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UX=使いやすさ、だと思っていませんか?

「アプリのUXを改善しましょう」…この言葉を聞いて、あなたは何を思い浮かべますか?「ボタンを大きくする」「見た目をおしゃれにする」そんなイメージでしょうか。もしそうなら、非常にもったいない!あなたは、UXが持つ本当の力をまだ知らないのかもしれません。
ハッキリ言います。アプリUXとは、単なる「使いやすさ」ではありません。ユーザーを成功に導き、熱狂的なファンに変え、結果としてLTV(顧客生涯価値)を最大化させる、『事業戦略』そのものなんです。
信じられないかもしれませんね。では、Bain & Companyの有名な調査結果をご紹介しましょう。彼らによると、顧客維持率をわずか5%改善するだけで、企業の利益は25%以上も向上するとのこと。新規顧客の獲得コストが上がり続ける今、いかに既存のユーザーに長く、深くサービスを使い続けてもらうかが、事業成長の生命線なのです。
この記事は、よくある「UXの教科書」ではありません。LTVやチャーンレートに責任を持つ、経営者、事業責任者、プロダクトマネージャーのあなたへ。アプリUXという最強の武器を、いかにして事業成長に繋げるか。そのための具体的な考え方と戦略を、私たちの実績を交えてお伝えします。
なぜ、良いUXは「儲かる」のか?LTVと顧客体験の知られざる関係
「良い体験が顧客維持に繋がるのは、なんとなくわかる。でも、それが『儲かる』に直結するロジックが知りたい」…当然の疑問だと思います。
この因果関係を解き明かす鍵は、人間の「記憶」の仕組みにあります。行動経済学者ダニエル・カーネマンが提唱した「ピーク・エンドの法則」をご存知でしょうか。これは、人間が過去の体験を思い出すとき、その良し悪しを「最も感情が揺さぶられた瞬間(ピーク)」と「最後の瞬間(エンド)」の記憶だけで判断する、という法則です。
これをアプリUXに当てはめてみましょう。
- 💡 ピーク: ユーザーがアプリを使って、抱えていた課題が解決できた瞬間。「おお、便利だ!」と感動した瞬間。
- 🎉 エンド: アプリを使い終えた後、目的達成の余韻に浸ったり、ポジティブな通知を受け取ったりした瞬間。
優れたアプリUXは、この「ピーク」と「エンド」を意図的に設計し、ユーザーの脳裏に「このアプリは最高だ!」という強烈なポジティブな記憶を焼き付けます。この記憶こそが、「また使いたい」という継続利用のモチベーションとなり、結果としてチャーンレートを下げ、LTVを向上させるのです。つまり、良いUXデザインとは、ユーザーの記憶をデザインすることに他なりません。
BtoCアプリのUX:KPIを1.5倍にした「行動を促す」デザイン

消費者向けアプリ(BtoC)の世界では、楽しさや見た目の美しさが注目されがちです。しかし、成功しているアプリの本質は、ユーザーの「特定の目的」を達成させることにあります。
キャリア系SNSサービスの事例は、その好例です。このサービスは、ユーザー同士の繋がりを活性化させるという重要な課題を抱えていました。私たちは、単にUIを綺麗にするのではなく、「どうすればユーザーがもっと自然に、そして積極的に他者と関わりたくなるか」という行動心理に深く踏み込みました。
具体的には、ユーザーがプロフィールを更新したり、友人にリアクションしたりといった「望ましい行動」を取った際に、心地よいフィードバックや達成感を感じられるような仕掛けを随所に導入。UI/UXの全面リニューアルを通じて、主要KPIを1.5倍に向上させるという劇的な成果に貢献しました。
これは、デザインがユーザーの行動を変え、事業の成長に直接インパクトを与えた瞬間です。見た目のトレンドを追うだけでは、決してこの結果は得られませんでした。
BtoB/SaaSのUX:「複雑さ」を制するものが市場を制す
さて、ここからが本題です。競合の誰も語りたがらない、しかし企業の生産性を左右する「BtoB/SaaSアプリのUX」。
BtoCアプリが「楽しさ」なら、BtoBアプリの価値は「効率」です。継続利用(リテンション)がビジネスモデルの根幹であるSaaSにおいて、UXの失敗は即、解約(チャーン)に繋がります。多機能で複雑な業務を、いかにシンプルで直感的な体験に変えられるか。ここに、picks designが最も得意とする領域があります。
ウェルネスクラブ向けに会員管理システムを提供するあるSaaSは、まさにその典型例でした。私たちは、店舗スタッフが毎日利用する管理画面のUX設計において、「学習コストの低減」と「操作ミスの撲滅」を至上命題としました。現場の業務フローを徹底的に分析し、何百にも及ぶ機能を、ユーザーが迷うことなく使える情報アーキテクチャへと再構築。複雑な業務をシンプルにするUXが、顧客の業務効率を改善し、結果として顧客満足度とリテンション率を高める。この好循環こそ、BtoB/SaaSにおけるUX戦略の神髄です。
「良いUX」はどう作る?プロセスの第一歩

