UIUX制作会社の納品物完全ガイド:フェーズ別デリバラブル一覧と選び方

  • 2025.4.11
  • デザイン

UIUX制作プロジェクトの納品物とは何か

UIUX制作会社に依頼するとき、最終的にどのような成果物が手元に届くのか疑問に思われる方は多いでしょう。この「納品物」(デリバラブル)は、プロジェクトの成功を左右する重要な要素です。

納品物とは単なる「完成したデザイン」だけではありません。ユーザー調査の結果から、設計書、デザイン素材、実装用ファイルまで多岐にわたります。これらは単なる成果物ではなく、プロジェクトの各段階での「思考プロセスの証明」であり、「プロダクト開発の基盤」となるドキュメントです。

適切な納品物を受け取ることで、デザインの意図を正確に理解し、将来の改善や拡張をスムーズに進められます。本記事では、UIUX制作の各フェーズで受け取るべき納品物を詳しく解説し、それらをどう評価・活用すべきかをご紹介します。発注担当者として必要な知識を身につけ、プロジェクトを成功に導きましょう。

調査・分析フェーズの納品物

調査・分析フェーズでは、デザイン方針を決定するための基礎資料が納品されます。主な納品物は以下の通りです。

1. ユーザーリサーチ報告書

インタビューやアンケート調査の結果をまとめたドキュメントです。ユーザーの行動パターン、ニーズ、ペインポイントが詳細に記載されており、デザイン判断の根拠となります。

2. ペルソナ設定資料

典型的なユーザー像を具体化した資料です。年齢、職業、行動特性、目標などが詳細に定義され、以降のデザイン判断の基準点となります。

3. 競合分析レポート

市場における類似サービスの強み・弱みを分析した資料です。差別化ポイントの明確化や、業界標準のUIパターンを把握するのに役立ちます。

4. カスタマージャーニーマップ

ユーザーの体験全体を可視化した図表です。タッチポイントごとの感情や行動を時系列で表現し、改善すべき体験ポイントを特定します。

設計フェーズの納品物

設計フェーズでは、情報構造やユーザーの行動パスを整理した設計書が納品されます。視覚的なデザインの前段階として重要な成果物です。

1. サイトマップ/情報設計図

全体の構造を階層的に示した図です。メニュー構成やページ間の関係性が一目でわかり、コンテンツの整理状況を確認できます。複雑なサービスほど重要性が増す納品物です。

2. ユーザーフロー図

特定のタスク(会員登録や購入など)を完了するまでの流れを示した図です。画面遷移や分岐条件が明示され、必要な画面や機能の漏れを防ぎます。

3. ワイヤーフレーム

画面の骨格を示した簡易的な設計図です。コンテンツの配置や優先順位が示されますが、色や詳細なデザイン要素は含まれません。ビジネス要件やユーザーニーズが適切に反映されているか確認する基準となります。

4. 機能要件定義書

各機能の詳細仕様をまとめたドキュメントです。何ができて何ができないのか、どのような条件で動作するのかが明記されています。

デザインフェーズの納品物

設計をベースに視覚的な表現を加えたデザインフェーズでは、最終的なルック&フィールを確認できる成果物が納品されます。

  • 1. UI要素一覧/デザインシステム

    ボタン、フォーム、アイコンなどのUIコンポーネントを体系化したライブラリです。状態変化(ホバー時など)も含めて一覧化され、デザインの一貫性を保証します。

  • 2. モックアップ

    実際の見た目に近い静的な画面デザインです。色彩、タイポグラフィ、画像などの視覚要素が含まれ、最終的な見た目をイメージできます。通常はAdobe XD、Figma、Sketchなどのデザインツールのファイルで納品されます。

  • 3. プロトタイプ

    インタラクションを含む動的なデモです。クリックやスワイプなどの操作に対する画面の反応を確認でき、実際の操作感を事前に体験できます。

  • 4. デザインカンプ

    最終的なビジュアルデザインを示す完成形のビジュアルです。モックアップよりも精度が高く、実装の正確な参照となります。レスポンシブデザインの場合、複数の画面サイズ版が提供されることも一般的です。

