【完全ガイド】UIUXデザイン発注仕様書の作り方|テンプレートと記載すべき10の要素

  • 2025.4.19
  • UIUXデザインwebデザインアプリ発注仕様書
  • スタートアップ
  • 新規事業

目次

UIUXデザイン発注で失敗しないための仕様書の重要性

UI/UXデザインの外部発注を初めて担当する――そんな場面に直面して、「何から手をつければいいの?」と迷ってしまう方は多いのではないでしょうか。
特に仕様書の作成に不安を感じる方も多く、最初の一歩でつまずかないための準備がとても重要です。

実はUIUXデザイン発注の成否を分けるのは、発注前の「仕様書作成」にあります。曖昧な仕様書は致命的な問題を引き起こします。

仕様書不備がもたらす典型的な3つの失敗パターン

  • 予算超過:「こんなはずじゃなかった」と追加費用の泥沼に
  • 納期遅延:要件の解釈違いによる手戻りの連続
  • 品質不足:期待と全く異なる成果物で修正地獄に

UI/UXプロジェクトでは、要件定義が不十分な場合、遅延や予算超過が発生するリスクが高いことが一般的に認識されています。逆に、明確な仕様書を準備し、プロジェクトの初期段階でしっかりとした計画を立てることにより、期待通りの成果を達成できる可能性が高まると、多くの専門家が指摘しています。

本記事では私の失敗経験も交えながら、UIUXデザイン発注を成功させるための仕様書作成法を解説します。これを読めば、外部パートナーとスムーズにコミュニケーションをとり、期待通りの成果物を得るための第一歩を踏み出せますよ。

デザイン会社IUXデザイン発注仕様書に記載すべき10の重要要素

「仕様書って具体的に何を書けばいいの?」というご質問をよくいただきます。私が実際のプロジェクトで使ってきた経験から、絶対に外せない10の要素をご紹介します。

1. プロジェクト概要

「何を」作るのかの基本情報です。Webサイトなのか、アプリなのか、リニューアルなのか新規制作なのかを明記します。

2. 目的と目標

「なぜ」このプロジェクトを行うのか、KPIなど具体的な数値目標も含めて記載します。

3. ターゲットユーザー定義

「誰のために」作るのかを明確にします。年齢層や行動特性、ペルソナ設定なども含めると良いでしょう。

4. 機能要件

具体的にどんな機能が必要なのかをリストアップします。例えば「ログイン機能」「検索機能」など。

5. デザイン要件

ブランドカラーやイメージ、参考にしたいデザインなど視覚的な要素を記載します。

6. 技術要件

使用する技術やプラットフォーム、既存システムとの連携など技術面の条件を明記します。

7. 納品物一覧

デザインカンプやソースコード、ドキュメントなど、最終的に納品されるべきものを明確にします。

8. プロジェクトスケジュール

全体のスケジュールと各フェーズの期限を明示します。

9. 予算

予算範囲や支払い条件を記載します。

10. 評価基準

成果物の品質をどう評価するかの基準を示します。

失敗しないUIUXデザイン仕様書の書き方と実践例

仕様書に何を書くべきかは分かっても、「どう書けば伝わるのか」が難しいですよね。私も最初は抽象的な表現で発注先に混乱を招いた経験があります。

プロジェクト概要の書き方例

×曖昧な例:

“当社ECサイトのデザインリニューアル”

○具体的な例:

“創業15年目を迎える当社オーガニック食品ECサイトのUI/UXデザインリニューアル。スマートフォン利用ユーザー増加に対応するためのレスポンシブデザイン化および購入導線の最適化を主目的とする”

目的と目標の書き方例

×曖昧な例:

“売上アップを目指したい”

○具体的な例:

“目的:カート離脱率の改善とリピート購入の促進
目標:・カート離脱率を現状の65%から40%以下に改善
・1アカウントあたりの年間購入回数を2.3回から3.5回に増加
・スマートフォンからの購入比率を現在の35%から60%に向上”

納品物一覧の書き方例

×曖昧な例:

“デザインデータ一式”

○具体的な例:

