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なぜ今、SaaSのUI/UXデザイン会社選びはこんなに難しいのか?

SaaSプロダクトの責任者の皆さん、こんな経験はありませんか?「ユーザー数は伸び悩むし、チャーンレートも高い…原因はUI/UXにある気がするけど、どこから手をつければ?」。そう思って「uiuxデザイン会社 おすすめ」と検索してみる。すると、出てくるのは大量の比較記事。でも、正直どれも同じに見えません?
キラキラした実績が並んでいるけど、自社のニッチなSaaSに本当にフィットするのか分からない。結局、タブをそっと閉じてしまう…。
何を隠そう、これは数年前の私の姿です。この業界にいると、UI/UXデザインの重要性は嫌というほど耳にしますが、いざ「じゃあ、どこの会社に頼む?」となると、途端に情報の大海で遭難してしまうんですよね。
この記事は、そんな過去の私のような「本気でプロダクトを良くしたいけど、パートナー選びで迷っている」あなたのために書きました。単なる会社リストではありません。SaaSビジネスを本当に理解し、事業成長まで伴走してくれる”真のパートナー”を見つけ出すための、実践的なノウハウと視点を提供します。
そもそも論:UI/UXデザインの「本当の価値」を数字で見てみよう

「UI/UXが重要」というのは、もはや常識かもしれません。でも、その「重要性」を経営層に説明するとき、フワッとした言葉だけでは響きませんよね。ここで、いくつか強力な武器(データ)をお渡しします。
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デザイン主導企業は市場を圧倒する
米国デザイン・マネジメント協会の調査では、デザインを経営の中核に置く企業(Apple, Nikeなど)の株価は、市場平均を211%も上回るパフォーマンスを見せました。デザインは、もはやコストではなく、事業成長の強力なエンジンなんです。
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1ドルのUI/UX投資が100ドルのリターンに
これはソフトウェア工学の有名な経験則。リリース後に問題を修正するコストを100とすると、デザイン段階での修正コストはたったの1。つまり、初期段階の適切なデザイン投資が、将来の莫大な手戻りコストを防ぎ、100倍のROIを生む可能性があるということです。
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CVRが最大400%向上
Forrester Researchによると、優れたUXデザインはコンバージョン率を最大で400%も向上させるとのこと。ユーザーが気持ちよく目的を達成できる体験が、いかに売上に直結するかが分かりますね。
これらは、UI/UXデザインが単なる「お化粧」ではなく、ビジネスの根幹を揺るがす戦略的投資であることの証明です。この視点を持つことが、良いUI/UXデザイン会社を選ぶ第一歩になります。
【本音で比較】SaaSに強いUI/UXデザイン会社おすすめ5選
お待たせしました。ここからは、数あるUI/UXデザイン会社の中から、特にSaaSビジネスに強みを持つと私が判断した5社を、忖度なくご紹介します。表面的な実績だけでなく、「なぜSaaSに強いのか」という視点で切り込んでいきます。
1. 株式会社picks design
『事業成果にコミットする、SaaSのUI/UX改善パートナー』
何と言っても、chocoZAPやRICOH 360など、大規模サービスのUI/UXを長期的に支援し、事業のスケールに貢献してきた実績が光ります。単に見た目を作るだけでなく、デザインシステム構築から関わり、事業のスケールに耐えうるデザイン基盤を作れるのが強みです。単に見た目を作るだけでなく、デザインシステム構築から関わり、事業のスケールに耐えうるデザイン基盤を作れるのが強み。ビジネスモデルへの理解が深く、「どうすればLTVが上がるか」を一緒に考えてくれる、まさにパートナーと呼ぶにふさわしい会社です。