実装フェーズの納品物

デザインを実際のプロダクトに変換する実装フェーズでは、開発者向けの技術資料が納品されます。

1. デザインガイドライン/スタイルガイド

ブランドの視覚的要素(色、フォント、スペーシングなど)の使用規則をまとめたドキュメントです。将来の拡張時にも一貫性を保つための重要な指針となります。

2. アセット素材

ロゴ、アイコン、イラスト、写真などの画像素材です。Web用に最適化された複数の形式(SVG、PNG、JPGなど)で納品されるのが一般的です。

3. 実装仕様書

HTML/CSS構造やインタラクションの詳細を記述した技術文書です。アニメーション効果の詳細や特殊なレイアウト要件などが明記されます。

4. レスポンシブ設計仕様

異なる画面サイズでのレイアウト変化のルールを定義した資料です。ブレイクポイントごとの挙動変化が詳細に記載されています。

開発チームとデザインチームが別の場合、これらの納品物の品質がコミュニケーションコストと最終成果物の質に直結します。

納品物の評価ポイントと活用法

納品物を受け取る際は、以下のポイントで評価することが重要です。

評価ポイント

  1. 一貫性: ブランドアイデンティティやデザイン原則が全体を通して統一されているか
  2. 完全性: 必要な画面や状態がすべて網羅されているか
  3. 論理性: デザイン判断の背景が明確で、ビジネス目標やユーザーニーズに基づいているか
  4. 実装可能性: 技術的に実現可能なデザインか、必要な技術情報が揃っているか

効果的な活用法

  • 1

    社内共有: 納品物を関係者と共有し、プロジェクトの方向性について共通理解を形成する

  • 2

    フィードバックの根拠: 修正依頼の際に具体的な納品物を参照し、明確なコミュニケーションを図る

  • 3

    将来の改善: ユーザーテストの結果と照らし合わせ、次回改善の方向性を検討する

  • 4

    知識の蓄積: 自社のデザイン資産として保管し、将来のプロジェクトの参考にする

プロジェクト規模別:必要な納品物リスト

予算や時間の制約により、すべての納品物が必要とは限りません。プロジェクト規模別に最低限必要な納品物を整理します。

小規模プロジェクト(LP制作など)

  • 簡易ペルソナ
  • ワイヤーフレーム
  • デザインカンプ
  • 必要最小限のアセット素材

中規模プロジェクト(コーポレートサイトなど)

  • ユーザーリサーチ報告書
  • ペルソナ設定
  • サイトマップ
  • ワイヤーフレーム
  • デザインカンプ(複数デバイス対応)
  • スタイルガイド
  • 完全なアセット素材

大規模プロジェクト(Webアプリケーションなど)

  • 詳細なユーザーリサーチ報告書
  • ペルソナとカスタマージャーニーマップ
  • 競合分析レポート
  • 完全な情報設計図とユーザーフロー
  • 詳細なワイヤーフレーム
  • インタラクティブプロトタイプ
  • デザインシステム
  • 実装仕様書
  • レスポンシブ設計仕様

発注前に制作会社と納品物について明確に合意しておくことで、期待とのギャップを防ぎます。

まとめ:効果的なUIUX制作会社との協業のために

UIUX制作会社との協業を成功させるためのポイントをまとめます。

1. 契約前の確認事項

  • 納品物の具体的な内容と形式を明確にする
  • 各フェーズでのレビュープロセスを確認する
  • 修正回数や追加料金の発生条件を明確にする

2. プロジェクト進行中のコミュニケーション

  • 各納品物の目的を理解し、適切なフィードバックを行う
  • 定期的な進捗確認と方向性の合意を取る
  • 変更が生じた場合は納品物への影響を確認する

3. 納品後の活用

  • 納品されたファイルの保管・管理体制を整える
  • デザインシステムやガイドラインを活用し一貫性を維持する
  • 将来の拡張や改善に備えて設計思想を理解しておく

適切な納品物を受け取ることは、単に「見た目の良いデザイン」以上の価値があります。ユーザー体験の根拠や将来の拡張性を含めた包括的な資産となり、長期的なプロダクト成長の基盤となるのです。制作会社との信頼関係を築きながら、効果的なデリバラブルを受け取り、ビジネス成果につなげていきましょう。