  1. ワイヤーフレーム(Figmaデータおよび全画面PDFエクスポート)
  2. デザインカンプ(Adobe XDデータおよび全画面PDFエクスポート)
  3. プロトタイプ(主要操作フローが確認できるインタラクション付き)
  4. デザインシステム(カラーパレット、タイポグラフィ、UIコンポーネント一覧)
  5. 実装ガイドライン(開発者向け仕様書)

UIUXデザイン仕様書テンプレート活用法と記入のポイント

ここからは実際に使えるテンプレートをもとに、各項目の記入ポイントを解説します。「百聞は一見にしかず」ですからね!

基本情報セクションの記入例

【プロジェクト名】アドベンチャーギア公式サイトリニューアル
【担当者】山田太郎(マーケティング部)連絡先:yamada@example.com
【想定予算】300万円〜400万円
【納期】最終納品:2023年10月末(β版公開:9月中旬)

ポイント: 予算は幅を持たせつつ、最大値を明確にすることで、予算超過のリスクを抑制できます。

技術要件セクションの記入例

項目詳細
対応デバイスPC(1280px以上)、タブレット(768〜1279px)、スマートフォン(375〜767px)
ブラウザ対応Chrome最新版、Safari最新版、Edge最新版、iOS Safari最新版、Android Chrome最新版
CMS連携WordPress 6.0以上
既存システム連携会員管理システム「MembershipOne」APIを使用した会員情報連携

ポイント: 技術要件は具体的な数値やバージョンを明記することで、認識のズレを防ぎます。

デザイン要件セクションの記入例

【ブランドイメージ】
・アウトドア愛好家に信頼される専門性と共に、初心者にも親しみやすさを表現
・カラーパレット:ブランドカラー(#2E7D32)を基調に、自然をイメージした配色

【参考サイト】
・https://www.patagonia.jp/ (シンプルながら商品の魅力が伝わる構成)
・https://www.rei.com/ (ユーザーレビューの表示方法が参考になる)

仕様書作成前に社内で合意しておくべき5つのポイント

仕様書を作成する前に社内で認識を合わせておかないと、あとで大変なことになります。私は過去に、仕様書作成後に社内から「こんなの聞いてない!」と言われて修正の嵐…なんてことがありました(苦笑)

1. プロジェクトの優先順位

全機能を同時に完璧に実現することは難しいもの。「使いやすさ」「見た目の美しさ」「開発スピード」「コスト」など、どれを優先するかを明確にしておきましょう。

意思決定マトリクス例:

優先項目優先度(1-5)理由
UXの使いやすさ5カート離脱率改善が最重要KPI
ビジュアルデザイン3ブランドイメージ維持のため必要だが機能優先
開発スピード4競合対策として早期リリースが必要
コスト効率2予算に余裕あり、品質優先で進める

2. キーパーソンの承認フロー

「誰が」「いつ」「何を」確認・承認するのかを事前に決めておきます。特にデザイン承認は個人の好みが入りやすいため、判断基準と決裁者を明確にしておきましょう。

3. フィードバックのルール

無秩序なフィードバックはプロジェクトの混乱を招きます。「フィードバック期間は3営業日以内」「修正は最大2回まで」など、ルールを定めておくと良いでしょう。

4. 成功の定義

「このプロジェクトが成功したと言えるのはどんな状態か」を数値目標だけでなく、定性的な面も含めて合意しておきます。

5. リスク許容度

完璧を求めるとローンチが遅れる原因に。「許容できる不具合レベル」や「必須機能vs追加機能」の線引きを明確にしておきましょう。

UIUXデザイン発注の主要な失敗事例と対策

XD,Figma

私がこれまで見てきた失敗パターンとその対策をご紹介します。他山の石として参考にしてくださいね。

失敗事例1:想定外の追加費用発生

原因:

仕様書に「アニメーション効果」について具体的な記載がなく、発注先が高度なインタラクティブ要素を実装。追加費用の交渉になった。

対策:

