製造業のアプリデザイン発注ガイド|失敗しない会社選びと費用相場

  • 2025.6.24
  • 製造業DX
  • デザイン

なぜ?多額の投資をした製造業アプリが「全く使われない」悲しい現実

「よーし、我が社もDXだ!現場の業務をアプリで効率化するぞ!」

意気揚々と多額の投資をしてアプリを開発。しかし、いざ導入してみると、現場の作業員からは「使いにくい」「前の方がマシだった」と不満の声が続出…。結局、誰も使わなくなり、高価なデジタル文鎮が誕生してしまった。

…なんて話、笑い事ではなく、日本の製造現場で本当にたくさん起きている悲劇なんです。正直、胸が痛みますよね。なぜ、こんなことが起こってしまうのでしょうか?

結論から言います。最大の原因は、製造現場のリアルを無視した「UI/UXデザイン」にあります。

開発会社が「こんな機能があれば便利だろう」と良かれと思って作ったものが、現場の作業員にとっては「余計なお世話」どころか「作業の邪魔」になってしまうケースが後を絶たないのです。

この記事では、そんな悲劇を繰り返さないために、製造業のアプリ発注で本当に大切なことは何か、熱く、そして具体的に語っていきます。


「見た目」じゃない!製造業にこそUI/UXデザインが不可欠な3つの理由

「UI/UXデザインって、要は見た目をカッコよくすることでしょ?」そう思っているとしたら、ちょっと待ってください!特に製造業において、UI/UXデザインは見た目の美しさではなく、現場の生産性に直結する『機能』そのものなんです。具体的に見ていきましょう。

  1. 1. 過酷な現場環境への対応力

    工場はオフィスとは全く違う環境です。油や粉塵で汚れた手袋、薄暗い場所、騒音…。そんな中で、スマホの小さな画面を正確にタッチできますか?「神は細部に宿る」と言いますが、製造業のアプリにおいては「神はボタンの大きさと配置に宿る」と言っても過言ではありません。手袋をしたままでも確実に押せるボタンサイズ、暗所でも見やすい配色など、環境を考慮したデザインこそが、ミスの削減と作業効率の向上に繋がります。

  2. 2. 多様なITリテラシーへの配慮

    現場には、スマホを使いこなす若手から、IT機器に苦手意識を持つベテランまで、様々な人がいます。誰か一人でも「使い方がわからない」と感じれば、そのアプリの導入は失敗です。優れたUI/UXは、説明書を読まなくても直感的に操作できる「わかりやすさ」を提供します。これは、新人教育のコスト削減にも大きく貢献するんですよ。

  3. 3. 既存業務フローとの調和

    多くの工場では、すでに確立された業務フローや生産管理システム(MES)が存在します。新しいアプリがこれらの既存システムとバラバラに動いては、二重入力の手間が増えるだけ。データをいかにスムーズに連携させ、業務フロー全体を最適化するか。この「見えない部分」の設計も、実はUI/UXデザインの重要な役割なのです。

なぜUI/UXデザインが重要なのか、その本質についてもっと深く知りたい方は、こちらの記事もぜひご覧ください。
参考記事:『BtoB成果へ!アクセシビリティ対応UIUXデザイン戦略


【事例で学ぶ】ありがちな失敗パターンと、その回避策

「理屈はわかったけど、具体的にどんな失敗があるの?」と思いますよね。ここでは、私がこれまで耳にしてきた、製造業のアプリ開発における「あるある」な失敗談を、少しだけご紹介します。皆さんの会社は大丈夫か、チェックしてみてください。

失敗パターン1:「高機能だけど誰も使えない」全部乗せアプリ

■ 症状: 「あれもこれもできたら便利だろう」と、現場の意見を鵜呑みにして機能を詰め込みすぎた結果、画面が複雑怪奇に。どこに何の機能があるか分からず、結局誰も使わなくなる。

