ペルソナの気持ちを深く理解するほど、サービス・商品を響かせることが可能となります。
共感マップとは、ペルソナの状況や気持ちを理解するために使用されるビジュアルツールです。
この共感マップを作成するとマーケティングを考える上で、ペルソナを有効に活用することができるようになります。
今回は、そもそも共感マップとは何かという基本的な部分からその作り方まで、幅広くご紹介していきます。
これまで共感マップを知らなかったという方も、ぜひ活用してみてくださいね。
共感マップとは?
共感マップとは、ペルソナの状況や気持ちを整理し、ユーザーに求められていることを可視化するビジュアルツールです。
まずは共感マップの基本的な情報や基本の構成要素について知り、どんなツールであるのか理解を深めていきましょう。
XPLANEのスコット・マシューズ氏が考案
共感マップとは、主にコンサルティング事業を行っているXPLANE(拠点はアメリカやオランダ、スペイン)のスコット・マシューズ氏が考案したものです。
「共感マップ」という呼ばれ方だけでなく、「共感図法」「エンパシーマップ」などと呼ばれる場合もあります。
そもそも共感とは何なのか?考えてみよう
共感マップを考えるにあたって、今一度「共感」とはどんな意味なのか噛み砕いて見ていきたいと思います。
シンプルに言ってしまえば、共感とは「相手と同じ気持ちになること」です。
人の話に共感する場合を想定したとき、人によっては「共感=気遣い」といった印象を持つこともあるかと思います。
しかし、ビジネスにおける共感とは単なる気遣いとは少し異なります。
ユーザーが不安に思っている部分や悩みに気を遣ってただアプローチするだけでは、少し鬱陶しいと感じられてしまう可能性もあります。
そうではなく、あくまで相手と同じ立場に立ち、相手と同じ面から考えて物事を判断・行動することができることを共感といいます。
共感マップを構成する基本要素6つ
共感マップは、特定のペルソナの立場に立って考えていることや行動を整理していきます。
ペルソナが実際に感じるであろう要素を具体的に書き出していき、図にまとめて作成していきます。
共感マップを構成する要素は、一般的に以下の6つの要素があります。
- 見ているもの
- 聞いていること
- 感じていること・考えていること
- 言動・行動
- 悩んでいること・痛み・ストレス
- 得ることができること・欲しいもの
上記の6つを書き出して整理していくことで、ペルソナの感情を視覚化し、理解を深めやすくすることができます。
共感マップを作成する目的
共感マップについての概要がわかったところで、次は共感マップを作成する目的にはどんなものがあるのか見ていきましょう。
作成する目的を理解し、正しく使用することでユーザーが求めていることへの理解を深めることができます。
ユーザーを深く理解する
共感マップを作成する一番の目的は、ペルソナを想定して深掘りすることにより、ユーザーへの理解を深めることです。
ペルソナを上手に活用するためには、実際にペルソナが生きていて生活することを想定した時に、どんな感情になるのか・どんな行動をとるのかまで理解することが必要です。
性別や年齢などといった属性を想定するだけでなく、感情や言動・行動にまで詳細に目を向けてイメージを膨らませることが大切です。
ペルソナを深くイメージすることで、実際のユーザーを深く理解することにも繋がります。
ユーザーへ影響を与えるもの・気にしている点をはっきりとさせる
共感マップを使用して理解を少しずつ深めていくと、徐々に顕在化しづらい内側の悩みや影響を受けた部分まで想像することが可能となります。
ユーザーが気にしていることは何か?何に影響を受けているのか?を明確に想像することができるのです。
内面の部分をあえて具体的に言語化し、明確にしておくことによって最後まで芯を持った課題へのアプローチをすることができるでしょう。
ぱっと思いつきづらいユーザーの悩みや影響を受ける部分を理由を持って想像することができる点は、共感マップを作成するうえで重要な目的となります。