2. 株式会社メンバーズ
『大規模サービスのUXリサーチとデータ分析の巨人』
豊富なリソースとノウハウを活かした、大規模なUXリサーチやデータ分析に基づいたコンサルティングが強み。既に多くのユーザーを抱える大手企業のSaaSや、これからデータドリブンな改善サイクルを本格化させたい企業にとっては、非常に心強い存在です。
3. フェンリル株式会社
『最高峰の技術力でアプリUI/UXを支える』
元々はアプリ開発で名を馳せた会社ですが、そのデザイン部門の実力は折り紙付き。特にネイティブアプリのUI/UXデザインにおいては、開発とデザインが一体となったスムーズなプロジェクト進行が期待できます。技術的な制約まで理解した上でのデザイン提案は、エンジニアからも評価が高いはずです。
4. 株式会社ニジボックス
『リクルート流のUXデザインプロセスと提案力』
リクルートグループで培われた、徹底したユーザー中心設計のプロセスが魅力。特に新規事業やサービスの立ち上げフェーズで、ユーザーインサイトを深く掘り下げ、説得力のあるプロトタイプで仮説検証を進める手法は、多くのスタートアップにとって参考になるでしょう。
5. 株式会社JIITAK
『グローバルな視点とモダンな開発体制』
国内外のスタートアップ支援で実績を積んでおり、グローバルスタンダードなUI/UXを提供できるのが強み。UI/UXデザインだけでなく、その後の開発までワンストップで対応できる技術力も持ち合わせています。海外展開を視野に入れているSaaSにとっては、良い選択肢の一つです。
一目でわかる!UI/UXデザイン会社5社の強み比較表
「文章だけだと比較しにくい!」という声が聞こえてきそうなので、各社の特徴をサクッと比較できる表を作ってみました。あくまで私の主観も含まれますが、会社選びの参考にどうぞ。
この表はあくまで入り口です。重要なのは、これらの特徴が「自社の今の課題」にどうフィットするか。次のセクションで、その見極め方をさらに深掘りします。
失敗しないUI/UXデザイン会社の選び方|他サイトが語らない「5つの本質」

多くのサイトが「実績を見ましょう」「費用を比較しましょう」と言いますが、正直それでは不十分。ここでは、私が多くのプロジェクトで痛感してきた、パートナー選びの「本質」とも言える5つのチェックポイントをお伝えします。
1.
「なぜ?」を5回問えるヒアリング力があるか
優れたパートナーは、こちらの要望を鵜呑みにしません。「なぜこの機能が必要なんですか?」と、根本的な課題を掘り下げてきます。この「なぜ?」の繰り返しが、本当に解決すべき課題を浮き彫りにするのです。初回の打ち合わせで、この姿勢が見えるかどうかが最初の分かれ道です。
2.
デザイナーの「成功体験」を語れるか
実績ページは綺麗で当たり前。重要なのは、その裏側にあるストーリーです。「このプロジェクトでは、〇〇という課題を△△というUIで解決し、結果□□という成果が出ました」と、担当デザイナー自身の口から語れるか。生きた経験こそ、信頼の証です。
3.
「作って終わり」じゃない、リリース後の伴走体制はあるか
特にSaaSは、リリースしてからが本番。ユーザーの反応を見ながら、高速で改善サイクルを回す必要があります。「納品したらサヨウナラ」ではなく、効果測定や次期改修の相談にも乗ってくれるか。長期的な視点を持っているかを確認しましょう。
4.
心地よい「違和感」をくれるか
これは少し感覚的な話ですが、優秀なパートナーは、時に私たちの常識を覆す「心地よい違和感」のある提案をしてきます。自分たちだけでは絶対に思いつかなかったような、目からウロコの視点を提供してくれるか。これは、単なる御用聞きではない、プロの証拠です。
5.