デザイン実績
  • 2025.4.11
  • デザイン

UIUX制作プロジェクトの納品物とは何か

UIUX制作会社に依頼するとき、最終的にどのような成果物が手元に届くのか疑問に思われる方は多いでしょう。この「納品物」(デリバラブル)は、プロジェクトの成功を左右する重要な要素です。

納品物とは単なる「完成したデザイン」だけではありません。ユーザー調査の結果から、設計書、デザイン素材、実装用ファイルまで多岐にわたります。これらは単なる成果物ではなく、プロジェクトの各段階での「思考プロセスの証明」であり、「プロダクト開発の基盤」となるドキュメントです。

適切な納品物を受け取ることで、デザインの意図を正確に理解し、将来の改善や拡張をスムーズに進められます。本記事では、UIUX制作の各フェーズで受け取るべき納品物を詳しく解説し、それらをどう評価・活用すべきかをご紹介します。発注担当者として必要な知識を身につけ、プロジェクトを成功に導きましょう。

調査・分析フェーズの納品物

調査・分析フェーズでは、デザイン方針を決定するための基礎資料が納品されます。主な納品物は以下の通りです。

1. ユーザーリサーチ報告書

インタビューやアンケート調査の結果をまとめたドキュメントです。ユーザーの行動パターン、ニーズ、ペインポイントが詳細に記載されており、デザイン判断の根拠となります。

2. ペルソナ設定資料

典型的なユーザー像を具体化した資料です。年齢、職業、行動特性、目標などが詳細に定義され、以降のデザイン判断の基準点となります。

3. 競合分析レポート

市場における類似サービスの強み・弱みを分析した資料です。差別化ポイントの明確化や、業界標準のUIパターンを把握するのに役立ちます。

4. カスタマージャーニーマップ

ユーザーの体験全体を可視化した図表です。タッチポイントごとの感情や行動を時系列で表現し、改善すべき体験ポイントを特定します。

設計フェーズの納品物

設計フェーズでは、情報構造やユーザーの行動パスを整理した設計書が納品されます。視覚的なデザインの前段階として重要な成果物です。

1. サイトマップ/情報設計図

全体の構造を階層的に示した図です。メニュー構成やページ間の関係性が一目でわかり、コンテンツの整理状況を確認できます。複雑なサービスほど重要性が増す納品物です。

2. ユーザーフロー図

特定のタスク(会員登録や購入など)を完了するまでの流れを示した図です。画面遷移や分岐条件が明示され、必要な画面や機能の漏れを防ぎます。

3. ワイヤーフレーム

画面の骨格を示した簡易的な設計図です。コンテンツの配置や優先順位が示されますが、色や詳細なデザイン要素は含まれません。ビジネス要件やユーザーニーズが適切に反映されているか確認する基準となります。

4. 機能要件定義書

各機能の詳細仕様をまとめたドキュメントです。何ができて何ができないのか、どのような条件で動作するのかが明記されています。

デザインフェーズの納品物

設計をベースに視覚的な表現を加えたデザインフェーズでは、最終的なルック&フィールを確認できる成果物が納品されます。

  • 1. UI要素一覧/デザインシステム

    ボタン、フォーム、アイコンなどのUIコンポーネントを体系化したライブラリです。状態変化(ホバー時など)も含めて一覧化され、デザインの一貫性を保証します。

  • 2. モックアップ

    実際の見た目に近い静的な画面デザインです。色彩、タイポグラフィ、画像などの視覚要素が含まれ、最終的な見た目をイメージできます。通常はAdobe XD、Figma、Sketchなどのデザインツールのファイルで納品されます。

  • 3. プロトタイプ

    インタラクションを含む動的なデモです。クリックやスワイプなどの操作に対する画面の反応を確認でき、実際の操作感を事前に体験できます。

  • 4. デザインカンプ

    最終的なビジュアルデザインを示す完成形のビジュアルです。モックアップよりも精度が高く、実装の正確な参照となります。レスポンシブデザインの場合、複数の画面サイズ版が提供されることも一般的です。

