効果の出る介護システムのUI操作性|失敗しない5つの選定ポイント

  • 2025.7.27
  • UIUX介護DX業務改善
  • 新規事業

その介護システム、職員の離職率を上げていませんか?

「また新しいシステムか…」「使い方が分からないし、前のほうが楽だった」。もしあなたの施設でこんな声が聞こえてくるなら、少し立ち止まって考えてみてください。その「使いにくい」介護システムが、大切な職員のモチベーションを削り、静かに離職率を押し上げているのかもしれません。

こんにちは、UI/UXデザインの専門家として、これまで多くの業務システム改善に携わってきました。私が現場で見てきたのは、高機能なシステムが導入されても、そのUI(ユーザーインターフェース)の操作性が悪いために、かえって業務が非効率になるという悲しい現実です。

これは単なる「使い勝手」の問題ではありません。人材不足が叫ばれる介護業界にとって、UI操作性は職員の定着率や事業の生産性に直結する、紛れもない「経営課題」なのです。この記事では、なぜ今、介護システムのUI操作性が重要なのか、そして本当に「効果の出る」システムをどう見極めればいいのか、デザインのプロの視点から、具体的な選定ポイントを5つに絞って本音で語ります。


なぜ今?「使いやすさ」が経営を救う3つの理由

「うちは大丈夫」と思っている施設長さんほど、実は危険信号かもしれません。介護業界を取り巻く環境は、私たちが思う以上に速く、そして厳しく変化しています。そんな中で、システムのUI操作性がなぜこれほどまでに重要なのか、まずは3つのデータから見ていきましょう。

1. 職員の高齢化とITスキル

介護労働安定センターの調査(2022年度)では、介護職員の46.0%が50歳以上という結果が。これは全産業平均より高く、ITに不慣れなベテラン職員さんがシステムの主役であることを意味します。誰でも直感的に使えるUIでなければ、宝の持ち腐れになってしまうんです。

2. 深刻な人材不足

同調査で、事業所の66.6%が「人手不足」を実感。使いにくいシステムは、ただでさえ多忙な職員の残業を増やし、ストレスを増大させます。「この職場、働きにくい…」と思わせる一因が、毎日使うシステムにあるとしたら、これほどもったいない話はありません。

3. DXの罠

システムを導入さえすればOK、というわけではないのがDXの難しいところ。ある調査では、ICTを導入した事業所の約15%が「あまり活用できていない」と回答しています。その理由の多くが「操作が複雑」「入力に時間がかかる」こと。これはまさにUIの問題です。つまり、UI操作性は、あなたの施設のDXが成功するか失敗するかの分かれ道なのです。


「使いやすい」の正体は?UI/UXの基本と絶大なメリット

「じゃあ、結局『使いやすいUI』って何なの?」という声が聞こえてきそうですね。ここで少しだけ専門的な話をさせてください。(そもそもUI/UXとは何か、その基本的な考え方については「UI/UXデザインとは?違いや改善プロセスをわかりやすく解説」で詳しく触れていますが) UIとよく似た言葉にUX(ユーザーエクスペリエンス)があります。簡単に言うと、こんな違いです。

  • UI(ユーザーインターフェース):画面のデザイン、ボタンの配置、文字の大きさなど、「見た目」や「操作する部分」のこと。
  • UX(ユーザーエクスペリエンス):そのシステムを使ったことで得られる「体験」や「感情」全体のこと(例:「このシステムのおかげで、記録が早く終わって嬉しい!」)。

つまり、優れたUIがあって初めて、良いUXが生まれるわけです。良いUIの介護システムは、施設にこんなメリットをもたらします。

メリット具体的な効果例
生産性の向上・記録業務の時間が平均15%削減
・ダブルチェックの手間が減る
ミスの削減・入力エラー率が20%低下
・申し送りの抜け漏れがなくなる
職員満足度の向上・システム操作のストレスが軽減
・「ITが苦手」という意識が薄れる
教育コストの削減・新人でもマニュアルなしで直感的に操作できる
・研修時間を本来のケア業務に充てられる

これらは単なる理想論ではありません。実際にUI改善によって、これに近い効果が出ている現場はたくさんあるんです。


失敗しない選定ポイント①:現場の「声なき声」を拾えていますか?