チームの「人となり」が好きになれるか
結局のところ、プロジェクトを動かすのは「人」。スキルや実績はもちろん大事ですが、数ヶ月、時には数年にわたって一緒に走る相手です。コミュニケーションのテンポは合うか、尊敬できるか、一緒に仕事をしてワクワクできるか。この「ケミストリー」を侮ってはいけません。
【実録】UI/UXデザイン会社選びの「あるある失敗談」と処方箋
ここで少し、私が過去に見聞きした、あるいは体験した(!)苦い失敗談を共有します。他人の失敗は最高の学び。同じ轍を踏まないための処方箋として、ぜひ参考にしてください。
失敗談1:実績の「見た目」だけで選んだら…
症状:「あの有名サービスのUIを手掛けた会社だから」と、キラキラした実績だけで契約。しかし、いざ自社の地味だけど複雑な業務システムの改善を依頼したら、現場の業務フローへの理解が浅く、見た目は綺麗だけど全く使えないものが…。
処方箋:実績の「何を」評価するかを明確に。見た目の美しさだけでなく、「どんな複雑な課題を、どうやって解決したのか」というプロセスを深くヒアリングすることが不可欠です。
失敗談2:「とにかく安く」で発注したら…
症状:相見積もりで一番安いフリーランスに依頼。最初は良かったが、プロジェクト途中で連絡が途絶えがちに。結局、中途半端な成果物だけが残り、別の会社に2倍の費用を払ってやり直す羽目に。
処方箋:「安かろう悪かろう」は、この業界の残念な真理。価格の安さには、必ず理由があります。なぜその価格で提供できるのか(効率化の仕組みがあるのか、単に経験が浅いのか)をしっかり見極めましょう。
失敗談3:丸投げして「いい感じによろしく」と言ったら…
症状:「プロにお任せします!」と完全に丸投げ。定例会にも出ず、上がってきたデザインを見て「うーん、なんか違う」。手戻りの連続で、現場は疲弊し、予算も超過。
処方箋:UI/UXデザインは「協業」です。発注側も、自社のビジネスやユーザーに関する情報提供、フィードバックにコミットする責任があります。最高のパートナーを見つけても、発注側の関与がなければ良いものは生まれません。
実際のところ、どう進むの?依頼から納品までのリアルな流れ
「よし、いざ依頼するぞ!」と思っても、具体的にどう進むのか分からないと不安ですよね。ここでは、一般的なUI/UXデザインプロジェクトの流れを、弊社の進め方を例にご紹介します。
- 1. お問い合わせ・初回ヒアリング(無料)
まずは気軽に相談するところから。現状の課題やプロダクトの状況、予算感などをざっくばらんにお話しします。ここで「この会社、ちゃんと話聞いてくれるな」という相性もチェック。 - 2. 要件定義・お見積もり
ヒアリング内容を基に、プロジェクトのゴール、スコープ(作業範囲)、スケジュールを明確にし、お見積もりを提出します。内容に不明点があれば、納得いくまで質問攻めにしちゃいましょう。 - 3. UXリサーチ・戦略立案
契約後、プロジェクトがスタート。まずはユーザーインタビューや競合調査などを行い、課題の解像度を上げます。そして「誰に、どんな価値を、どう届けるか」というUXの骨格を固めます。 - 4. UIデザイン・プロトタイピング
戦略に基づき、具体的な画面デザイン(UI)を作成。ただの絵ではなく、クリックできるプロトタイプを作ることで、早い段階でユーザー体験を確認し、手戻りを防ぎます。 - 5. ユーザーテスト・改善
作成したプロトタイプを実際のユーザーに使ってもらい、課題を洗い出します。このフィードバックを基にデザインをブラッシュアップ。このサイクルを回すことで、デザインの精度が格段に上がります。 - 6. 実装・納品
完成したデザインを、エンジニアが実装できるように仕様を整えて納品。必要であれば、開発チームとの連携もサポートします。
重要なのは、各フェーズで発注側と制作会社が密に連携すること。決して、一方通行にはならないのです。
まとめ:最高のUI/UXデザイン会社は「探す」のではなく「育てる」もの
ここまで、UI/UXデザイン会社の選び方について、かなり踏み込んでお話ししてきました。結局、何が言いたいかというと、完璧なデザイン会社がどこかに「存在する」わけではない、ということです。
最高のパートナーシップとは、自社のビジネスを深く理解しようと努めてくれる会社を見つけ、そして自らも積極的に情報を提供し、フィードバックすることで、共に「育てていく」ものだと私は考えています。
今回ご紹介した5社は、その「育てる」に値するポテンシャルを持った素晴らしい会社ばかりです。そして、この記事を書いている私たち、株式会社picks designも、SaaSビジネスの成長に本気でコミットする、そんなパートナーでありたいと心から願っています。
もし、あなたのプロダクトが抱える課題について、「一度、壁打ち相手になってほしい」「うちのSaaS、どう思う?」と感じたら、ぜひお気軽にお声がけください。
営業トークは抜きにして、一人のプロダクト好きとして、あなたの話をお伺いできるのを楽しみにしています。