■ 処方箋: 機能の多さ=価値ではありません。本当に必要なコア機能は何かを徹底的に見極め、「機能の引き算」をすることが重要です。まずは特定の工程だけに絞ってスモールスタートするのも賢い選択です。

失敗パターン2:「オフィス仕様」のまま持ち込まれたアプリ

■ 症状: 綺麗なオフィスで開発されたアプリは、現場の現実を知りません。手袋で操作できずイライラ、太陽光が反射して画面が見えない、バーコードがなかなか読み取れない…。

■ 処方箋: 開発初期段階から、デザイナーやエンジニアが実際に現場に足を運ぶことが不可欠です。作業員の動きを観察し、同じ環境でプロトタイプ(試作品)を触ってもらう。この泥臭いプロセスが、現場で愛されるアプリを生み出します。

失敗パターン3:「作って終わり」の放置プレイ

■ 症状: アプリは納品されたものの、OSのアップデートで動かなくなったり、小さな不具合が放置されたり。現場から「なんとかしてくれ」と言われても、開発会社との契約はもう終わっている…。

■ 処方箋: 開発だけでなく、リリース後の保守・運用体制まで見据えて発注先を選ぶことが大切です。事業の成長に合わせて機能を改善・追加してくれるような、長期的なパートナーシップを築ける会社を見つけましょう。


【投資効果を証明!】デザインが生んだ「業務効率30%UP」の舞台裏

「デザインの重要性はわかったけど、それで本当に儲かるの?」

経営者の方であれば、当然の疑問だと思います。そこで、弊社の実績を基にしたサクセスストーリーを一つご紹介しましょう。これは、デザインの力が、いかに具体的な投資対効果(ROI)を生み出すかの証明です。

ある企業では、非常に複雑な業務フローが課題でした。紙とExcelが中心で、入力ミスや確認作業に膨大な時間がかかっていました。そこで私たちが取り組んだのが、業務プロセスの可視化とUI/UXデザインによる再設計です。

やったことは、実はシンプルです。

  1. 徹底的な現場ヒアリング: まずは現場に張り付き、作業員一人ひとりの動き、悩み、口癖まで観察しました。「この入力が面倒くさい」「ここの確認、意味ある?」といった生の声が宝の山でした。
  2. プロトタイピングと改善の繰り返し: ヒアリングを基に、何度も試作品を作成。実際に現場で触ってもらい、「こっちの方が見やすい」「このボタンはもっと大きい方がいい」といったフィードバックを即座に反映。このサイクルを高速で回しました。

結果、どうなったか?

対象業務の作業時間が平均で30%も削減

ヒューマンエラーは半分以下に激減

これは、従業員の残業代削減や生産性向上といった、明確なコストメリットに直結します。デザインは、単なるお化粧ではなく、利益を生み出すための科学的なアプローチなのです。

このように、UI/UXがもたらすビジネス価値やROIについて、より詳しく知りたい方は、こちらの記事が参考になります。
参考記事:『UI/UXの改善提案で説得力を高める3つの要素|ビジネス価値とROIを最大化する科学的アプローチ


失敗しない会社選び!「デザインパートナー」を見極める5つの基準

さて、いよいよ本題です。「じゃあ、どんな会社にアプリデザインを発注すればいいの?」という疑問にお答えします。単なる「開発会社」ではなく、事業の成功まで伴走してくれる「デザインパートナー」を見極めるための、5つのチェックリストを用意しました。ぜひ、問い合わせや打ち合わせの際に活用してください。