さて、ここからが本題です。効果の出る介護システムを選ぶための、具体的な5つのポイントを見ていきましょう。まず1つ目は、「トップダウンでシステムを決めない」ことです。

経営者や施設長が良いと思っても、実際に毎日システムと格闘するのは現場の職員さんたちです。彼女・彼らの意見を無視したシステム導入は、ほぼ100%失敗すると断言します。

「でも、職員に聞いてもバラバラな意見しか出てこない…」

わかります。だからこそ重要なのが、ただアンケートを取るだけでなく、実際の業務を観察させてもらうこと。これをデザインの世界では「ユーザー中心設計(UCD)」の第一歩と呼びます。例えば、こんな「声なき声」が見えてくるはずです。

  • 記録のために、何度も画面を行ったり来たりしている。
  • マウスとキーボードの持ち替えが頻繁で、手間取っている。
  • 小さな文字が見えにくそうで、画面に顔を近づけている。

こうした無意識の行動にこそ、改善のヒントが隠されています。システム選定の際は、デモ画面を複数の職員(若手、ベテラン、ITが得意な人、苦手な人)に触ってもらい、その様子をじっくり観察してみてください。「A社のシステムは、〇〇さんが迷わず操作できていた」といった具体的な事実が、何よりの判断材料になります。


失敗しない選定ポイント②:「多機能」という甘い罠に気をつけて

2つ目のポイントは、カタログスペックの「多機能さ」に惑わされないことです。営業担当者は「こんなこともできます!」「あれも全部入りです!」とアピールしてくるでしょう。でも、ちょっと待ってください。その機能、本当に全部使いますか?

ぶっちゃけ、多機能なシステムほど、UIが複雑になりがちです。

考えてみてください。テレビのリモコンも、ボタンが多すぎて結局使うのは電源と音量、チャンネルくらいだったりしませんか?それと同じで、使わない機能は、ただ画面をゴチャゴチャさせ、本当に必要な機能を見つけにくくするだけの「ノイズ」でしかありません。

選定時に見るべきは、機能の数ではなく、「毎日使う機能が、いかにシンプルに、迷わず使えるか」という一点です。理想は、施設の業務の8割をカバーする主要機能が、驚くほど簡単に操作できること。残りの2割の特殊な業務は、別の方法で対応したほうが結果的に効率的だったりします。

「大は小を兼ねる」は、介護システムのUI操作性においては当てはまりません。むしろ「シンプルは正義」。この視点を持つだけで、システム選びの精度は格段に上がりますよ。


失敗しない選定ポイント③④:サポート体制とデータ連携もUIの一部

3つ目と4つ目のポイントは、少し技術的な側面ですが、見逃せない重要な要素です。それは「手厚いサポート体制」「スムーズなデータ連携」です。

ポイント③:困ったときのサポート体制は万全か?

優れたUIのシステムでも、最初のうちは「これ、どうやるんだっけ?」と疑問が出るもの。そんな時、すぐに電話やチャットで解決できるサポート体制は、いわば「操作性の一部」です。確認すべきは以下の点。

  • »対応時間: 現場が動いている土日や夜間も対応してくれるか?
  • »対応方法: 電話、メール、チャットなど、連絡手段は豊富か?
  • »担当者の質: 介護現場の事情を理解している担当者が対応してくれるか?

導入前の親切さだけでなく、導入後のフォロー体制こそ、そのベンダーの本当の姿勢が表れます。

ポイント④:LIFEや他システムとのデータ連携はスムーズか?

「科学的介護情報システム(LIFE)」へのデータ提出は、今や必須業務。システムの記録がボタン一つでLIFE形式に変換され、簡単に出力できるかは必ずチェックしましょう。手動での転記作業が発生するようなら、その時点でUIが良いとは言えません。

また、給与計算ソフトや会計ソフトなど、他のシステムとの連携も重要です。データが自動で連携されれば、二重入力の手間がなくなり、施設全体の生産性が向上します。これも広い意味での「使いやすさ=UI操作性」の一部なのです。


失敗しない選定ポイント⑤:「デザインの思想」に共感できるか

最後のポイントが、最も本質的かもしれません。それは、そのシステムがどんな「思想」に基づいてデザインされているかを見極めることです。

ただ機能が並んでいるだけのシステムと、作り手が「介護現場の負担を本気で減らしたい」という強い想いを持って設計したシステムとでは、UIの細部に天と地ほどの差が生まれます。

