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見た目だけで選ぶと失敗する?UIUXデザイン会社選びの現実
“ポートフォリオが素晴らしかったのに、いざ依頼したら全然違った…”
こんな悲痛な声、当社のデザインチームも多くのクライアントから聞いてきました。UIUXデザインの外注選びは本当に難しいものです。
2023年の業界調査によると、UIUXデザイン外注プロジェクトの約40%が「期待した成果が得られなかった」と回答。その主な原因は「見た目の良さだけで選んでしまった」というものでした。
プロジェクトの成否を分けるのは、最初の一歩である「デザイン会社選び」にかかっています。当社の経験から言えることは、見た目の良さと実務での成果は必ずしも一致しないという事実。本記事では、そんな落とし穴を避けるための実践的な質問リストをお届けします。
なぜ「見た目」だけの判断では不十分なのか
“見栄えのいいサイトを作っているデザイン会社なら、うちのプロジェクトもうまくいくはず”
この考え方は非常に危険です。当社がサポートしたあるメーカー様は、ポートフォリオの美しさだけで選定したデザイン会社に依頼したところ、3ヶ月後に全面リニューアルする羽目になりました。見た目は確かに洗練されていたものの、ユーザー視点が完全に欠けていたのです。
UIUXデザインの本質は「見た目の良さ」だけではありません。特に以下の点が重要です:
- ビジネス目標との整合性: きれいなだけでは売上やコンバージョンにつながらない
- ユーザー理解の深さ: ターゲットユーザーの課題や行動パターンを理解しているか
- プロセスの確かさ: 感覚だけでなく、検証と改善の流れがあるか
- 実装を見据えた設計: 開発側の視点も考慮されているか
UIUXデザイン会社との面談で必ず聞くべき質問リスト【カテゴリー別20問】
「何を聞いていいかわからない」という声をよく聞きます。そこで、当社のプロジェクトマネージャーが実際に使用している質問リストを公開します。専門知識がなくても使える実践的なものです。
【カテゴリー1:プロジェクト理解度を測る質問】
- 「私たちのビジネスにおける最大の課題は何だと思いますか?」
⇒ 事前準備の度合いと業界知識の深さがわかる - 「似たような業界での成功事例を教えてください」
⇒ 類似プロジェクトの経験と応用力を測れる - 「このプロジェクトで最も重要なKPIは何だと思いますか?」
⇒ ビジネス目標への理解度が明確になる - 「私たちのターゲットユーザーについて、どう理解していますか?」
⇒ ユーザー視点での思考ができるかどうか - 「競合他社のUIUXの強みと弱みをどう分析しますか?」
⇒ 市場分析能力と差別化戦略の思考力がわかる
UIUXデザイン会社との面談で必ず聞くべき質問リスト(続き)
【カテゴリー2:プロセスと方法論を確認する質問】
- 「UIUXデザインのプロセスを具体的に説明してください」
⇒ 体系的なアプローチがあるかどうか - 「ユーザーリサーチはどのように行いますか?」
⇒ エビデンスベースの設計をしているか - 「プロトタイプ作成と検証のプロセスを教えてください」
⇒ 仮説検証型の思考があるかどうか - 「クライアントとのコミュニケーション頻度や方法は?」
⇒ 協業スタイルとプロジェクト管理力がわかる - 「過去に困難なプロジェクトをどう乗り越えましたか?」
⇒ 問題解決能力と柔軟性が見える
【カテゴリー3:チーム体制と専門性を探る質問】
- 「このプロジェクトに関わるチームの構成は?」
⇒ 適切な専門性を持ったメンバーが揃っているか - 「UIデザイナーとUXデザイナーの役割分担は?」
⇒ UXをしっかり理解しているか
UIUXデザイン会社との面談で必ず聞くべき質問リスト(続き)
【カテゴリー3:チーム体制と専門性を探る質問】(続き)
- 「プロジェクトマネージャーの経験と役割は?」