チェック項目見極めるポイントなぜ重要か?
1. 現場への理解度「過去に製造業の案件はありますか?」だけでなく、「現場のどんな点に課題を感じますか?」と逆質問してみる。業界知識があるのは当たり前。現場のリアルな痛みや課題に共感し、自分事として捉えられるかが鍵。
2. プロセスへのこだわり「どんなプロセスでデザインを進めますか?」と聞き、「ユーザー調査」や「プロトタイピング」という言葉が出てくるか確認する。いきなりデザインや開発に着手する会社は危険信号。課題発見と仮説検証のプロセスを重視しているかどうかが品質を左右する。
3. 実績の具体性ポートフォリオの見た目の綺麗さだけでなく、「そのデザインで、どんな課題がどう解決されたか」を具体的に説明できるか。デザインの意図や背景、そしてビジネス上の成果を語れる会社こそ、本物のプロフェッショナル。
4. コミュニケーション能力専門用語を並べるだけでなく、こちらの意図を汲み取り、わかりやすい言葉で説明してくれるか。レスポンスは早いか。アプリ開発は長期戦。密に連携し、何でも相談できる「人」としての相性も非常に重要。
5. 長期的な視点「作って終わり」ではなく、リリース後の改善提案や保守運用まで視野に入れた話をしてくれるか。ビジネスは常に変化するもの。その変化に合わせてアプリを育てていく視点を持っているパートナーを選びたい。

ぶっちゃけいくらかかる?製造業アプリの費用相場とコストの考え方

「で、おいくらなの?」

これが一番気になるところですよね。正直に言うと、アプリ開発の費用は「時価」です。作りたいものの規模や機能の複雑さによって、数百万円から数千万円まで、ピンキリなのが実情です。

とはいえ、それでは話が進まないので、ざっくりとした相場感をお伝えします。

開発規模費用の目安内容
スモールスタート(プロトタイプ開発)150万~500万円特定の1工程の課題解決に絞ったMVP(Minimum Viable Product)開発。効果検証が目的。
中規模開発(特定部署向け)500万~1,500万円生産管理、品質管理など、一部署全体の業務をカバーするアプリ開発。
大規模開発(全社・複数拠点向け)1,500万円~既存の基幹システムとの連携を含む、全社的なDX推進のための大規模システム開発。

ここで一番お伝えしたいこと。それは「安さ」で選ばないでほしい、ということです。

特に、UI/UXデザインのプロセス(調査やプロトタイピング)を軽視して「安く早く作れますよ」という会社には要注意。初期費用は安くても、結局「使われないアプリ」になってしまえば、その投資は100%無駄になります。それどころか、現場の混乱を招き、生産性を下げてしまうリスクすらあるのです。

おすすめは、「スモールスタート」で始めること。まずは特定の課題に絞ってプロトタイプを作り、現場で効果を検証する。そこで成功体験とROIの確証を得てから、本格的な開発にステップアップしていく。この進め方が、製造業のアプリ開発における最も賢明で、リスクの少ない投資戦略だと私は思います。


発注前にこれだけは準備!成功確度を上げるRFP(提案依頼書)のツボ

「よし、信頼できそうな会社も見つかった。さっそく相談しよう!」その前に、少しだけ準備をすると、その後の進行が驚くほどスムーズになります。それがRFP(提案依頼書)の準備です。

「え、そんなカッチリしたもの作らないとダメ?」と思うかもしれませんが、完璧なものである必要はありません。むしろ、以下のポイントを箇条書きでまとめるだけでも、発注先との認識のズレをなくし、提案の質をグッと高めることができます。

RFPに盛り込むべき最低限の項目

  1. 背景と目的(Why)
    • なぜアプリを作りたいのか?(例:人手不足、技術継承、生産性向上)
    • アプリで何を達成したいのか?(例:〇〇の作業時間を20%削減したい、ヒューマンエラーをゼロにしたい)
    • ここが一番大事です!あなたの会社の「想い」や「悩み」を正直に伝えましょう。
  2. ターゲットユーザー(Who)
    • 主に誰が使うのか?(例:工場のベテラン作業員、若手の検査スタッフ)
    • ユーザーのITスキルはどれくらいか?(例:ほとんどスマホを触らない人もいる)
  3. 解決したい課題と主な機能(What)
    • 現状の業務フローと、その中での課題。(例:毎日、手書きの報告書作成に1時間かかっている)
    • その課題を解決するために「最低限」必要だと思う機能。(例:写真付きの日報をスマホで作成・提出できる機能)
    • 注意: 機能は欲張らず、課題ベースで書くのがコツです。
  4. 予算と納期(How much / When)
    • おおよその予算感。(例:500万円以内でまずはスタートしたい)
    • いつまでにリリースしたいか。(例:半年後の繁忙期までには使いたい)