例えば、私たちpicks designがUI/UXデザインをお手伝いした「株式会社hacomono様 /フィットネスクラブ向け会員管理・予約・決済システムのUI/UXデザイン」の事例では、徹底的にこだわったのは「現場スタッフの誰もが、初日から直感的に使えること」でした。複雑な情報構造を根本から見直し、利用頻度の高い機能を迷わず使える場所に配置しました。その結果、業務効率が大幅に向上したのです。これは「複雑な業務をシンプルにする」という点で、介護システムの課題と全く同じです。

良いシステムには、必ず「誰のために、何を解決するのか」という明確なデザイン思想があります。ベンダーの担当者に、ぜひこう質問してみてください。

「この画面は、どんな想いでデザインされたんですか?」

その答えに、作り手の哲学やユーザーへの愛情が感じられるか。それにあなたが共感できるか。それこそが、長く付き合えるパートナー(システム)を見つけるための、究極の指針となるはずです。


まとめ:UIはコストにあらず。未来への「戦略的投資」だ

ここまで5つの選定ポイントをお話してきましたが、いかがでしたでしょうか。もうお分かりの通り、介護システムのUI操作性は、単なる機能の一部ではありません。

ポイントチェック項目
① 現場の声職員参加型の選定プロセスになっているか?
② シンプルさ「多機能」より「毎日使う機能の使いやすさ」を重視しているか?
③ サポート体制導入後のフォローは手厚いか?
④ データ連携LIFEや他システムとの連携はスムーズか?
⑤ デザイン思想作り手の「想い」や「哲学」に共感できるか?

Forrester Research社の調査によれば、優れたUI/UXへの投資は、時に400%ものROI(投資対効果)を生むとされています。これは、優れたUIが業務効率を上げ、ミスを減らし、何より職員の満足度を高めて離職率を下げることで、人件費や採用コストの削減に繋がるからです。

使いやすいシステムは、職員に笑顔をもたらし、ケアの質を高め、そして「ここで働き続けたい」と思わせる文化を育みます。それは、結果的に利用者やその家族からの信頼にも繋がっていくでしょう。

もし、今お使いのシステムや、これから検討するシステムについて、「本当にこれでいいのだろうか?」と少しでも疑問に感じたら、ぜひ一度、私たちpicks designのようなUIデザインの専門家にご相談ください。

特定の製品に偏らない中立の立場で、最善の一手をご提案します

無料相談
  • 2025.7.27
  • UIUX介護DX業務改善
  • 新規事業

その介護システム、職員の離職率を上げていませんか?

「また新しいシステムか…」「使い方が分からないし、前のほうが楽だった」。もしあなたの施設でこんな声が聞こえてくるなら、少し立ち止まって考えてみてください。その「使いにくい」介護システムが、大切な職員のモチベーションを削り、静かに離職率を押し上げているのかもしれません。

こんにちは、UI/UXデザインの専門家として、これまで多くの業務システム改善に携わってきました。私が現場で見てきたのは、高機能なシステムが導入されても、そのUI(ユーザーインターフェース)の操作性が悪いために、かえって業務が非効率になるという悲しい現実です。

これは単なる「使い勝手」の問題ではありません。人材不足が叫ばれる介護業界にとって、UI操作性は職員の定着率や事業の生産性に直結する、紛れもない「経営課題」なのです。この記事では、なぜ今、介護システムのUI操作性が重要なのか、そして本当に「効果の出る」システムをどう見極めればいいのか、デザインのプロの視点から、具体的な選定ポイントを5つに絞って本音で語ります。


なぜ今?「使いやすさ」が経営を救う3つの理由

「うちは大丈夫」と思っている施設長さんほど、実は危険信号かもしれません。介護業界を取り巻く環境は、私たちが思う以上に速く、そして厳しく変化しています。そんな中で、システムのUI操作性がなぜこれほどまでに重要なのか、まずは3つのデータから見ていきましょう。

1. 職員の高齢化とITスキル

介護労働安定センターの調査(2022年度)では、介護職員の46.0%が50歳以上という結果が。これは全産業平均より高く、ITに不慣れなベテラン職員さんがシステムの主役であることを意味します。誰でも直感的に使えるUIでなければ、宝の持ち腐れになってしまうんです。

2. 深刻な人材不足

同調査で、事業所の66.6%が「人手不足」を実感。使いにくいシステムは、ただでさえ多忙な職員の残業を増やし、ストレスを増大させます。「この職場、働きにくい…」と思わせる一因が、毎日使うシステムにあるとしたら、これほどもったいない話はありません。