  • 仕様書にデザイン要素の具体例や参考サイトを明記する
  • 「含まれないもの」も明確に記載する
  • 追加費用が発生する条件を事前に合意しておく

失敗事例2:デザインの好みの不一致

原因:

「モダンなデザイン」という抽象的な表現だけで発注。受け取ったデザインが社内の想像と全く異なり、大幅な修正が必要になった。

対策:

  • 具体的な参考サイト・デザイン要素を複数提示する
  • 好きなデザイン・嫌いなデザイン両方の例を示す
  • デザインコンセプトを言葉で具体的に説明する

失敗事例3:ユーザビリティテストでの問題発覚

原因:

完成直前のユーザビリティテストで重大な使いづらさが発覚。手戻りで大幅な納期遅延。

対策:

  • 中間成果物(ワイヤーフレーム段階など)でのユーザーテストを仕様に含める
  • プロトタイプ段階でのフィードバックプロセスを明確にしておく
  • 想定ユーザーのジャーニーマップを仕様書に含める

私が特に推奨するのは、発注前に簡易的なユーザーインタビューを実施して、その結果を仕様書に含めることです。たった5人にインタビューするだけでも、多くの問題点が事前に把握できますよ。

UIUXデザイン発注後のスムーズな進行のためのチェックリスト

仕様書を作ったからといって安心するのはまだ早いです!私の経験から、発注後のプロジェクト進行をスムーズにするためのチェックリストをご紹介します。

発注直後の確認事項

  • キックオフミーティングで仕様書の内容を口頭でも説明した
  • 発注先からの質問に対して48時間以内に回答する体制を整えた
  • プロジェクト管理ツール(Trello、JIRAなど)のアクセス権を付与した
  • ブランドガイドラインや既存デザイン資産を共有した
  • 社内関係者に進捗報告の頻度と方法を伝えた

中間フェーズでのチェックポイント

  • ワイヤーフレームは主要ステークホルダー全員が確認したか
  • フィードバックは具体的かつ建設的に伝えられているか
  • デザインの方向性について早期に合意できているか
  • 想定ユーザーの視点からのレビューが行われているか
  • スケジュールの遅延兆候はないか、あれば対策は講じられているか

納品前の最終確認

  • すべての画面・状態が確認されているか
  • レスポンシブデザインの動作確認は完了しているか
  • アクセシビリティに問題はないか
  • デザインシステムやガイドラインは開発チームが理解できる形か
  • 納品物のフォーマットや命名規則は合意通りか

特に気をつけたいのは、中間フェーズでのフィードバックの質です。「なんとなく違和感がある」ではなく「ヘッダーの色が薄すぎてブランドイメージと合わない」など、具体的に伝えるようにしましょう。

こうしたチェックリストを使うことで、仕様書だけでは捉えきれない部分も含めて、プロジェクト全体をコントロールしやすくなります。

まとめ:UIUXデザイン発注を成功させるための最終アドバイス

適切なUIUXデザイン仕様書の作成は、プロジェクト成功の要です。これまでの内容をまとめると、以下の3点がキーポイントとなります:

  1. 明確で具体的な要件定義: 抽象的な表現や主観的な言葉を避け、可能な限り具体例や数値を用いた説明を心がけましょう。
  2. コミュニケーション設計: 仕様書はただの文書ではなく、コミュニケーションツールです。承認フローやフィードバック方法も含めた総合的な設計を行いましょう。
  3. ユーザー視点の徹底: 自社の都合や好みではなく、最終的にそのデザインを使うユーザーにとっての価値を常に中心に据えましょう。

私自身、これまで数十件のUIUXプロジェクトに関わってきましたが、初期の仕様定義の質が最終成果物の満足度に直結することを実感しています。

本記事で紹介したようなテンプレートやチェックリストを活用し、発注先のデザイナーとの協業関係を築くことで、ビジネス目標の達成につながるUIUXデザインを実現できるでしょう。

▼ UIUXデザイン発注でお悩みの方へ

UIUXデザインの発注は、事前準備の質がプロジェクトの成果を左右します。
本記事の内容が、仕様書作成に取り組む方のヒントになれば幸いです。
「こういうところが難しい…」と感じたら、まずは一度社内で共有しながら、プロジェクトの目的や優先順位を見直してみてくださいね。