これらの情報を伝えることで、デザイン会社は「ああ、このお客様は本気だ。そして、現場のことをしっかり考えている」と感じ、より熱量の高い、的確な提案をしてくれるはずです。


まとめ:製造業のDXは「最高のデザインパートナー」探しから始まる

ここまで、製造業のアプリデザイン発注で失敗しないためのポイントを、かなり熱を込めてお話ししてきました。長い道のり、お疲れ様でした。

重要なおさらい

  • ✅ 製造業のアプリ開発の失敗は、現場を無視したUI/UXデザインが原因。
  • ✅ デザインとは見た目ではなく、生産性に直結する「機能」である。
  • ✅ 失敗しないためには、現場への理解度が高い「デザインパートナー」を見極める必要がある。
  • ✅ コストだけで選ばず、まずは「スモールスタート」で効果を検証するのが賢い進め方。

結局のところ、アプリはただの道具です。その道具を、現場で働く人々が「これ、最高じゃん!」と喜んで使ってくれて、初めてその価値が生まれます。そして、そんな「最高の道具」を生み出すには、技術力だけでは不十分。貴社のビジネスと現場に深く寄り添い、共に汗を流してくれるパートナーの存在が不可欠なのです。

「うちの課題、アプリで解決できるんだろうか?」
「一度、専門家の意見を聞いてみたい」

もし少しでもそう感じたら、ぜひ一度、私たちpicks designに声をかけてみてください。私たちは、単に言われたものを作るだけの会社ではありません。貴社の事業を成功に導く「デザインパートナー」として、課題の発見から一緒に考えさせていただきます。あなたの会社のDXが、現場の笑顔に繋がる成功を収めることを、心から願っています。

無料相談
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  • デザイン

なぜ?多額の投資をした製造業アプリが「全く使われない」悲しい現実

「よーし、我が社もDXだ!現場の業務をアプリで効率化するぞ!」

意気揚々と多額の投資をしてアプリを開発。しかし、いざ導入してみると、現場の作業員からは「使いにくい」「前の方がマシだった」と不満の声が続出…。結局、誰も使わなくなり、高価なデジタル文鎮が誕生してしまった。

…なんて話、笑い事ではなく、日本の製造現場で本当にたくさん起きている悲劇なんです。正直、胸が痛みますよね。なぜ、こんなことが起こってしまうのでしょうか?

結論から言います。最大の原因は、製造現場のリアルを無視した「UI/UXデザイン」にあります。

開発会社が「こんな機能があれば便利だろう」と良かれと思って作ったものが、現場の作業員にとっては「余計なお世話」どころか「作業の邪魔」になってしまうケースが後を絶たないのです。

この記事では、そんな悲劇を繰り返さないために、製造業のアプリ発注で本当に大切なことは何か、熱く、そして具体的に語っていきます。


「見た目」じゃない!製造業にこそUI/UXデザインが不可欠な3つの理由

「UI/UXデザインって、要は見た目をカッコよくすることでしょ?」そう思っているとしたら、ちょっと待ってください!特に製造業において、UI/UXデザインは見た目の美しさではなく、現場の生産性に直結する『機能』そのものなんです。具体的に見ていきましょう。

  1. 1. 過酷な現場環境への対応力

    工場はオフィスとは全く違う環境です。油や粉塵で汚れた手袋、薄暗い場所、騒音…。そんな中で、スマホの小さな画面を正確にタッチできますか?「神は細部に宿る」と言いますが、製造業のアプリにおいては「神はボタンの大きさと配置に宿る」と言っても過言ではありません。手袋をしたままでも確実に押せるボタンサイズ、暗所でも見やすい配色など、環境を考慮したデザインこそが、ミスの削減と作業効率の向上に繋がります。

