Webや印刷物、ロゴなどをデザインする際はどのような点に注意する必要があるのでしょうか?
例えばオリジナルな発想や構成でデザインを制作したものの、パクリとして訴えられる可能性もあるでしょう。
そこで本記事では、デザインをパクリと判断する基準や著作権のポイントを解説します。
目次
デザインをパクリと判断する基準は?
創作物として世に生まれたデザインを「パクリである」と判断する基準はあるのででしょうか?
Webデザインを制作する場合のケースについて考えてみましょう。
Webデザイン制作の基準について
Webデザインでパクリの対象となる基準を考えてみましょう。
Webデザインの著作物とは、「Webデザインそのもの」であることになりますが実はサイト内の「レイアウトや色」については対象外となります。
これは楽器で例えた場合、ベースという楽器が奏でるメロディそのものは「著作物」と証明できないのと同じことを意味します。
パクリに該当しないケースも
このため極端な話ではサイトの「レイアウトや色合い」をまったく同じデザインにしても著作権を侵害したことにはならないということになります。
しかしサイトそのものを転用した場合は処罰の対象となりますので、まるごとではなく「さまざまなサイトの要素を参考に」することが大切になります。
デザイン・著作権をパクリから守る対策
自分が制作したデザインや著作権をパクリから守る対策にはどのような方法があるのでしょうか?
以下のケースをご紹介します。
企業と契約時にできる対策
企業に依頼されWebデザインを行う際は、契約書をきちんと読みましょう。
依頼する企業の中には「デザインの著作権はクライアント(企業側)に譲渡する」などと書かれているケースも。
また、著作権をよく理解していない企業では契約書に明記せず「すべてクライアントのもの」と思いこんでいる場合もあります。
このため
- 制作したデザインは著作権が発生する
- 制作したデザインは著作者にある
- 著作権を譲渡する場合、対価が発生する
- 著作権を譲渡しても、著作人格権は移譲しない
上記の内容を制作時に説明した上で、理解してもらい契約しましょう。
デザイナーとして制作したデザインの権利を明確にすることが大切です。
個人でできる対策は?
個人で制作したWebデザインを他人に転用された場合は、「自分のデザインである」ことを証明できるものが限られてしまいます。
例えばサイト制作日が先であっても、「サイトそのものの転用ではなくレイアウトを真似たもの」であれば無効となる可能性が高くなってしまいます。
しかし明らかな転用であれば、権利を主張し制作者に連絡を取るなど自身の権利を訴えることが大切です。
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パクリに似たデザインの判断基準
世の中には「これはパクリではないか?」と疑う事例が溢れています。
例えば「オマージュ」「リスペクト」、「パロディ」と言ってしまえば著作者は訴え難くなるでしょう。
とくにリスペクト、オマージュについては制作時にあらかじめ公言していることになるため、権利の所在が曖昧になるケースが多くなります。
このようなパクリに似たデザインの判断基準をご紹介します。
オマージュとパクリの違い
オマージュとは「尊敬」「賛辞」「敬意」といったリスペクトの意が込められた意味合いがあります。
一方のパクリとは、「盗む」「悪意のあるコピー」「掠め取る」などの意味を持つため対極の言葉と言えるでしょう。
それではオマージュとパクリの具体的な違いとはどのようなものでしょう?
オマージュでは、元となるデザインや作品の一部をそのまま使用するのではなく、尊敬の意味を込めて独自の世界観で表現することを指します。
インスパイア・パクリの違い
それではインスパイアとパクリの違いはどのような違いがありるのでしょうか?
インスパイアとは、ある人物の考え方や行動に強い刺激を受け自分自身の考え方や行動が変化する状態を指します。
例えばあるWebデザインに強く影響を受けた人が、その考え方をベースに油絵を描く、ポスターをデザインするなど異なるジャンルで展開するケースがあります。
また、異なるジャンルの技術を統合しブラッシュアップし新たなものを作り出す際にもインスパイアという表現を使用します。
このようにパクリに似たデザインの判断では、影響を受けたデザインや人物に対するリスペクトがポイントになります。
デザインをそのまま真似るのではなく、要素として取り入れているかが判断基準と言えるのではないでしょうか。
デザインで意識すべき著作権のポイント
著作権とは「デザインを制作した本人が世間一般に公表する権利」がありますよ、と法律で定められたものをいいます。
つまり著作権は「デザインを制作した人のオリジナリティ」を守るための法律なのですね。
デザインを守る=パクリを防ぐことに繋がるためデザインをする制作者は著作権を意識する必要があります。
そんな著作権では、主に次の2つの種類に分かれます。
- 著作権(財産権)
デザイナーがデザインしたものを使える権利
- 著作者人格権
デザインを制作した本人が「作成したという事実」を保護する権利
このようにデザインは著作権で保護される対象となるのですが、これらはどこかへ申請する必要がなく「デザインを制作した時点」で自動的に発生します。
このため他人がデザインしたものを「自分がデザインしたものです」と申し出るのは、著作権を侵害していると見なされますので充分注意する必要があります。
Webデザインの著作権は?