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UIUXデザイン発注で失敗しないための仕様書の重要性

UI/UXデザインの外部発注を初めて担当する――そんな場面に直面して、「何から手をつければいいの?」と迷ってしまう方は多いのではないでしょうか。
特に仕様書の作成に不安を感じる方も多く、最初の一歩でつまずかないための準備がとても重要です。

実はUIUXデザイン発注の成否を分けるのは、発注前の「仕様書作成」にあります。曖昧な仕様書は致命的な問題を引き起こします。

仕様書不備がもたらす典型的な3つの失敗パターン

  • 予算超過:「こんなはずじゃなかった」と追加費用の泥沼に
  • 納期遅延:要件の解釈違いによる手戻りの連続
  • 品質不足:期待と全く異なる成果物で修正地獄に

UI/UXプロジェクトでは、要件定義が不十分な場合、遅延や予算超過が発生するリスクが高いことが一般的に認識されています。逆に、明確な仕様書を準備し、プロジェクトの初期段階でしっかりとした計画を立てることにより、期待通りの成果を達成できる可能性が高まると、多くの専門家が指摘しています。

本記事では私の失敗経験も交えながら、UIUXデザイン発注を成功させるための仕様書作成法を解説します。これを読めば、外部パートナーとスムーズにコミュニケーションをとり、期待通りの成果物を得るための第一歩を踏み出せますよ。

デザイン会社IUXデザイン発注仕様書に記載すべき10の重要要素

「仕様書って具体的に何を書けばいいの?」というご質問をよくいただきます。私が実際のプロジェクトで使ってきた経験から、絶対に外せない10の要素をご紹介します。

1. プロジェクト概要

「何を」作るのかの基本情報です。Webサイトなのか、アプリなのか、リニューアルなのか新規制作なのかを明記します。

2. 目的と目標

「なぜ」このプロジェクトを行うのか、KPIなど具体的な数値目標も含めて記載します。

3. ターゲットユーザー定義

「誰のために」作るのかを明確にします。年齢層や行動特性、ペルソナ設定なども含めると良いでしょう。

4. 機能要件

具体的にどんな機能が必要なのかをリストアップします。例えば「ログイン機能」「検索機能」など。

5. デザイン要件

ブランドカラーやイメージ、参考にしたいデザインなど視覚的な要素を記載します。

6. 技術要件

使用する技術やプラットフォーム、既存システムとの連携など技術面の条件を明記します。

7. 納品物一覧

デザインカンプやソースコード、ドキュメントなど、最終的に納品されるべきものを明確にします。

8. プロジェクトスケジュール

全体のスケジュールと各フェーズの期限を明示します。

9. 予算

予算範囲や支払い条件を記載します。

10. 評価基準

成果物の品質をどう評価するかの基準を示します。

失敗しないUIUXデザイン仕様書の書き方と実践例

仕様書に何を書くべきかは分かっても、「どう書けば伝わるのか」が難しいですよね。私も最初は抽象的な表現で発注先に混乱を招いた経験があります。

プロジェクト概要の書き方例

×曖昧な例:

“当社ECサイトのデザインリニューアル”

○具体的な例:

“創業15年目を迎える当社オーガニック食品ECサイトのUI/UXデザインリニューアル。スマートフォン利用ユーザー増加に対応するためのレスポンシブデザイン化および購入導線の最適化を主目的とする”

目的と目標の書き方例

×曖昧な例:

“売上アップを目指したい”

○具体的な例:

“目的:カート離脱率の改善とリピート購入の促進
目標:・カート離脱率を現状の65%から40%以下に改善
・1アカウントあたりの年間購入回数を2.3回から3.5回に増加
・スマートフォンからの購入比率を現在の35%から60%に向上”

納品物一覧の書き方例

×曖昧な例:

“デザインデータ一式”

○具体的な例:

  1. ワイヤーフレーム(Figmaデータおよび全画面PDFエクスポート)
  2. デザインカンプ(Adobe XDデータおよび全画面PDFエクスポート)
  3. プロトタイプ(主要操作フローが確認できるインタラクション付き)
  4. デザインシステム(カラーパレット、タイポグラフィ、UIコンポーネント一覧)
  5. 実装ガイドライン(開発者向け仕様書)

UIUXデザイン仕様書テンプレート活用法と記入のポイント

ここからは実際に使えるテンプレートをもとに、各項目の記入ポイントを解説します。「百聞は一見にしかず」ですからね!