⇒ 進行管理の質とリーダーシップがわかる - 「デザイナーの専門的なバックグラウンドは?」
⇒ チームの専門性の深さと広さが見える - 「デベロッパーとのコラボレーション方法は?」
⇒ 実装を見据えた現実的な設計ができるか
【カテゴリー4:成果物と品質管理に関する質問】
- 「デザインの成果をどのように測定しますか?」
⇒ 定量的な評価と継続的改善の姿勢があるか - 「ユーザーテストはどのような手法で行いますか?」
⇒ ユーザー中心設計への本気度が見える - 「アクセシビリティへの対応方針は?」
⇒ 多様なユーザーへの配慮と法的リスク管理の意識 - 「デザインシステム構築の経験は?」
⇒ 拡張性と一貫性への理解度がわかる - 「プロジェクト完了後のサポート体制は?」
⇒ 長期的なパートナーシップの可能性を探れる
理想的な回答とは?質問から見えてくる本当の実力
質問リストがあっても、「どんな回答が良いのか」の判断基準がなければ意味がありません。当社のUIUXデザインチームが重視している判断基準をいくつかご紹介します。
質問 | 警戒すべき回答 | 理想的な回答 |
---|---|---|
ビジネス課題は何だと思うか | 「おそらくコンバージョン率ですか?」と曖昧な返答 | 「御社サイトを分析したところ、カート離脱率が業界平均より15%高い点が課題と考えます」と具体的 |
ユーザーリサーチ方法 | 「一般的なユーザーインタビューを行います」と定型的 | 「まず5名の主要ペルソナにコンテキスチュアルインタビューを行い、その後200名規模の定量調査で検証します」と計画的 |
良い回答のパターンには共通点があります:
- 具体性があり、数字や事例を交えている
- 自社の強みだけでなく、限界も正直に認めている
- あなたのビジネスやプロジェクトに即した回答をしている
- 「なぜそうするのか」の理由が説明されている
デザイン会社選びの決め手となる3つのポイント
数々のUIUXプロジェクトに携わってきた当社の経験から、最終的な判断基準となる3つのポイントをお伝えします。
1. 見た目の先にある「思考プロセス」
ポートフォリオの美しさよりも重要なのが「どのように考えて、その結果に至ったか」という思考プロセスです。当社が手がけた医療系アプリ開発では、ユーザー課題の深堀りと解決策の論理性を重視したアプローチにより、リリース後のユーザー満足度が想定の2倍になりました。
2. 「提案」より「質問」の質
初回の打ち合わせで注目すべきは、一方的な提案よりも「どれだけ本質的な質問をしてくるか」です。質の高い質問ができる会社は、表面的な課題ではなく根本原因を理解しようとしています。
3. チームの多様性と専門性のバランス
成功するプロジェクトに共通するのは、チームの専門性の幅広さです。UIデザイナーだけでなく、UXリサーチャー、インタラクションデザイナー、コンテンツストラテジストなど、多角的な視点を持つチーム構成が理想的です。
まとめ:質問リストを活用した理想的なUIUXデザイン会社の選び方
「百聞は一見に如かず」という言葉がありますが、UIUXデザイン会社選びにおいては「百見は一問に如かず」と言えるでしょう。本記事でご紹介した20の質問リストは、見た目だけでは判断できない本質的な実力を見極めるための羅針盤となります。
当社が長年のUIUXデザイン実践から確信していることは、最高のデザインパートナーは、あなたの課題に共感し、ビジネス目標達成に本気でコミットしてくれる会社であるということ。見た目の良さだけでなく、思考プロセス、質問の質、チームの多様性という3つの視点から総合的に判断することが重要です。
もし「自社のプロジェクトに最適なUIUXデザイン会社の選び方」についてさらに詳しいアドバイスが必要でしたら、お気軽に当社までご相談ください。プロジェクトの特性に合わせた選定基準や、業界別のUIUXデザイン事例など、お役に立てる情報をご提供いたします。