それではWebデザインの著作権はどのようになっているのでしょう?
まず最初に確認すべき内容として、Webデザインは著作権に該当します。
このためWebデザインを作成した時点で著作権は自動的に発生することになります。
また、「Webデザインの著作物は作成した本人のものである」と証明する著作権法は以下の内容になります。
- 著作権法(著作物)
【 思想又は感情を創作的に表現したものであつて、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいう 】
[ 引用:著作権法 第一節 第二条 一 ]
このようにWebデザインは著作権で保護されているため、他人が制作したデザインを転用した場合パクリであると訴えられてしまった場合、処罰の対象となります。
反対に自分でデザインを制作した場合、過去の著作権を調べた上で「私の著作物です」と申し出ることが大切です。
しかし「デザインを転用した」と証明する方法も企業であればある程度可能ではありますが、個人では難しいケースもあるでしょう。
新たな価値観を生み出した事例
文明の発展と共に進化して来たアートの世界に於いても、構図や色合いなどオマージュやインスパイアと思われる作品も多く存在しています。
大量消費に向けたメッセージを発信
戦後のアメリカでは、当時の大量消費の時代を風刺するような表現が新しい現代アートが生まれました。
この時代から大量消費をイメージさせる、大量に印刷が可能なシルクスクリーンを活用したポップアートが流行しました。
特にアンディウォーホールが1967年に手掛けたマリリン・モンローはスチール写真から肖像画を取り出し、シルクスクリーンで仕上げる斬新な手法が話題に。
しかしマリリン・モンロー本人のイメージを使用したため、売名行為であると批判もされていました。
このように現代アートでは、単なる転用ではなく新たな表現や技術を用いた構図、色使いを試みることで内面や本質的な物事を捉えた作品が増えていくようになりました。
デザインをパクることでは生み出せない、新たな価値観を創造する流れを生み出しているといえるでしょう。
タイムマシーンビジネスの成功例
デザインや商品、サービスといった個別のテーマではなく海外の事業モデルを日本に持ち込み成功した事例も多くあります。
ネットが普及した現在であっても、まだ未開拓の海外の最新サービスを取り入れタイムマシーンで未来から成功の可能性の高い事業を展開するビジネスが注目されています。
タイムマシーンビジネスの代表的な成功事例は以下の内容になります。
- クラウドファンディング
スタートアップのベンチャー企業が資金を募り新たなビジネスを展開する「クラウドファンディング」は、アメリカ発祥の事業モデルのひとつです。
現在では新たなビジネス形態として日本でも普及したビジネスモデルとなっています。
デザイン制作時の注意点について
Webデザインやロゴ、ポスターなどデザイン制作時に注意すべき点はあるのでしょうか?
じつはデザイン制作の際、「これ以上はパクリ」といった明確な決まりはありません。
このため多くの人が指摘するような状況で初めて問題化するケースもあります。
また、一旦問題化した場合は感情的なやり取りに発展する可能性があるため、未然に防ぐ注意点を確認しておきましょう。
- 画像・文章を使用する際の著作権
例えばWebサイトを制作する場合など、ネット上に流れる文章や画像についても著作権が存在しています。
このため無断でこれらを使用することは著作権を侵害する行為となり、人物が写った画像では肖像権も侵害することになります。
画像を使用する場合は、著作権のかからないフリー素材であれば問題なく使用できます。
また、文章の一部を掲載する場合は「引用」ルールに基づき参考として掲載しましょう。
関連:デザインの著作権を解説!版権を譲渡する際の注意点について
デザインのパクリを判断する基準【まとめ】
今回はデザインをパクリと判断する基準や著作権のポイントを解説しました。
デザインをパクる行為は、著作権で禁じられた行為であることがご理解頂けたのではないでしょうか。
パクリと判断する基準では全てを転用することはNGですが、デザインやレイアウトを効果的に取り入れた場合パクりとは判断されないケースもご紹介しました。
また、異なる要素を掛け合わせるなど新たな価値観を創出することも可能でしたね。
著作権を理解し、健全なデザイン制作を心がけていきましょう。
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