基本情報セクションの記入例

【プロジェクト名】アドベンチャーギア公式サイトリニューアル
【担当者】山田太郎(マーケティング部)連絡先:yamada@example.com
【想定予算】300万円〜400万円
【納期】最終納品:2023年10月末(β版公開:9月中旬)

ポイント: 予算は幅を持たせつつ、最大値を明確にすることで、予算超過のリスクを抑制できます。

技術要件セクションの記入例

項目詳細
対応デバイスPC(1280px以上)、タブレット(768〜1279px)、スマートフォン(375〜767px)
ブラウザ対応Chrome最新版、Safari最新版、Edge最新版、iOS Safari最新版、Android Chrome最新版
CMS連携WordPress 6.0以上
既存システム連携会員管理システム「MembershipOne」APIを使用した会員情報連携

ポイント: 技術要件は具体的な数値やバージョンを明記することで、認識のズレを防ぎます。

デザイン要件セクションの記入例

【ブランドイメージ】
・アウトドア愛好家に信頼される専門性と共に、初心者にも親しみやすさを表現
・カラーパレット:ブランドカラー(#2E7D32)を基調に、自然をイメージした配色

【参考サイト】
・https://www.patagonia.jp/ (シンプルながら商品の魅力が伝わる構成)
・https://www.rei.com/ (ユーザーレビューの表示方法が参考になる)

仕様書作成前に社内で合意しておくべき5つのポイント

仕様書を作成する前に社内で認識を合わせておかないと、あとで大変なことになります。私は過去に、仕様書作成後に社内から「こんなの聞いてない!」と言われて修正の嵐…なんてことがありました(苦笑)

1. プロジェクトの優先順位

全機能を同時に完璧に実現することは難しいもの。「使いやすさ」「見た目の美しさ」「開発スピード」「コスト」など、どれを優先するかを明確にしておきましょう。

意思決定マトリクス例:

優先項目優先度(1-5)理由
UXの使いやすさ5カート離脱率改善が最重要KPI
ビジュアルデザイン3ブランドイメージ維持のため必要だが機能優先
開発スピード4競合対策として早期リリースが必要
コスト効率2予算に余裕あり、品質優先で進める

2. キーパーソンの承認フロー

「誰が」「いつ」「何を」確認・承認するのかを事前に決めておきます。特にデザイン承認は個人の好みが入りやすいため、判断基準と決裁者を明確にしておきましょう。

3. フィードバックのルール

無秩序なフィードバックはプロジェクトの混乱を招きます。「フィードバック期間は3営業日以内」「修正は最大2回まで」など、ルールを定めておくと良いでしょう。

4. 成功の定義

「このプロジェクトが成功したと言えるのはどんな状態か」を数値目標だけでなく、定性的な面も含めて合意しておきます。

5. リスク許容度

完璧を求めるとローンチが遅れる原因に。「許容できる不具合レベル」や「必須機能vs追加機能」の線引きを明確にしておきましょう。

UIUXデザイン発注の主要な失敗事例と対策

XD,Figma

私がこれまで見てきた失敗パターンとその対策をご紹介します。他山の石として参考にしてくださいね。

失敗事例1:想定外の追加費用発生

原因:

仕様書に「アニメーション効果」について具体的な記載がなく、発注先が高度なインタラクティブ要素を実装。追加費用の交渉になった。

対策:

  • 仕様書にデザイン要素の具体例や参考サイトを明記する
  • 「含まれないもの」も明確に記載する
  • 追加費用が発生する条件を事前に合意しておく

失敗事例2:デザインの好みの不一致

原因:

「モダンなデザイン」という抽象的な表現だけで発注。受け取ったデザインが社内の想像と全く異なり、大幅な修正が必要になった。

対策:

  • 具体的な参考サイト・デザイン要素を複数提示する
  • 好きなデザイン・嫌いなデザイン両方の例を示す
  • デザインコンセプトを言葉で具体的に説明する

失敗事例3:ユーザビリティテストでの問題発覚

原因:

完成直前のユーザビリティテストで重大な使いづらさが発覚。手戻りで大幅な納期遅延。

対策:

  • 中間成果物(ワイヤーフレーム段階など)でのユーザーテストを仕様に含める
  • プロトタイプ段階でのフィードバックプロセスを明確にしておく
  • 想定ユーザーのジャーニーマップを仕様書に含める

私が特に推奨するのは、発注前に簡易的なユーザーインタビューを実施して、その結果を仕様書に含めることです。たった5人にインタビューするだけでも、多くの問題点が事前に把握できますよ。

UIUXデザイン発注後のスムーズな進行のためのチェックリスト

仕様書を作ったからといって安心するのはまだ早いです!私の経験から、発注後のプロジェクト進行をスムーズにするためのチェックリストをご紹介します。

発注直後の確認事項

  • キックオフミーティングで仕様書の内容を口頭でも説明した
  • 発注先からの質問に対して48時間以内に回答する体制を整えた
  • プロジェクト管理ツール(Trello、JIRAなど)のアクセス権を付与した
  • ブランドガイドラインや既存デザイン資産を共有した
  • 社内関係者に進捗報告の頻度と方法を伝えた

中間フェーズでのチェックポイント

  • ワイヤーフレームは主要ステークホルダー全員が確認したか
  • フィードバックは具体的かつ建設的に伝えられているか
  • デザインの方向性について早期に合意できているか
  • 想定ユーザーの視点からのレビューが行われているか
  • スケジュールの遅延兆候はないか、あれば対策は講じられているか

納品前の最終確認

  • すべての画面・状態が確認されているか
  • レスポンシブデザインの動作確認は完了しているか
  • アクセシビリティに問題はないか
  • デザインシステムやガイドラインは開発チームが理解できる形か
  • 納品物のフォーマットや命名規則は合意通りか

特に気をつけたいのは、中間フェーズでのフィードバックの質です。「なんとなく違和感がある」ではなく「ヘッダーの色が薄すぎてブランドイメージと合わない」など、具体的に伝えるようにしましょう。

こうしたチェックリストを使うことで、仕様書だけでは捉えきれない部分も含めて、プロジェクト全体をコントロールしやすくなります。

まとめ:UIUXデザイン発注を成功させるための最終アドバイス

適切なUIUXデザイン仕様書の作成は、プロジェクト成功の要です。これまでの内容をまとめると、以下の3点がキーポイントとなります:

  1. 明確で具体的な要件定義: 抽象的な表現や主観的な言葉を避け、可能な限り具体例や数値を用いた説明を心がけましょう。
  2. コミュニケーション設計: 仕様書はただの文書ではなく、コミュニケーションツールです。承認フローやフィードバック方法も含めた総合的な設計を行いましょう。
  3. ユーザー視点の徹底: 自社の都合や好みではなく、最終的にそのデザインを使うユーザーにとっての価値を常に中心に据えましょう。

私自身、これまで数十件のUIUXプロジェクトに関わってきましたが、初期の仕様定義の質が最終成果物の満足度に直結することを実感しています。

本記事で紹介したようなテンプレートやチェックリストを活用し、発注先のデザイナーとの協業関係を築くことで、ビジネス目標の達成につながるUIUXデザインを実現できるでしょう。

▼ UIUXデザイン発注でお悩みの方へ

UIUXデザインの発注は、事前準備の質がプロジェクトの成果を左右します。
本記事の内容が、仕様書作成に取り組む方のヒントになれば幸いです。
「こういうところが難しい…」と感じたら、まずは一度社内で共有しながら、プロジェクトの目的や優先順位を見直してみてくださいね。

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