3. DXの罠

システムを導入さえすればOK、というわけではないのがDXの難しいところ。ある調査では、ICTを導入した事業所の約15%が「あまり活用できていない」と回答しています。その理由の多くが「操作が複雑」「入力に時間がかかる」こと。これはまさにUIの問題です。つまり、UI操作性は、あなたの施設のDXが成功するか失敗するかの分かれ道なのです。


「使いやすい」の正体は?UI/UXの基本と絶大なメリット

「じゃあ、結局『使いやすいUI』って何なの?」という声が聞こえてきそうですね。ここで少しだけ専門的な話をさせてください。(そもそもUI/UXとは何か、その基本的な考え方については「UI/UXデザインとは?違いや改善プロセスをわかりやすく解説」で詳しく触れていますが) UIとよく似た言葉にUX(ユーザーエクスペリエンス)があります。簡単に言うと、こんな違いです。

  • UI(ユーザーインターフェース):画面のデザイン、ボタンの配置、文字の大きさなど、「見た目」や「操作する部分」のこと。
  • UX(ユーザーエクスペリエンス):そのシステムを使ったことで得られる「体験」や「感情」全体のこと(例:「このシステムのおかげで、記録が早く終わって嬉しい!」)。

つまり、優れたUIがあって初めて、良いUXが生まれるわけです。良いUIの介護システムは、施設にこんなメリットをもたらします。

メリット具体的な効果例
生産性の向上・記録業務の時間が平均15%削減
・ダブルチェックの手間が減る
ミスの削減・入力エラー率が20%低下
・申し送りの抜け漏れがなくなる
職員満足度の向上・システム操作のストレスが軽減
・「ITが苦手」という意識が薄れる
教育コストの削減・新人でもマニュアルなしで直感的に操作できる
・研修時間を本来のケア業務に充てられる

これらは単なる理想論ではありません。実際にUI改善によって、これに近い効果が出ている現場はたくさんあるんです。


失敗しない選定ポイント①:現場の「声なき声」を拾えていますか?

さて、ここからが本題です。効果の出る介護システムを選ぶための、具体的な5つのポイントを見ていきましょう。まず1つ目は、「トップダウンでシステムを決めない」ことです。

経営者や施設長が良いと思っても、実際に毎日システムと格闘するのは現場の職員さんたちです。彼女・彼らの意見を無視したシステム導入は、ほぼ100%失敗すると断言します。

「でも、職員に聞いてもバラバラな意見しか出てこない…」

わかります。だからこそ重要なのが、ただアンケートを取るだけでなく、実際の業務を観察させてもらうこと。これをデザインの世界では「ユーザー中心設計(UCD)」の第一歩と呼びます。例えば、こんな「声なき声」が見えてくるはずです。

  • 記録のために、何度も画面を行ったり来たりしている。
  • マウスとキーボードの持ち替えが頻繁で、手間取っている。
  • 小さな文字が見えにくそうで、画面に顔を近づけている。

こうした無意識の行動にこそ、改善のヒントが隠されています。システム選定の際は、デモ画面を複数の職員(若手、ベテラン、ITが得意な人、苦手な人)に触ってもらい、その様子をじっくり観察してみてください。「A社のシステムは、〇〇さんが迷わず操作できていた」といった具体的な事実が、何よりの判断材料になります。


失敗しない選定ポイント②:「多機能」という甘い罠に気をつけて

2つ目のポイントは、カタログスペックの「多機能さ」に惑わされないことです。営業担当者は「こんなこともできます!」「あれも全部入りです!」とアピールしてくるでしょう。でも、ちょっと待ってください。その機能、本当に全部使いますか?

ぶっちゃけ、多機能なシステムほど、UIが複雑になりがちです。

考えてみてください。テレビのリモコンも、ボタンが多すぎて結局使うのは電源と音量、チャンネルくらいだったりしませんか?それと同じで、使わない機能は、ただ画面をゴチャゴチャさせ、本当に必要な機能を見つけにくくするだけの「ノイズ」でしかありません。

選定時に見るべきは、機能の数ではなく、「毎日使う機能が、いかにシンプルに、迷わず使えるか」という一点です。理想は、施設の業務の8割をカバーする主要機能が、驚くほど簡単に操作できること。残りの2割の特殊な業務は、別の方法で対応したほうが結果的に効率的だったりします。

「大は小を兼ねる」は、介護システムのUI操作性においては当てはまりません。むしろ「シンプルは正義」。この視点を持つだけで、システム選びの精度は格段に上がりますよ。


失敗しない選定ポイント③④:サポート体制とデータ連携もUIの一部

3つ目と4つ目のポイントは、少し技術的な側面ですが、見逃せない重要な要素です。それは「手厚いサポート体制」「スムーズなデータ連携」です。

ポイント③:困ったときのサポート体制は万全か?