  2. 2. 多様なITリテラシーへの配慮

    現場には、スマホを使いこなす若手から、IT機器に苦手意識を持つベテランまで、様々な人がいます。誰か一人でも「使い方がわからない」と感じれば、そのアプリの導入は失敗です。優れたUI/UXは、説明書を読まなくても直感的に操作できる「わかりやすさ」を提供します。これは、新人教育のコスト削減にも大きく貢献するんですよ。

  3. 3. 既存業務フローとの調和

    多くの工場では、すでに確立された業務フローや生産管理システム(MES)が存在します。新しいアプリがこれらの既存システムとバラバラに動いては、二重入力の手間が増えるだけ。データをいかにスムーズに連携させ、業務フロー全体を最適化するか。この「見えない部分」の設計も、実はUI/UXデザインの重要な役割なのです。

なぜUI/UXデザインが重要なのか、その本質についてもっと深く知りたい方は、こちらの記事もぜひご覧ください。
参考記事:『BtoB成果へ!アクセシビリティ対応UIUXデザイン戦略


【事例で学ぶ】ありがちな失敗パターンと、その回避策

「理屈はわかったけど、具体的にどんな失敗があるの?」と思いますよね。ここでは、私がこれまで耳にしてきた、製造業のアプリ開発における「あるある」な失敗談を、少しだけご紹介します。皆さんの会社は大丈夫か、チェックしてみてください。

失敗パターン1:「高機能だけど誰も使えない」全部乗せアプリ

■ 症状: 「あれもこれもできたら便利だろう」と、現場の意見を鵜呑みにして機能を詰め込みすぎた結果、画面が複雑怪奇に。どこに何の機能があるか分からず、結局誰も使わなくなる。

■ 処方箋: 機能の多さ=価値ではありません。本当に必要なコア機能は何かを徹底的に見極め、「機能の引き算」をすることが重要です。まずは特定の工程だけに絞ってスモールスタートするのも賢い選択です。

失敗パターン2:「オフィス仕様」のまま持ち込まれたアプリ

■ 症状: 綺麗なオフィスで開発されたアプリは、現場の現実を知りません。手袋で操作できずイライラ、太陽光が反射して画面が見えない、バーコードがなかなか読み取れない…。

■ 処方箋: 開発初期段階から、デザイナーやエンジニアが実際に現場に足を運ぶことが不可欠です。作業員の動きを観察し、同じ環境でプロトタイプ(試作品)を触ってもらう。この泥臭いプロセスが、現場で愛されるアプリを生み出します。

失敗パターン3:「作って終わり」の放置プレイ

■ 症状: アプリは納品されたものの、OSのアップデートで動かなくなったり、小さな不具合が放置されたり。現場から「なんとかしてくれ」と言われても、開発会社との契約はもう終わっている…。

■ 処方箋: 開発だけでなく、リリース後の保守・運用体制まで見据えて発注先を選ぶことが大切です。事業の成長に合わせて機能を改善・追加してくれるような、長期的なパートナーシップを築ける会社を見つけましょう。


【投資効果を証明!】デザインが生んだ「業務効率30%UP」の舞台裏

「デザインの重要性はわかったけど、それで本当に儲かるの?」

経営者の方であれば、当然の疑問だと思います。そこで、弊社の実績を基にしたサクセスストーリーを一つご紹介しましょう。これは、デザインの力が、いかに具体的な投資対効果(ROI)を生み出すかの証明です。

ある企業では、非常に複雑な業務フローが課題でした。紙とExcelが中心で、入力ミスや確認作業に膨大な時間がかかっていました。そこで私たちが取り組んだのが、業務プロセスの可視化とUI/UXデザインによる再設計です。

やったことは、実はシンプルです。

  1. 徹底的な現場ヒアリング: まずは現場に張り付き、作業員一人ひとりの動き、悩み、口癖まで観察しました。「この入力が面倒くさい」「ここの確認、意味ある?」といった生の声が宝の山でした。
  2. プロトタイピングと改善の繰り返し: ヒアリングを基に、何度も試作品を作成。実際に現場で触ってもらい、「こっちの方が見やすい」「このボタンはもっと大きい方がいい」といったフィードバックを即座に反映。このサイクルを高速で回しました。

結果、どうなったか?