実装フェーズの納品物

デザインを実際のプロダクトに変換する実装フェーズでは、開発者向けの技術資料が納品されます。

1. デザインガイドライン/スタイルガイド

ブランドの視覚的要素(色、フォント、スペーシングなど)の使用規則をまとめたドキュメントです。将来の拡張時にも一貫性を保つための重要な指針となります。

2. アセット素材

ロゴ、アイコン、イラスト、写真などの画像素材です。Web用に最適化された複数の形式(SVG、PNG、JPGなど)で納品されるのが一般的です。

3. 実装仕様書

HTML/CSS構造やインタラクションの詳細を記述した技術文書です。アニメーション効果の詳細や特殊なレイアウト要件などが明記されます。

4. レスポンシブ設計仕様

異なる画面サイズでのレイアウト変化のルールを定義した資料です。ブレイクポイントごとの挙動変化が詳細に記載されています。

開発チームとデザインチームが別の場合、これらの納品物の品質がコミュニケーションコストと最終成果物の質に直結します。

納品物の評価ポイントと活用法

納品物を受け取る際は、以下のポイントで評価することが重要です。

評価ポイント

  1. 一貫性: ブランドアイデンティティやデザイン原則が全体を通して統一されているか
  2. 完全性: 必要な画面や状態がすべて網羅されているか
  3. 論理性: デザイン判断の背景が明確で、ビジネス目標やユーザーニーズに基づいているか
  4. 実装可能性: 技術的に実現可能なデザインか、必要な技術情報が揃っているか

効果的な活用法

  • 1

    社内共有: 納品物を関係者と共有し、プロジェクトの方向性について共通理解を形成する

  • 2

    フィードバックの根拠: 修正依頼の際に具体的な納品物を参照し、明確なコミュニケーションを図る

  • 3

    将来の改善: ユーザーテストの結果と照らし合わせ、次回改善の方向性を検討する

  • 4

    知識の蓄積: 自社のデザイン資産として保管し、将来のプロジェクトの参考にする

プロジェクト規模別:必要な納品物リスト

予算や時間の制約により、すべての納品物が必要とは限りません。プロジェクト規模別に最低限必要な納品物を整理します。

小規模プロジェクト(LP制作など)

  • 簡易ペルソナ
  • ワイヤーフレーム
  • デザインカンプ
  • 必要最小限のアセット素材

中規模プロジェクト(コーポレートサイトなど)

  • ユーザーリサーチ報告書
  • ペルソナ設定
  • サイトマップ
  • ワイヤーフレーム
  • デザインカンプ(複数デバイス対応)
  • スタイルガイド
  • 完全なアセット素材

大規模プロジェクト(Webアプリケーションなど)

  • 詳細なユーザーリサーチ報告書
  • ペルソナとカスタマージャーニーマップ
  • 競合分析レポート
  • 完全な情報設計図とユーザーフロー
  • 詳細なワイヤーフレーム
  • インタラクティブプロトタイプ
  • デザインシステム
  • 実装仕様書
  • レスポンシブ設計仕様

発注前に制作会社と納品物について明確に合意しておくことで、期待とのギャップを防ぎます。

まとめ:効果的なUIUX制作会社との協業のために

UIUX制作会社との協業を成功させるためのポイントをまとめます。

1. 契約前の確認事項

  • 納品物の具体的な内容と形式を明確にする
  • 各フェーズでのレビュープロセスを確認する
  • 修正回数や追加料金の発生条件を明確にする

2. プロジェクト進行中のコミュニケーション

  • 各納品物の目的を理解し、適切なフィードバックを行う
  • 定期的な進捗確認と方向性の合意を取る
  • 変更が生じた場合は納品物への影響を確認する

3. 納品後の活用

  • 納品されたファイルの保管・管理体制を整える
  • デザインシステムやガイドラインを活用し一貫性を維持する
  • 将来の拡張や改善に備えて設計思想を理解しておく

適切な納品物を受け取ることは、単に「見た目の良いデザイン」以上の価値があります。ユーザー体験の根拠や将来の拡張性を含めた包括的な資産となり、長期的なプロダクト成長の基盤となるのです。制作会社との信頼関係を築きながら、効果的なデリバラブルを受け取り、ビジネス成果につなげていきましょう。

デザイン実績