「UXの重要性はわかった。じゃあ、具体的に何から始めればいい?」という方のために、プロセスの入り口を少しだけご紹介します。
優れたUXデザインは、決してデザイナーのひらめきから生まれるものではありません。科学的なアプローチに基づいた、地道なプロセスの積み重ねなのです。
| フェーズ | 主な活動内容 | 目的 |
|---|---|---|
| 1. 発見(調査) | ユーザーインタビュー、アンケート、データ分析 | ユーザーが本当に抱えている課題やニーズは何か、先入観を捨てて発見する。 |
| 2. 定義 | ペルソナ作成、カスタマージャーニーマップ作成 | 発見した課題を基に、理想のユーザー像とその行動・感情の旅路を具体的に定義する。 |
| 3. アイデア創出 | ブレインストーミング、アイデアスケッチ | 定義した課題を解決するための、あらゆる可能性を自由に発想する。 |
| 4. プロトタイプ | ワイヤーフレーム、インタラクティブプロトタイプ作成 | アイデアを具体的な画面や操作感に落とし込み、検証できる「試作品」を作る。 |
| 5. テスト | ユーザビリティテスト | 実際のユーザーにプロトタイプを触ってもらい、課題がないかを検証し、改善を繰り返す。 |
このサイクルを高速で回し続けること。それが「良いUX」を生み出すための王道です。
業者選びの罠:その会社、「事業」をデザインできますか?
UX改善を外部に依頼しようと考えたとき、多くの企業が陥る罠があります。それは、「見た目を綺麗にしてくれる会社」や「言われた通りに作ってくれる会社」を選んでしまうこと。
思い出してください。UXは事業戦略そのものです。あなたが本当に探すべきパートナーは、あなたのビジネスモデルを深く理解し、事業課題を共有し、その解決策としてUXデザインを提案・実行できる会社です。
では、どうやって見極めるのか?
- ✅ 実績の「背景」を聞く:「このデザインで、クライアントのどんな事業課題が解決され、どんな成果が出ましたか?」と質問してみてください。
- ✅ プロセスへのこだわりを見る: 彼らがどのようなプロセスでデザインを進めるのか。ユーザー調査や戦略立案のフェーズを重視しているかを確認しましょう。
- ✅ チームの専門性を知る: 優れたUXは、デザイナーだけでなく、ビジネスを俯瞰するコンサルタントやサービスデザイナーの視点が不可欠です。
私たちのブログでは、アプリの体験価値を最大化する「サービスデザインの全体像」や、優れたUXを生み出す「UI/UXデザイナーの仕事内容」についても詳しく解説しています。さらに「失敗しないUIUXデザイン会社5選と選定ノウハウ」では、実際に依頼先を選ぶ際の具体的なポイントも紹介しています。業者選びの参考に、ぜひご一読ください。
まとめ:アプリUXは「コスト」ではなく「最強の投資」である
長い時間お付き合いいただき、ありがとうございました。この記事でお伝えしたかったのは、たった一つのことです。
これからの時代、アプリUXはコストセンターではありません。
LTVを向上させ、持続的な事業成長を生み出す、最も重要なプロフィットセンターなのです。
- ▶ 優れたUXは、ユーザーの記憶にポジティブな体験を焼き付け、継続利用を促す。
- ▶ BtoCではユーザーの行動を促し、KPIを押し上げる力がある。
- ▶ BtoB/SaaSでは業務効率化を実現し、チャーンレートを劇的に下げる。
もし、あなたのアプリのユーザー数が伸び悩んでいたり、解約率の高さに頭を悩ませていたりするなら、その原因はプロモーションや機能不足ではなく、UXにあるのかもしれません。
あなたのアプリに眠る、まだ見ぬ可能性。それを引き出すお手伝いができることを、私たちは楽しみにしています。
あなたのアプリの可能性、一緒に見つけませんか?
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『自社の事業課題をUXの観点から整理したい』
『UX改善の投資対効果(ROI)について、より具体的に相談したい』
そうお考えでしたら、ぜひ一度、私たち株式会社picks designにお声がけください。私たちは単なる制作会社ではありません。あなたのビジネスを成功に導くための、最適なUX戦略を一緒に考える「デザインパートナー」です。