対象業務の作業時間が平均で30%も削減

ヒューマンエラーは半分以下に激減

これは、従業員の残業代削減や生産性向上といった、明確なコストメリットに直結します。デザインは、単なるお化粧ではなく、利益を生み出すための科学的なアプローチなのです。

このように、UI/UXがもたらすビジネス価値やROIについて、より詳しく知りたい方は、こちらの記事が参考になります。
参考記事:『UI/UXの改善提案で説得力を高める3つの要素|ビジネス価値とROIを最大化する科学的アプローチ


失敗しない会社選び!「デザインパートナー」を見極める5つの基準

さて、いよいよ本題です。「じゃあ、どんな会社にアプリデザインを発注すればいいの?」という疑問にお答えします。単なる「開発会社」ではなく、事業の成功まで伴走してくれる「デザインパートナー」を見極めるための、5つのチェックリストを用意しました。ぜひ、問い合わせや打ち合わせの際に活用してください。

チェック項目見極めるポイントなぜ重要か?
1. 現場への理解度「過去に製造業の案件はありますか?」だけでなく、「現場のどんな点に課題を感じますか?」と逆質問してみる。業界知識があるのは当たり前。現場のリアルな痛みや課題に共感し、自分事として捉えられるかが鍵。
2. プロセスへのこだわり「どんなプロセスでデザインを進めますか?」と聞き、「ユーザー調査」や「プロトタイピング」という言葉が出てくるか確認する。いきなりデザインや開発に着手する会社は危険信号。課題発見と仮説検証のプロセスを重視しているかどうかが品質を左右する。
3. 実績の具体性ポートフォリオの見た目の綺麗さだけでなく、「そのデザインで、どんな課題がどう解決されたか」を具体的に説明できるか。デザインの意図や背景、そしてビジネス上の成果を語れる会社こそ、本物のプロフェッショナル。
4. コミュニケーション能力専門用語を並べるだけでなく、こちらの意図を汲み取り、わかりやすい言葉で説明してくれるか。レスポンスは早いか。アプリ開発は長期戦。密に連携し、何でも相談できる「人」としての相性も非常に重要。
5. 長期的な視点「作って終わり」ではなく、リリース後の改善提案や保守運用まで視野に入れた話をしてくれるか。ビジネスは常に変化するもの。その変化に合わせてアプリを育てていく視点を持っているパートナーを選びたい。

ぶっちゃけいくらかかる?製造業アプリの費用相場とコストの考え方

「で、おいくらなの?」

これが一番気になるところですよね。正直に言うと、アプリ開発の費用は「時価」です。作りたいものの規模や機能の複雑さによって、数百万円から数千万円まで、ピンキリなのが実情です。

とはいえ、それでは話が進まないので、ざっくりとした相場感をお伝えします。

開発規模費用の目安内容
スモールスタート(プロトタイプ開発)150万~500万円特定の1工程の課題解決に絞ったMVP(Minimum Viable Product)開発。効果検証が目的。
中規模開発(特定部署向け)500万~1,500万円生産管理、品質管理など、一部署全体の業務をカバーするアプリ開発。
大規模開発(全社・複数拠点向け)1,500万円~既存の基幹システムとの連携を含む、全社的なDX推進のための大規模システム開発。

ここで一番お伝えしたいこと。それは「安さ」で選ばないでほしい、ということです。

特に、UI/UXデザインのプロセス(調査やプロトタイピング)を軽視して「安く早く作れますよ」という会社には要注意。初期費用は安くても、結局「使われないアプリ」になってしまえば、その投資は100%無駄になります。それどころか、現場の混乱を招き、生産性を下げてしまうリスクすらあるのです。