優れたUIのシステムでも、最初のうちは「これ、どうやるんだっけ?」と疑問が出るもの。そんな時、すぐに電話やチャットで解決できるサポート体制は、いわば「操作性の一部」です。確認すべきは以下の点。

  • »対応時間: 現場が動いている土日や夜間も対応してくれるか?
  • »対応方法: 電話、メール、チャットなど、連絡手段は豊富か?
  • »担当者の質: 介護現場の事情を理解している担当者が対応してくれるか?

導入前の親切さだけでなく、導入後のフォロー体制こそ、そのベンダーの本当の姿勢が表れます。

ポイント④:LIFEや他システムとのデータ連携はスムーズか?

「科学的介護情報システム(LIFE)」へのデータ提出は、今や必須業務。システムの記録がボタン一つでLIFE形式に変換され、簡単に出力できるかは必ずチェックしましょう。手動での転記作業が発生するようなら、その時点でUIが良いとは言えません。

また、給与計算ソフトや会計ソフトなど、他のシステムとの連携も重要です。データが自動で連携されれば、二重入力の手間がなくなり、施設全体の生産性が向上します。これも広い意味での「使いやすさ=UI操作性」の一部なのです。


失敗しない選定ポイント⑤:「デザインの思想」に共感できるか

最後のポイントが、最も本質的かもしれません。それは、そのシステムがどんな「思想」に基づいてデザインされているかを見極めることです。

ただ機能が並んでいるだけのシステムと、作り手が「介護現場の負担を本気で減らしたい」という強い想いを持って設計したシステムとでは、UIの細部に天と地ほどの差が生まれます。

例えば、私たちpicks designがUI/UXデザインをお手伝いした「株式会社hacomono様 /フィットネスクラブ向け会員管理・予約・決済システムのUI/UXデザイン」の事例では、徹底的にこだわったのは「現場スタッフの誰もが、初日から直感的に使えること」でした。複雑な情報構造を根本から見直し、利用頻度の高い機能を迷わず使える場所に配置しました。その結果、業務効率が大幅に向上したのです。これは「複雑な業務をシンプルにする」という点で、介護システムの課題と全く同じです。

良いシステムには、必ず「誰のために、何を解決するのか」という明確なデザイン思想があります。ベンダーの担当者に、ぜひこう質問してみてください。

「この画面は、どんな想いでデザインされたんですか?」

その答えに、作り手の哲学やユーザーへの愛情が感じられるか。それにあなたが共感できるか。それこそが、長く付き合えるパートナー(システム)を見つけるための、究極の指針となるはずです。


まとめ:UIはコストにあらず。未来への「戦略的投資」だ

ここまで5つの選定ポイントをお話してきましたが、いかがでしたでしょうか。もうお分かりの通り、介護システムのUI操作性は、単なる機能の一部ではありません。

ポイントチェック項目
① 現場の声職員参加型の選定プロセスになっているか?
② シンプルさ「多機能」より「毎日使う機能の使いやすさ」を重視しているか?
③ サポート体制導入後のフォローは手厚いか?
④ データ連携LIFEや他システムとの連携はスムーズか?
⑤ デザイン思想作り手の「想い」や「哲学」に共感できるか?

Forrester Research社の調査によれば、優れたUI/UXへの投資は、時に400%ものROI(投資対効果)を生むとされています。これは、優れたUIが業務効率を上げ、ミスを減らし、何より職員の満足度を高めて離職率を下げることで、人件費や採用コストの削減に繋がるからです。

使いやすいシステムは、職員に笑顔をもたらし、ケアの質を高め、そして「ここで働き続けたい」と思わせる文化を育みます。それは、結果的に利用者やその家族からの信頼にも繋がっていくでしょう。

もし、今お使いのシステムや、これから検討するシステムについて、「本当にこれでいいのだろうか?」と少しでも疑問に感じたら、ぜひ一度、私たちpicks designのようなUIデザインの専門家にご相談ください。

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