ユーザーのゴールはどこか?チーム内での認識を統一させる
共感マップをチームで作成していくことにより、「ユーザーの行動の動機は何なのか」「ユーザーが何をゴールとしているのか」という大事なポイントについてチーム内で認識をすり合わせることができます。
議論をして共感マップを書き出していく中で、チーム内のメンバーでズレがあることに気づくことがあるかもしれません。
そうなった場面こそ再度リサーチを重ねて、緻密に分析をしていくとよいでしょう。
ユーザーの行動の動機・ゴールはユーザーのことを深く理解するにあたって、チーム内で共通認識を持っておくようにしましょう。
関連:ターゲットとペルソナの違いは?具体例とマーケティングへの活かし方
共感マップの作り方
共感マップの使用イメージをつけることができたところで、次はいよいよ共感マップの作り方について解説していきます。
ここでは作成前の準備段階・作成段階・検証段階の3つに分けて紹介していきます。
【作成前の準備】ペルソナ・テンプレートを用意する
共感マップを作成するにあたって必要な2つの準備があります。
まず1つ目は、ペルソナを用意することです。
ペルソナシートを作成し、年齢や性別・居住地や家族構成などの属性を設定しましょう。
また、趣味や情報収集の方法、価値観や休日の過ごし方などもなるべく細かく設定していきましょう。
2つ目は、共感マップのテンプレートの用意が必要です。
表にしてまとめるよりもテンプレートを使用した方が、視覚的にわかりやすく共感マップをまとめることができます。
ネットでも入手することが可能なので、ぜひ調べてみてくださいね。
【作成段階】共感マップの基本要素を6つ書き出す
準備が済んだら、作成に入っていきましょう。
作成段階では、上記で紹介した「共感マップの基本要素6つ」を書き出していきます。
事前に設定したペルソナの性格や価値観・行動を鑑みて書き出してみてくださいね。
その1:ペルソナが見ているものは何か?
設定したペルソナが普段の生活の中で見ているもの・ことは、どんなものでしょうか?
目の前に見えているものや身近な人がしていること、生活の中で見るメディアは何かなどについて想像を膨らませていきます。
例としては、以下のようなものが挙げられます。
- 仕事の情報を入手するため、毎朝新聞を読んでいる
- 友人・知人のInstagramやTwitterの投稿をチェックしている
- おいしそうなお店をリサーチするため、グルメサイトを見ている
その2:ペルソナが聞いていることは何か?
次に、ペルソナが普段聞いていることを想像して挙げていきましょう。
家族や友人、仕事仲間から聞くことや噂などをイメージして書き上げていきます。
例としては、以下のようなものです。
- 先輩からおすすめの仕事管理アプリを教えてもらった
- 広告を見た家族から自分にぴったりのサービスがあると聞いた
- 友人が結婚するニュースを聞いた
その3:ペルソナが感じていること・考えていることは何か?
では、ペルソナがいつも考えていることや感じていることはどんなことでしょうか?
将来的に叶えたいことや夢、願い、何を大事にしているのかをイメージしてみましょう。
他人に言っていないだけで頭の中で考えているということでもOKです。
例としては、以下となります。
- プライベートの時間を充実させたい
- キャリアアップのためにいい転職先があれば転職したいと考えている
- 次の季節に着る服がそろそろ欲しいと思っている
その4:ペルソナの言動・行動は?
次に、ペルソナの言動・行動を具体的に想像してみましょう。
友人や家族、仕事仲間との会話をイメージしてみたり、SNSでどんな発信をしているかなどを考えてみましょう。
仕事・プライベートでどんな行動をしているかや、将来の夢のために何をしているかなども考えたいポイントです。
例は以下の通りです。
- 友人とキャンプに行く予定をグループチャットで立てる
- 休日に子供と公園に遊びに行く
- 資格の勉強をする
その5:ペルソナがストレスに思うことは何か?