おすすめは、「スモールスタート」で始めること。まずは特定の課題に絞ってプロトタイプを作り、現場で効果を検証する。そこで成功体験とROIの確証を得てから、本格的な開発にステップアップしていく。この進め方が、製造業のアプリ開発における最も賢明で、リスクの少ない投資戦略だと私は思います。


発注前にこれだけは準備!成功確度を上げるRFP(提案依頼書)のツボ

「よし、信頼できそうな会社も見つかった。さっそく相談しよう!」その前に、少しだけ準備をすると、その後の進行が驚くほどスムーズになります。それがRFP(提案依頼書)の準備です。

「え、そんなカッチリしたもの作らないとダメ?」と思うかもしれませんが、完璧なものである必要はありません。むしろ、以下のポイントを箇条書きでまとめるだけでも、発注先との認識のズレをなくし、提案の質をグッと高めることができます。

RFPに盛り込むべき最低限の項目

  1. 背景と目的(Why)
    • なぜアプリを作りたいのか?(例:人手不足、技術継承、生産性向上)
    • アプリで何を達成したいのか?(例:〇〇の作業時間を20%削減したい、ヒューマンエラーをゼロにしたい)
    • ここが一番大事です!あなたの会社の「想い」や「悩み」を正直に伝えましょう。
  2. ターゲットユーザー(Who)
    • 主に誰が使うのか?(例:工場のベテラン作業員、若手の検査スタッフ)
    • ユーザーのITスキルはどれくらいか?(例:ほとんどスマホを触らない人もいる)
  3. 解決したい課題と主な機能(What)
    • 現状の業務フローと、その中での課題。(例:毎日、手書きの報告書作成に1時間かかっている)
    • その課題を解決するために「最低限」必要だと思う機能。(例:写真付きの日報をスマホで作成・提出できる機能)
    • 注意: 機能は欲張らず、課題ベースで書くのがコツです。
  4. 予算と納期(How much / When)
    • おおよその予算感。(例:500万円以内でまずはスタートしたい)
    • いつまでにリリースしたいか。(例:半年後の繁忙期までには使いたい)

これらの情報を伝えることで、デザイン会社は「ああ、このお客様は本気だ。そして、現場のことをしっかり考えている」と感じ、より熱量の高い、的確な提案をしてくれるはずです。


まとめ:製造業のDXは「最高のデザインパートナー」探しから始まる

ここまで、製造業のアプリデザイン発注で失敗しないためのポイントを、かなり熱を込めてお話ししてきました。長い道のり、お疲れ様でした。

重要なおさらい

  • ✅ 製造業のアプリ開発の失敗は、現場を無視したUI/UXデザインが原因。
  • ✅ デザインとは見た目ではなく、生産性に直結する「機能」である。
  • ✅ 失敗しないためには、現場への理解度が高い「デザインパートナー」を見極める必要がある。
  • ✅ コストだけで選ばず、まずは「スモールスタート」で効果を検証するのが賢い進め方。

結局のところ、アプリはただの道具です。その道具を、現場で働く人々が「これ、最高じゃん!」と喜んで使ってくれて、初めてその価値が生まれます。そして、そんな「最高の道具」を生み出すには、技術力だけでは不十分。貴社のビジネスと現場に深く寄り添い、共に汗を流してくれるパートナーの存在が不可欠なのです。

「うちの課題、アプリで解決できるんだろうか?」
「一度、専門家の意見を聞いてみたい」

もし少しでもそう感じたら、ぜひ一度、私たちpicks designに声をかけてみてください。私たちは、単に言われたものを作るだけの会社ではありません。貴社の事業を成功に導く「デザインパートナー」として、課題の発見から一緒に考えさせていただきます。あなたの会社のDXが、現場の笑顔に繋がる成功を収めることを、心から願っています。

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