聞くと、多くの人が「コピーライティング」を思い浮かべるかもしれません。両者は密接に関連しますが、その目的と役割は明確に異なります。
| 項目 | UXライティング | コピーライティング |
|---|---|---|
| 主な目的 | ユーザーを導き、タスク完了を支援する | ユーザーを説得し、購買意欲を喚起する |
| 活躍の場 | UI上(ボタン、エラーメッセージ、フォーム等) | 広告、LP、メルマガ、ブログ記事等 |
| 目指すもの | 使いやすさ、分かりやすさ、信頼感 | 興味喚起、共感、売上 |
| キーワード | ナビゲーション | セールス |
一言でいえば、コピーライティングが「お店に呼び込む」ための情熱的なセールストークだとすれば、UXライティングは「店内で快適に買い物をしてもらう」ための親切なガイド役です。両者は対立するものではなく、連携することで最高の顧客体験を生み出します。
優れたUXライティングの「土台」となる2つの要素

優れたUXライティングは、テクニック以前に、しっかりとした「土台」の上に成り立っています。いきなり「書く」ことから始めるのは、実はよくある失敗のもと。その前に、必ずおさえるべき2つの重要な要素があります。
1. 誰に語りかけるのか?(ペルソナ)
あなたのサービスのユーザーは、どんな言葉遣いを好み、どんな情報に価値を感じるのでしょうか。専門用語を好む専門家なのか、それとも親しみやすい言葉を求める初心者なのか。優れたUXライティングは、明確に定義されたペルソナに語りかけることから始まります。
2. いつ、どこで語りかけるのか?(カスタマージャーニー)
ユーザーが不安を感じている時に必要な言葉と、期待に胸を膨らませている時に響く言葉は全く違います。ユーザーがサービスと出会い、ファンになるまでの旅路を可視化するカスタマージャーニーマップを描くことで、各タッチポイントで最適な「声かけ」ができるようになります。
「守り」と「攻め」のUXライティング実践法
UXライティングは、大きく2つの側面に分けられます。それは、ユーザーの離脱やストレスを防ぐ「守りのライティング」と、コンバージョンやエンゲージメントを高める「攻めのライティング」です。両方をバランス良く実践することが、優れた顧客体験に繋がります。
🛡️ 守りのUXライティング:ユーザーの「困った」を解消する
ユーザーが最もストレスを感じるエラー画面や入力フォームこそ、「守りのライティング」の腕の見せ所です。「無効な入力です」という冷たい言葉を、「郵便番号はハイフンなしで入力してください」という親切な言葉に変えるだけで、フォームの完了率は最大22%向上すると言われています。(出典: Nielsen Norman Group)ユーザーを責めるのではなく、解決策へと導く。この寄り添う姿勢が、サービスの信頼を築きます。
🚀 攻めのUXライティング:ユーザーの「やりたい」を後押しする
CTA(行動喚起)ボタンやオンボーディング画面は、「攻めのライティング」の主戦場です。私たちが手掛けた、ある建設業界向けサービス企業の事例では、ターゲットである職人さんに響く言葉を追求しました。一般的な「資料請求」ではなく、「まずは無料で試してみる」「かんたん30秒登録」のように、心理的ハードルを下げ、具体的なアクションを促す言葉を選ぶことで、クリック率の大幅な改善に成功しました。
攻めのUXライティングをさらに強化したい方は、成果が出るUI改善のコツ|実践例&即効ノウハウを徹底解説 も参考にしてください。
明日から使える!UXライティング品質チェックリスト
「じゃあ、具体的にどう書けばいいの?」そんな声が聞こえてきそうですね。ここでは、あなたが今書いているその一文を、劇的に改善するための簡単なチェックリストをご紹介します。ぜひ、自社のサービス画面と見比べながら試してみてください。
属人化を防ぎ、組織の「声」を作るには?
優れたUXライティングを実践していると、必ず次の課題にぶつかります。それは「どうやって組織全体で品質を担保し、一貫性を保つか?」という問題です。ライター個人のスキルに依存している状態から脱却し、組織の資産にするためには、「ボイス&トーンガイドライン」の策定が不可欠です。
- ボイス(Voice): 私たちのブランドは、どんな「人格」か?(例:親しみやすい友人、信頼できる専門家、情熱的なコーチ)これは、会社のミッションやバリューから導き出される、不変の個性です。
- トーン(Tone): その人格が、状況に応じてどう「話し方」を変えるか?(例:成功を祝う時は明るく、エラーを伝える時は申し訳なさそうに)これは、カスタマージャーニーの各段階におけるユーザーの感情に寄り添う、可変の話し方です。
このガイドラインを策定し、チーム全員で共有することで、誰が書いてもブランドとしての一貫性が保たれ、ユーザーは安心してサービスを使い続けることができるのです。
売上向上まで視野に入れたUI/UX改善の具体策を学びたい方は、UIUX改善で売上アップ!今すぐ実践すべき最強ステップガイド をご覧ください。
まとめ:優れた「言葉」は、最高の「デザイン」である
UXライティングとは、画面の隙間をテキストで埋める作業ではありません。それは、ユーザーとの対話をデザインし、ビジネスの成果を創出する、極めて戦略的なデザイン活動です。
ボタンの文言一つ、エラーメッセージの一言が、ユーザーの心を動かし、あるいは離反させます。優れたビジュアルデザインがそうであるように、優れた言葉のデザインもまた、ユーザーに最高の体験を届け、あなたのビジネスを成功へと導く強力な力を持っています。
他社の成功と失敗から学びたい方は、UI/UX改善の成功事例&失敗から学ぶポイント もぜひ参考にしてください。
もし、あなたのプロダクトが「使い方が分かりにくい」「コンバージョン率が上がらない」といった課題を抱えているなら、その原因は「言葉」にあるかもしれません。picks designでは、お客様のブランドとユーザーに寄り添ったUXライティングの設計・改善を支援します。言葉の力で、あなたのビジネスを次のステージへ進めてみませんか。