ネガティブな内容についても想像を膨らませることが大切です。
現状のペルソナが抱える悩みや痛み、不満や不安などについてどんなものがあるか書き出していきましょう。
ネガティブな要素は「課題」と捉えることができ、それにアプローチできる解決策を商品・サービスで提案するチャンスです。
共感マップの中でもこちらの項目は重要であるといえます。
例としては、以下の通りです。
- 子育てが忙しく、友人と遊びに行く機会が減ってしまった
- 家で過ごすことが増え、自炊することが増えたが献立がマンネリ化してきた
- 座ってばかりの仕事であるため、運動不足が気になる
その6:ペルソナが求めているもの・得られるものは何か?
最後にペルソナにとっての成功基準は何か、得られるものや欲しいものを考えていきましょう。
仕事・プライベートどちらの面においても、実現したい姿や欲しいものがあるかと思います。
こちらはユーザーのニーズと直結する項目となるため、ネガティブな内容と同様、共感マップにおいて重要な要素となります。
例としては、以下のようなものがあります。
- 結婚して家庭が持ちたい
- 今よりももっとやりがいのある仕事に就きたい
- 新しい趣味を見つけたい
【検証段階】内容のブラッシュアップをする
共感マップの要素をすべて書き出したら、次は一度作成した共感マップを検証して内容をブラッシュアップしていきましょう。
想像のみで作成した共感マップを実際に検証することで、その内容をより精度の高いものにすることができます。
検証するためには、実際にユーザーに向けてインタビューやアンケートを行うことが効果的です。
そして、一度作成した内容が間違っていると感じた場合は修正を加え、新しい発見をすることができた場合には内容を書き足しましょう。
共感マップを作成する際の注意点
共感マップの作成について解説ができたところで、次は共感マップを作成する際に注意したい点についてご紹介します。
以下の2点を踏まえて、作成を進めることがおすすめです。
必ずチームで作成する
共感マップを作成する際は、個人だけではなくチームで作成を進めていきましょう。
ペルソナの行動を具体的にイメージするためには、色々な視点から多くの意見を集めることが効果的です。
個人による主観のみで作成するのではなく、色々な人の意見を取り入れることが大切です。
とにかく思いつくままに、どんどんイメージを書き込んでいきましょう。
もしイメージが間違っていたとしても、検証段階にて修正が可能であるため慎重になりすぎる必要はありません。
特定のペルソナを想定して作成する
1つの共感マップについて、何人かのペルソナを想定して作成することは絶対にやめましょう。
人は全員個性があり、まったく同じ感性を持っているということはあり得ません。
ペルソナが変われば共感マップも変わるので、1つのペルソナにつき1つの共感マップを作成するというルールは絶対に破らないようにしましょう。
ここを守らずに進めてしまうと、ユーザー視点とはかけ離れたものができあがってしまいます。
共感マップの使い方
共感マップを作ったことで達成感が得られるかもしれませんが、作ったからにはここから有効活用していくことが必要です。
できあがった共感マップは商品・サービスに携わるメンバーに共有しましょう。
そして、メンバーが何かを検討するときに常に共感マップの内容を指標として進めることが必要です。
また、共感マップから読み取ったペルソナの気持ちと言動・行動の面に矛盾が生じる場合があります。
実は、矛盾が生じた部分にこそ真のユーザーのニーズが隠れている可能性があります。
矛盾とそれが生じている理由をよく考え、商品やサービスをより質の高いものにしていきましょう。
共感マップとは?作成に必要な要素・デザイン思考【まとめ】
共感マップとは、ペルソナの状況や気持ちを整理してユーザーに求められていることを可視化するビジュアルツールです。
共感マップは6つの構成要素から成り立っています。
1ペルソナあたり1つの共感マップを作成し、ペルソナの視点に立って6つの要素を埋めていきましょう。
そしてできあがった共感マップを検証し、精度の高いものにしていくことでより有効活用できるツールにすることができます。
できあがった共感マップはメンバー間で共有し、商品・サービスを考える際の指標として活用していきましょう。
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